2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

9 初デート(リメイク) 3

喫茶店を離れて向かったのはショッピングモールだった。 ケイスケと一緒に女モノの下着やらを買いに向かったのもここだった。どうやらユウカ曰くここへくれば大抵のものならなんでも揃うらしい。ただし値段については保証されない…だとか。 ただ百貨店のイメ…

9 初デート(リメイク) 2

「…ったく…。どうしてこのタイミングで逃げるのよ」 ユウカは言った。 喫茶店のテーブル席にはナノカが完食したパフェの器と一口だけ飲んで「ニガーッ!」と言って残したアイスコーヒーが残っている。 そういえば先払いの店でもないしナノカの分は誰が払うの…

9 初デート(リメイク) 1

先週、色々と部活やら学校やらの案内をユウカやナノカにして貰ったけれども、結局のところ、俺は部活に入る件については保留にしておいた。 何やらユウカ的には俺をテニス部に入部させたい感があったようなのだが、入部してから毎日毎日あのユウカの勝負好き…

167 限界突破集落 10

俺達は警察に連れられて駅の近くへやってきていた。 どうやら村人はこの村で唯一の公民館のような場所に集められているようだった。そして、一番安全なのはそこしかないと聞かされた。 暗闇に閉ざされていた村だったけれども何故か公民館と呼ばれた場所だけ…

167 限界突破集落 9

俺達は他の家も回った。 ある家は足と手を切断されたジジイが這いずって外に出てそこで絶命していた。ある家はナタによって頭を縦に真っ二つにされた状態で、まだ息があった。俺達が話し掛けると白目を剥いてそのまま絶命した。ある家は壁という壁に血を撒き…

167 限界突破集落 8

夕闇が辺りを包んで電車内だけが明るかったのを電車を降りてから知ることになった。そう、俺達は再び金保地区へ降り立った。 …そして俺達の乗った電車は最終電車だった。 俺達を下ろしたらもう他に下ろすものがなくなった最終電車は、次の停車駅を『out of s…

167 限界突破集落 7

俺達は警察署の近くにあった喫茶店にいた。 警察では色々聞いたけれどまだ頭の整理はついていない。どうするべきか、どうもしないべきなのか、俺達オカルト研究会で話し合うために時間が必要だった。 「一番最善な策は保坂さんが村を出て行く事かな」 そう言…

167 限界突破集落 6

再び新しいタバコを箱から取り出して火をつける警官。 押し黙ってしまったオカ研会長を前に威圧的な態度は変えないままだ。そして、そして言う。 「悪いことは言わない。あの村から手を引くんだ」 タバコの煙を吹きかけながら。 しかし、表情ひとつ変えない…

167 限界突破集落 5

その日の朝のうちに俺達は警察に辿り着いた。 バックアップも取り、サーバにはYoutubeに自動的にアップロードできるようにスクリプトを仕組んだ。 まぁ、俺の予測では警察も消防も面倒くさい事が嫌いだから俺達がなんとなく犯人っぽかったから「こいつらでい…

167 限界突破集落 4

朝。 引き摺るようにタクシーに会長を乗せた後はその足でオカ研会長の自宅へと向かった。録画しているというビデオを確認し、複製し、編集してよしんばYoutubeにでもアップしてやろうという魂胆だ。 「Youtubeにはアップしない」 きっぱりとそう言い切った会…

167 限界突破集落 3

「むにゃむにゃ…」 俺は涎を垂らしながら眠っていたところで、ふと目が醒めた。 深夜2時ぐらいか?布団の中でaiPhoneの時計を確認するとそんな草木も眠る丑三つ時だ。嫌な予感がする…おいおい、なんでこんな時間に目が覚めるんだよ!! しかし、しばらくして…

167 限界突破集落 2

保坂さんの家に入ってからすぐに俺達は夕食を摂り始めた。 時間的にはかなり早かったと思うけれども、何かしていないと不安な気持ちになるのだ。テレビを付けてやたらと五月蝿い芸人が沢山ひな壇に出てきて、最後はそのひな壇が一気に崩れ落ちるっていうタモ…

167 限界突破集落 1

夕方、放課後に俺とキリカは着替えなどを持ってあの日のように、再び駅前に集合した。 オカ研会長の指示は、とりあえずは今日はオカルト研究会合宿だと親に伝えてくれということと、コンビニなどで夜食のお買い物を済ませてくれとのこと。 俺は保護者(けい…

166 限界破裂集落 11

ビデオは相変わらずのインタビューを続けて報じていた。 次。 村人が集まって話をするような施設…市民会館?みたいなものが小さいながらも用意されてて、その場所にジジババが何人かいる。そこへカメラを向けて近づいていく会長。 見ればそのジジババのうち…

166 限界破裂集落 10

週明け。 俺とキリカは昨日、オカ研会長の言った「学校を休んでずっとここに泊まる」という言葉が本当なのかを確かめる為に上級生がいるフロアを訪れてみた…がやっぱり本当だった。 岡田健治ことオカ研会長は本人から担任宛に『病欠』という電話が掛かってき…

