2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

119 遺作 6

そうこうしているうちにサヨコのアトリエらしき場所にたどり着いた。森の中にあるボロい平屋の家だった。 周囲は雑草だらけでトタンが雑草の侵入は防いでいる。もし森の中で一人でこの家に出くわしたのなら俺が廃墟マニアでもない限り、その場で回れ右して逃…

119 遺作 5

木を降りてから再び空を見上げる。 いくら夏の森で木々が鬱蒼と茂っていても空は確認出来るし、そこにロープウェイの形跡(それらを支えるロープも)があればわかるのだが、まったくそれが無いというのはおかしい。 「ねぇ!絵を描かせてよ!」 上を見上げて…

119 遺作 4

ドロイドバスターになれば今すぐにでもグラビティコントロールでこのロープウェイごと持ち上げて助ける事ができる。しかし、ここで変身すれば正体がバレる。 正体がバレたら後々大変な事になる。 「人の命がかかってるんだぞ!!」と、熱血漢な奴には言われ…

119 遺作 3

高原と俺が想像していたものとは異なっていて日本でいうところの夏の高原は鬱蒼と木が生い茂るジャングルのような場所であった。 その上をロープウェイがゆっくりと移動していく。 緑の木々は競いあうように空へと枝葉を伸ばしておりこれを俗にいうところの…

119 遺作 2

翌日、朝8時前にメイの家に到着する俺。 「おねぇぇぇぇさぁぁまぁぁぁぁぁぁ!!!」 「うわっ、ちょっッ」 俺はてっきりメイは屋敷の玄関から走ってやってくるものだと思っていたらそれが油断そのものであったようだ。茂みに隠れていたメイが飛び出てきて…

119 遺作 1

そろそろ夏休みが終わるかという時期だが、夏は相変わらず続いており、下手に暑さを知っているだけにこのまま学校に行く事になるという事実を受け止めて、いっそ夏休みが終わったと同時に秋になればいいのにと思う今日この頃いかがお過ごしでしょうか。 そん…

118 自由研究『戦車について』 6

お風呂でシャワーを浴びた4人。 クーラーの聞いた部屋で涼んでいた。ジュースはなかったがお茶があったので冷凍庫で冷やしてそれを飲んだ。 そろそろ時間か。 「それじゃ設置しにいきますかー」 と俺がいう。 ユウカ妹もさすがにまた布団ぐるぐる巻をするだ…

118 自由研究『戦車について』 5

「コーネリアァァーん!」 俺はシャワーを浴びているコーネリアの後ろから抱きしめておっぱいをむんずと掴んだ。 さっきまではユウカの部屋でユウカの水着や下着などを弄りまくってはいたが、それは丁寧にもとの位置へと戻し、とりあえずシャワーを浴びてお…

118 自由研究『戦車について』 4

4人はユウカの家まで戻ってきた。 「さてと、どうするかなー」 と俺が汗を拭いながら言う。 「トリアエズ、涼シイ場所デ冷タイDrinkデモ飲ミタイデス」 コーネリアも暑そうだ。 ユウカ妹はさっきからシクシクと泣いている。 そして彼女は黙って家のドアのカ…

118 自由研究『戦車について』 3

ユウカ妹のいう「戦車でもいい」とはどういう事か? 「自由研究に実物大の戦車を持っていくのもOKってこと?」 俺が聞いてみると、 「うん。本当は戦車の研究として、持って行こうと思ってたの」 「なるほど」 つまりユウカ妹はなにもプラモだけ提出しようと…

118 自由研究『戦車について』 2

ユウカから電話を受けてからずっと戦車のカタログなどを見ていた。 紙か何かで、それが無理なら粘土か何かで細工をしてやろうとも思ったが、カタログを見る限り、絵心すらない俺が3次元の立体を組み立てるというのには無理があるようだ。 いっそのことどこか…

118 自由研究『戦車について』 1

aiPhoneの呼び出しアラームでクラスメートからの呼び出し音が鳴るとデジャヴを感じる。以前、ナノカから電話が掛ってきた時はお祭りの誘いだったからなぁ、今回もそれじゃないかとドキドキしていた。 確かに夏祭りは色々な地域毎に行われるわけだけど、まさ…

117 コミュニケーション障害 6

俺はキャプテンことアキラの浴衣の袖をツンツンと引っ張って、 「キャプテン…ハンカチ持ってる?」 と尋ねる。 「う、うん、あるぞ?」 「貸して。絶対に洗って返すから!」 お願いのポーズをとる。 「ん?いいぞ?どした?」 「ちょっと大洪水に」 「大洪水…

117 コミュニケーション障害 5

それから後は間髪入れずにキャプテンから話掛けてきた。 これぐらいのタイミングで次から次への話してくれるのはコミュニケーションが苦手な俺からすると助かるなぁ。 「そうか、好きな人はいないかー。でも、藤崎は選びたい放題だよなぁー。ほら、その、そ…

117 コミュニケーション障害 4

俺の「手を触っててもいいから」という一言に、男子水泳部キャプテンことアキラは静かに「お、おう」と答えた。 温かい手の感触が俺の手を包む。 それから5分ぐらい経過しただろうか…。 この間、会話なし。 なんてこった…ダメだ考えるんだ考えるんだよ!人間…

