お腹いっぱい食べた俺達は出店の食べ物屋以外を見てまわる事にした。 金魚掬いやアイドルモノの写真やグッズを扱う店、お米で作られたと思われる白い板を爪楊枝で綺麗に切り取って形を作っていいものを競い合う店、くじ屋とか、ちょっと最近のお祭りではやっ…

待ち合わせは場所につく。 神社の長い階段が見える商店街の本屋の前だった。 なるほどユウカの言っていたとうり、それほど人は多くない。 夏「祭り」だというのに人の姿はまばらだ。神輿も無い。公式に祭りがあるとか連絡をしてないんだろう。 俺が前に住ん…

夏合宿も終わった。 楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうけど、思い出として心に残る。だから楽しい時間の積み重ねは時間の流れを緩やかにする。 逆に、変化を伴わない時間の流れはあっという間に過ぎる。 毎日が同じ事の積み重ねだと、脳は同じものの記…

「あの…藤崎先輩…」 ミコが俺に言う。 「ん？」 ミコは震えながら、 「先輩の話って、ネットにもそれらしい話が上がってて…」 と恐る恐る言う。 ミコがネットで見た話はこうだった。 そこがどこの地域なのかは明らかにされてないけど、「日本のどこかで」不…

「あるよあるよ！」 「マジで？！聞かせて！」 「え〜っと…う〜んと…」 「な、何を考えてるのキミカっち！」 突然怪談といわれても何も思い浮かばないよ。 「か、考えてなんかないよ！思い出してるだけ」 「ふ〜ん…」 ジト目で疑わしい感情を主張しながら俺…

合宿の夜。 色々とあったせいか俺は眠くて眠くてしょうがなくて颯爽とまっさきに布団に入って目をつむっていた。 お風呂から戻ってきたナノカやマドカはまさに女の子の先輩・後輩といった感じで打ち解けていた。俺は人見知りが激しいからなぁ…特に異性に対し…

脱衣所まで10メートル弱。 俺は重戦車を縦にして進軍する兵隊の様に、巨体のケイスケの影になってゆっくりと脱衣所に向けて進んでいた。と、その時、脱衣所から敵兵が。いや、一般観光客が…！！ 思いっきりジロジロとケイスケと俺を見る。 ん？ 男の風呂に女…

男子部員達もケイスケも露天風呂に入ってきた。 安西監督ことケイスケが風呂に入ると湯量が一気に増す。凄い体積。あの一人の人間の脂肪で湯船が30センチぐらい上がったぞ！ 「ふぃ〜…やっぱお風呂は最高ですぉぉ〜」 呑気にケイスケが言う。 「最高と言えば…

色々あったけど楽しい？一日だったなぁ。 合宿も悪くないかなぁ〜。 なんて思いながら俺は一人お風呂に入ってた。 一日の疲れを癒すのはお風呂がいいですね。しかもそれが海が見える露天風呂なら尚更。浜に拭き上げてくるひんやりとした風がとても肌に気持ち…

ふぅ…。 俺は身長180はある巨体をゴール地点の小屋に運び終えた。 「ちょっ…部長マジかよ？失神してるの？」 みんなが駆け寄ってくる。 俺はさすがにまた部長が俺のパンツを見たとかマンコを見たとかおっぱいを見たとかで気絶したので運んできたとは言えずに…

薄気味悪いコンクリートの建物もこれが最後の一つ。 怖いかと言われれば確かに怖い。けれどもキャー！！とか叫んだり泣いたり逃げまわったりするレベルじゃないな。飲み会が終わって廃墟に遊びに行くように何か起きるかな？と思ってても98パーセントぐらいは…

札札…札はどこだっけ？ 俺と水口は最初の小屋に入って札を探していた。 ルールでは海岸沿いに並ぶ小屋に札があって、それを全て集めて最後の小屋に行くとのこと。札を持っていかなくてもゴールはゴールだけれど臆病というレッテルが貼られる。別に貼られても…

二人で月の光が差す暗闇を歩く。 夏の夜だけど風が涼しい。 リア充イベントの肝だめしっていうのは男と女がお手々繋いで仲良く歩くものなんだろうけどさ、中身男の俺にとってそれはホモ行為以外の何者でもないわけであって、手を繋がずにあくまでも義務的に…

水泳部の合宿なのに1日目は水泳部らしい事は何一つしていなかった。そして夕暮れになり、夜になり、みんなでわいわいがやがわと夕食を食べ終える。 表向きは随分と洋風な旅館なのに出される料理が和風という、古き良き時代の日本ながらの風情があった。 食事…

一番おっぱいを揉めそうなのは…。 などと考えながら部員を見てたら後輩のマドカちゃんとかは揉めるんじゃないのかな？などと思いつつマドカを見つめてみる。 俺の視線に気づいたマドカは顔を赤らめて、 「せ、せんぱい、今おっぱい揉もうと思ったでしょ…」 …