166 限界破裂集落 9

電話が鳴り響いた。 寝入りだったので本当に叩き起こされた気分だった。 この医院内の電話はかなり大きく音が設定されているようで、耳を塞いでいても地面を振動して音が襲い掛かってくる。 俺やキリカはもちろんのこと、オカ研会長ですら飛び起きた。 そし…

166 限界破裂集落 8

医院は住居と診察室、手術室、ベッドや個室が合体したような建物の構造になっていた。そして補助金を用いて建てれた云々の話を先ほどしていたけれども、全体的に真新しく俺やユウカが住んでいるような住居と違いはない。違うのは村の家々のほうだな。 さっき…

166 限界破裂集落 7

小一時間ほどしてから病院の前に到着した。 サロンと見紛うほどに造りは真新しかった。 最近の病院はこんな感じで清潔感っていうか温かみみたいなものが感じとれるような見た目になってるな、なんて記憶の中にある他の病院などを見比べてみる俺。 その温かみ…

166 限界破裂集落 6

壮絶な雰囲気の田舎のなんちゃってコンビニを後にした俺達はひとまず誰も待ち合わせすることのない駅のロータリー前に居た。 バス停を示す標識の下にはもうウン十年と時間が立って塗装が剥がれ中が錆びて腐っている時刻表がある。その状態でもバスが来ている…

166 限界破裂集落 5

駅を出た。 さすがに時代劇にあるようなアスファルトが全くない道路ではないけれども、それでも整備は行き届いていない荒れ果てたアスファルトが広がっている。 駅前だというのに商店もないしタクシーだって並んでいない…いや、俺達が住んでいる駅を基準に考…

166 限界破裂集落 4

週末。 せっかくの土曜日だというのに俺はキリカとともに駅のホームにいた。などと俺がモノローグで語ろうものなら…。 「土曜日に私と過ごしてるのに『せっかくの土曜日だというのに、キリカとともに駅のホームにいた』ですか…」 などと言われるのだ。ヤバイ…

166 限界破裂集落 3

「やぁ」 相変わらずの疲れた挨拶だ。 オカルト研究会…オカ研会長の岡田健治は俺とキリカのほうを一度は見たものの、視線を逸らして、教室の出入口のドアを横にスライドさせて顔半分だけ出して、そう言った。 俺は一瞬、それをスティーブン・キング原作の『…

166 限界破裂集落 2

マコトが料理をテーブルに並び終える頃には、俺も冷蔵庫から山口の地酒でありながらも口コミだけで世界的に有名な酒になった『獺祭』を取り出してグラスに注いだ。 テレビの画面をチラ見する。 特集はまだ続いていた。 続けて放送していたのは真新しい建物の…

166 限界破裂集落 1

ケイスケ宅では基本的に夕方のニュースの時間は衛星アニメ劇場というちょっと前のアニメの再放送をやっているチャンネルを見ているのだけれど、ケイスケが何らかの事情により居ない時は他のチャンネルを見ている。今日がその日だった。 マコトが夕食の料理を…

8 傍観者(リメイク) 6

運転席部分を全て切り離したバスが道路に土砂と共に到着した。 乗客の一人、Twitterで助けを呼んでいた人は土砂によって凹んだバスの側と椅子の間に足を挟まれていたから、その箇所を今はレスキュー隊とドロイドによって椅子を切断する作業が行われていた。 …

8 傍観者(リメイク) 5

目の前にある山…元々そこにあるはずのなかった山はトンネルを新たに造らなければならないと思わせるほどに道路を遮断している。 それを飛び越える際に風が俺を吹き飛ばそうとする。いや、風だけじゃない、雨も銃弾のように身体に突き刺さってくる。 さっきは…

8 傍観者(リメイク) 4

俺は魔女の宅急便のキキよろしく、大雨の中を特別な力…グラビティ・コントロールを使って空を飛んでいた。 本来ならこんな大雨の中をビショビショの状態で傘も差さず、カッパも羽織らずに身体を濡らして行けば体温は削り取られて体内のウイルスが活性化して…

8 傍観者(リメイク) 3

<<マジかよ>> <<これじゃね?(ニュースサイトのURL)>> <<これ運転手死んでんじゃない?>> <<うわぁ…>> 俺はニュースサイトのURLからリンクを開く。 ほんの2分前ぐらいに更新されたニュースだ。 通勤用バスが山から落ちてきた土砂と落石で…

8 傍観者(リメイク) 2

俺は大喜びで2階へと駆け上がった。 何を言っているのか分からないと思うけれど、いわゆる「ヤッベェwww台風すげぇwwwwクッソ楽しいwwww」状態だ。 俺は男の頃からネトゲを楽しんでいるわけだけれど、例えばパーティプレイで皆が一生懸命頑張って…

8 傍観者(リメイク) 1

俺が学校へ通うようになってから2日、この女の子の身体になってから5日が経過していた。そんなある日。 その日は雨だった。 稀に見る豪雨で避難警報やら避難勧告やらが発令されるほど。 台風の直撃を受けやすい九州などの地域と違って、ここいらは普段から雨…