117 コミュニケーション障害 3

お祭り開始…。 して、10分ぐらいで迷子になってしまった。 誰か助けt…。 クソォ…俺は男の時は175ぐらいの身長はあったからどんな人ごみのなかだろうと少なくとも日本人だけがいる中では誰かを見失う事なんてありえなかったのだが、今は140か150ぐらいのチビ…

117 コミュニケーション障害 2

ワンピースなら少しは風通しがよくて涼しいと思っていた俺が浅はかだった。夏の日差しは暑いを通り越して痛い。 肌がチリチリと焼けている気がする。 こりゃ日焼けしちゃうなぁ、と思ってたら、よく見ると肌が薄っすらと赤くなっている。うわぁ、もう焼けて…

117 コミュニケーション障害 1

終わりなき猛暑。 日本を電子レンジでチンするかのようにどこへ逃げても熱風はそこらかしこで吹き荒れて体中を汗と湿気に包み込む。 逃げ場といえば家のクーラーが効いている室内だけで廊下まで贅沢にもクーラーを効かせている裕福な家庭では無い限りはドア…

116 ヲタク・ロックンロール 9

突入を諦めた警察が次にどんな手を打ってくるのか? しかし、どういうわけなのかドロイドも装甲車も警察車両も次から次へとその場を撤退していく。 「これって…?」 と俺が言うとしりあがりアナは、 「おそらくこれは…警察の上のほうからの指示があったよう…

116 ヲタク・ロックンロール 8

「さて、テレビの前の皆さん、このテロリストさんが本物のテロリストさんだという事をわかってもらえたと思います。メイドさんもちょっとお手伝いをしましたけど」 そう言ってしりあがりアナが続ける。 「主義主張を言ってもらいましょう、はい、どうぞ!」 …

116 ヲタク・ロックンロール 7

17時、18時とアニメを見て過ごす。 途中、警察が何度か拡声器で投降しなさいとか言ってきたからウルサイ!と叫んで拡声器を撃ち破壊してあげた。 18時ぐらいから東京テレビのCM枠の中で、『特番:秋葉原立て篭もり事件の犯人が世間に物申す』のCM?が流れた…

116 ヲタク・ロックンロール 6

ネット端末を開いてマスコミ関係のサイトを見る。 犯罪者へインタビューをしてくれ、しかもそれを湾曲しないで放送してくれる局を選ばなきゃダメだな。 T豚Sはダメだな、ニッポンテレビもオタクを嫌ってるし、NNKはそもそもオタクを金に利用しようとするだろ…

116 ヲタク・ロックンロール 5

順調に警察のパトカーとドロイドを片付けていたその時。 俺の視界の隅に一際大きな装甲多脚戦車の足が見えた。これは警察が軍から借りてるアレだな、前にニュースでやってた奴だ。 「ヤバイ!伏せて!」 0.5秒ぐらいの感覚でバリバリバリと機関砲による攻撃…

116 ヲタク・ロックンロール 4

外からの拡声器の警察の声。 それだけがここで聞こえるBGMだった。 ヲタクは自らの疑問を続けた。 「僕は馬鹿だから利口に自分の人生を選ぶなんて出来ない。気づいたらヲタクになってたんだ。『好き』だけが理由だから、好きに理由なんてつけられない。それ…

116 ヲタク・ロックンロール 3

「彼女は関係ないだろうが!離しなさい!」 警察官はもっともらしいことを言ってデブにハンドガンを向けている。が、その原因を創りだしたのは言わずもがな、警察官の職質だという事には気づいてるのか?周囲の連中は今までの成り行き見てたから白い目でアン…

116 ヲタク・ロックンロール 2

それからまだおカフェで2時間ほどお酒を楽しんだ。 まだまだ時間があるのでアキバの電脳街にでも行こうかと思って店を出て歩いていた時だった。 何やら警察官が2名ほど一人のデブを職質していた。 そのデブはあのデブ(ケイスケ)と同じで180か190はあろうか…

116 ヲタク・ロックンロール 1

本日は中央首都、東京のアキハバラに来ています。 夏と冬に開催されるというコミックフェスティバル(コミケ)にケイスケが兵士(一般客)として参加するというので、そのついでに俺はアキバに出来たというオトナのカフェ『まだおカフェ』に行く事にした。も…

115 ロード・オブ・シャングリラ 6

俺はベッドの上で電脳ジャック(ネットゲームと自分の電脳を接続するコード)を外して、 「サーバが落ちたァァァァ!!」 と叫んだ。 ここはシャングリラの世界ではない、現実の世界のケイスケの家、俺の部屋。隣のベッドにはマコトが電脳でネトゲに接続して…

115 ロード・オブ・シャングリラ 5

魚の腐ったような臭いがする洞窟内を走り回る俺達。 もうそろそろ出口が見えてもいいはずなのに一向に見えてこない。幸いにも行き止まりがない事だけが救いなのだが…こんな状態ならサハギンに囲まれてボコボコにされて全滅するのも時間の問題だ。 もしパーテ…

115 ロード・オブ・シャングリラ 4

「よし、ここらへんだな」 ジッタはそう言った。 「ここらへんって何が?」 「海蛇の洞窟攻略をした数少ない冒険者達から聞く話によれば、毎回ここらへんでサハギンどもがシーサーペントと共に現れて侵入者を片付けようとするらしい。それでたまに現れるサハ…