2012-12-01から1ヶ月間の記事一覧

138 石見圭佑 4

病院の廊下の蛍光灯の明かりが強くなった。 再び、俺の意識は別の次元へと転送された。 見覚えがある景色だ。 けれど、それは登場人物がまるごと、俺の記憶とは入れ替わっている。 ケイスケの地下にある実験室とほぼ同じ装置が並んでいる。 培養液が入ってい…

138 石見圭佑 3

黄昏時の教室。 俺の意識だけがそこにあった。 俺は、ただ一視聴者となって今から起こるでろうストーリーを見ているのだろうか。これがマインドブラストで俺の脳内に送り込まれる記憶なのだろうか。 一人の太った学生が机に伏せるように身体を丸くしてカリカ…

138 石見圭佑 2

ケイスケが俺をドロイドバスターとして選んだ理由。 それは俺の性格が『男』の性格をしているから、そして生きる希望を持っているから。だとしたら、ケイスケは瀕死の俺からその事をどうやって知ったのか、それが俺の疑問だ。 もし、仮にもし、事前に俺がそ…

138 石見圭佑 1

クリスマスは過ぎたのにサンタさんは可哀想な連中をメモって把握してたらしい。ちょっと遅れてから俺にクリスマスプレゼントをくださった。ありがたやありがたや…それにしても、産まれてから良い事なんてMapple製品との出会い以外は殆ど無かった俺には刺激的…

137 ぼっち飲み 4

クリスマスは過ぎたのに、クリスマス用に用意されたオブジェの前に行列があり、そこに並ぶ俺(男モード)とキリカ。 リア充どもは鐘を鳴らすだけじゃなく、神社へお参りするようにパチパチと手を叩いてみたり、賽銭を放り込んでみたり、順番を抜かして鐘を鳴…

137 ぼっち飲み 3

酔も回ってきてお腹もいっぱいになりつつある俺。 飲み屋は男の身体で満喫したからそろそろ出ようかな。と、思った俺は、 「そろそろ帰るわぁ」 と一言言って店員を呼ぼうとする。 「キミカ」 俺が手をあげようとした時、その手をキリカがギュッと掴んでそう…

137 ぼっち飲み 2

俺は反射的にaiPadをカバンの中へと押し込んだ。 そう、居酒屋でホモ動画を見ているシーンを、キリカに見られたのだ。 「な、なななな、ななな、なんのはなし?」 「キミカ、男の子に興味あるの?」 「ない!ないよ!ないんだよォォ!!!」 俺はキリカの肩…

137 ぼっち飲み 1

俺がぼっち飲みをする時には意図的に貧乏臭い地味な格好に赤縁のダテメガネを掛けて以下にもヲタクか腐女子という姿で飲んでいる。これはアルコールで心がオープン・ザ・ウィンドウになった男達が調子に乗って話しかけてくるのを避ける為だ。どの店でも行き…

135 死ね死ね団 9

パトランプの光がチカチカと光るのと、俺達が包囲されるのはほぼ同時だった。近所の誰かが武器を持った男がこの教会に入っていったのだと通報したのか、それとも、今までホテルやらラブホやらを武器を持ってウロウロしていた時に誰かが通報してて、警察はず…

135 死ね死ね団 8

市内にあるキリスト教系列の教会は1つだけだ。 そしてそこには死ね死ね団に狙ってくださいと言わんばかりにクリスマス・ツリーが飾ってあって、まるで七夕の短冊のようにメッセージが書かれてある札が垂れ下がっている。それが冷たい12月の風に揺られている…

135 死ね死ね団 7

死ね死ね団はその存在意義を問われる事となっていた。 最初にいた公園へと戻って、そしてホログラムやらクリスマスツリーやらを眺めていた。ぼーっと、眺めていた。 「なぁ…」 死ね死ね団の大きいほうが言う。 「ん?」 死ね死ね団の小さいほうが返す。 「あ…

135 死ね死ね団 6

「まだだ…まだ終わらんよ!」 死ね死ね団の大きいほうが言う。 死ね死ね団は諦めなかった。 ラブホテルにリア充実が居なかった事が判明した後にも、まだこのクリスマス・イヴのこの街に存在するであろうリア充を探していた。 死ね死ね団小さいほうは大きいほ…

135 死ね死ね団 5

死ね死ね団は諦めなかった。 必ずラブホテルで乱交パーティをしている連中がいるんだと。 最上階フロアのスイート・ルームの扉をそれぞれ叩いてまわり、人が居れば銃を突きつけて中へと侵入して何をやっていたのかと問いただす。しかし帰ってくる答えは同じ……

135 死ね死ね団 4

ラブホテルに到着。 お城みたいな造りで四方八方からライトで照らされてて外国人に「ここがディズニーランドです」と言っても疑われないぐらい。 出入り口では車が何台も待機してて、時々車からアンドロイドやら化粧の濃い女性やらが出入りしている。彼女ら…

135 死ね死ね団 3

最初に向かったところは公園だった。 ビルに囲まれた公園ではクリスマス期間だけは夜でも人が沢山いる。なにせ公園の木々は殆どがクリスマスツリー状態になるのだから。 「クリスマスと言えば…カップルどもだ!海外にあるクリスマスの風習を取り入れてた後、…