なんだかんだ言って来てよかったかも知れない。 普段は学校でも水着姿が見れるけどそれはスクール水着であって水泳をしている姿だから、こうやってビーチボールで遊んでたり浮き輪で浮いてたり沖まで泳いで行ったりする光景を見るのは悪くないなぁ…。 と、俺…

「どりゃっセイッ！」 俺は掛け声と共に鉄くずこと、水口先輩を砂浜に放り投げた。 みんなナノカ達から聞いてたのか水口先輩が溺れた事は知ってるらしい。俺のおっぱいを鷲掴みした事は知らないらしい。しかし、そんな事はどうでもいいぐらいに緊迫した状況…

「よし、マドカちゃん！ミコちゃん！あの不審船まで泳ぎましょう！水泳部の試練です！」 ナノカはどうしたらいいかわからなくてオロオロしてた二人を誘おうとする。 「えぇ！あ、あんなと、遠くにですか！」 マドカは焦る。 「溺れちゃいます…」 ミコはそう…

ぱっぱと服も下着も脱いで全裸になってから先日買ったピンクのビキニを装着。着替え方はユウカに習ったとおり、最初に後ろの紐を止めてから身体にはめて、 「うぅ、先輩、やっぱりスタイルいいです〜…」 マドカが顔を赤くして俺のほうを見てる。 「え？そう…

朝から気が重い。 今日から合宿だった。 今日から数日間、この住み慣れた家を離れて合宿のある旅館に泊まらなきゃいけない。住み慣れたって言ってもそんなに時間立ってないけど。 2階のナツコの部屋からは叫び声が聞こえる。きっと趣味のスプラッタービデオ…

放課後。 ナノカとユウカが力なく立ち上がって帰ろうとする俺に話し掛けてくる。元気だよなぁ。いいよなぁ、こういう風に学校のイベントをポジティブに捉えることが出来る人って。 「うへへへ…キミカっち、水着は何を着ていくの？」 「えぇぇ？水着ィ…？水泳…

職員室に到着。 昼休みを利用してケイスケに物申さなくては。俺は合宿に行きたくないので一人だけ欠席でお願いしますという風に。 教室よりも温度が低い。そのただでさえクーラーが聞いててちょっと肌寒い職員室の片隅、クーラーの直撃が当たる場所で、さら…

暑が夏い。 もう学校に行く途中までが暑くて学校に到着してからはしばらくクーラーでクールダウンしなければ熱暴走してしまいそうな暑さに包まれていた。さながら巨大な鉄板の上でこの街ごと熱せられてるかのようなそんな状態。 早く夏休みにならないかなー…

朝になった。 廃墟に訪れた朝は森の中に訪れた朝と同じだった。 鳥のさえずりで目が覚めて、それ以外にはなんら音がない。自動車の排気音や信号の音や新聞屋のバイクの音も、それ以外の生活音も、人がいない場所にはそれは無かった。そして朝日が昇っても街…

「いやだ…もういやだ…いやだ」 関電元社長はガクガクと震えながら「関電元代表取締役社長」という貫禄はどこかへと消え去ったかのように子供のように泣いている。 「だんだんランクアップしてきてるな」 肩に刺さっていた破片を取りながらバトウが言う。 「…

「腹が減った」 ぼそりと関電元社長がつぶやく。 「出前でも頼むか」 バトウも言う。 それから俺のほうを見て、 「嬢ちゃん、何が良い？」 あぁ、俺が選んでいいのか。 「なぜわしに聞かんのだ？その女がお前らの客なのか？」 また始まったぞ。第4ラウンド、…

「たはは…」 なんか小山内さんがトイレから出てきてそう言うので俺は「どうしたの？」と聞いてみる。 「水も電気も止められてるっぽいね」 「そりゃ…街自体がアレだし」 「そうなんだけどココだけは以前は電気も水道も通ってたんだよ」 「へぇ〜…っていうか…

オープンカーとなったリムジンは首都高を抜けて一般高速道路へと入り、街や山や川や森や田んぼを超えて、首都圏から遠ざかっていった。 「人がいないところへ」 それが警察からの指示だった。 この日本を探して人がいないところは見つかるのか？と言われると…

バトウも俺も関電元社長も、誰も今この状況で頭をあげる気にはならなかった。 何故なら銃弾の雨が数センチ上を通りすぎていく最中だからだ。 防弾ガラスを突き破るタイプの爆弾が炸裂したとしか思えない。一瞬にしてガラスが真っ白に、そして粉々に砕け散る…

本日最初の戦闘の後。幸いにもリナカフェでは店員も店員アンドロイドも客にも被害は無かった。 警察が事情聴取に来るけど俺達はボディガードの仕事をしている最中だから相手をしている暇もあるわけでもなく、軽く話をしてから後はハラマキさんにお願いする事…