135 死ね死ね団 2

俺はドロイドバスターに変身した。 死ぬ前に美少女を見れて幸せだったな、そして死ね! まずは後ろのニューグリフ持ってる奴から攻撃。ニューグリフが弾を放つ前にそれをグラビティ・ブレードでバラバラに分解し、丸腰状態で絶望を味合わせる。そしてその小…

135 死ね死ね団 1

中国人が日本の刺身をマネて川魚をそのまま食べて寄生虫に当たって死んだというニュースを見て、日本人(主に2chネラー)は馬鹿にしていた。 このネタでは川魚に寄生虫がいるかどうか調べずに食べたから馬鹿だなぁ、と思う人はそれほどいない…というのも、実…

134 あなたのたからもの 6

後日談。 チナツさんはやっぱり一枚噛んでいた。 …最初から宝箱の中に何が入っているのかは知っていたのだ。 ただ、彼女は部外者であることには変わりない。 例のバグが巷に噂として流れ始めた時からチナツさんはMappleやらCoogleやらをハッキングして色々調…

134 あなたのたからもの 5

麻呂吉は慎重に箱を掘り出していった。 箱に傷がつかないように。 そして震える手で箱についているダイアルキーを回した。 彼が設定した暗証番号なのだろう。 暫くすると(カチリ)と音がして、カギが解除された。 麻呂吉はスーツにこれでもかというほど手を…

134 あなたのたからもの 4

雲行きが怪しい。 そろそろ雨が降りそうな雰囲気だ。 俺達は歩いて20分ほどの距離にあった市内のとある公園に来ていた。 チナツさんが麻呂吉のアカウントをハッキングして手に入れた情報によれば、麻呂吉の昔使っていたMap製品がこの公園の奥にある雑木林の…

134 あなたのたからもの 3

麻呂吉の宝物が何かはわかった。 おそらく9割は『彼が過去使っていたMap』だろう。しかしもうそれは他のレガシーだのレジェンダリーだのと比較にならないほどに究極のレジェンダリーなMapだ。もう世界に1台しかないんだよ。 しかも、それが今もまだ動く状態…

134 あなたのたからもの 2

ここからは俺達だけで宝物を探すことになる。 勝算はあるのか? 俺はクールな性格だからな、勝算がない戦いはしない。 『諦めたらそこで試合終了ですよ』は某デブ監督の名セリフだけれど、俺は『諦め』もストーリーの中の1つだと思っている。戦略的撤退って…

134 あなたのたからもの 1

「ねぇ〜…チナツさぁ〜ん…まだ続けるの?」 そう。 まだ続いていた。 チナツさんは麻呂吉がいなくなった後も宝探しを続けていた。 「とりあえず腹ごしらえをしようか」などと言って俺達のゴキゲンを取ろうとしてるみたいだ。いくらチナツさんのオゴリだから…

133 たからのちず 10

「あぁーあ…結局、宝は見つからなかったねぇ、キミカちゃん」 とマコトが疲れた声で言う。 「まぁ、そんなこったろうと思ったよ。Mappleの宝の地図なんだからMapple製品がお宝じゃないとおかしいしね。Mapple製品の中でお宝…それはレガシーだのレジェンドだ…

133 たからのちず 9

次の場所に来た。 さて、ここで次のGPS位置がでるはずだが…。 あれ? でないぞ? ってことは、ここが最終地点か…。 ちなみに、訪れたのはンフマップ。 ンフマップは基本的には中古パソコンを取り扱うお店でUindowsのパソコンからMappleのパソコンまで様々な…

133 たからのちず 8

麻呂吉は信者達の話を聞き最初は全然興味を持ってなさそうだったユウカがどんどんaiPhoneに興味を持ち始める様子を見て、自分も我慢が出来ないような素振りをしていた。 ゴザルゴザルと言っていたリュックを担いだヲタク系のMapple信者が地図に詳しくないと…

133 たからのちず 7

「ユウカさんと言われましたね」 仏のような微笑みで鶏のトサカを思わせる髪型の男が言う。 「は、はぁ…」 「ケータイをどのような用途で使うおつもりでしたか?」 「ん〜…なんか、色々出来るっていうし。まぁ、話せればとりあえずはいいけど。メールとか、…

133 たからのちず 6

さて。 説明を始めるか。 まずは何から話そうか。 「えーっと、まずは…マンドロイドのメーカーであるCoogleについて」 「あぁ、Coogle先生のCoogleね」 「Coogleっていうのは最初は検索エンジンからスタートした企業で、検索エンジンの検索ワードで上のほう…

133 たからのちず 5

ンテテ社のケータイショップは俺が産まれるよりも前では他のケータイショップとあまり大差なかったらしい。少し店が広いぐらいで。 しかし今では店の広さを利用してケータイショップらしからぬ事をやらかしはじめ、他社との差別化を図っている。例えば店の一…

133 たからのちず 4

栗原ちなつことチナツさんは隣のテーブルでいびきを掻いて寝てる男、『眞鍋麻呂吉(まなべ・まろきち)』を若干乱暴に揺らして起こした。 「ん、な、なんですか?」 眼を擦りながら俺達の方を見る麻呂吉。 揺り起こした相手が首から通信ケーブルを尻尾のよう…