2013-12-01から1ヶ月間の記事一覧

12 優等生の憂鬱(リメイク) 1

「今日は皆さんに…悲しいお知らせがあります」 そう言って俺は教壇の上に立った。 ホームルームの時間だった。 そして用意された机の上に手をついて、肩を落とした。 絶望。 それは深い絶望だった。 俺が(無理やり)クラス委員長をしている(させられている…

11 藤崎紀美香は静かに暮らしたい(リメイク) 7

俺がクラス委員長になってから既に1週間が経過していた。 普段と比べると…(と言っても、普段からユウカ、ナノカとしか話さないけれど)俺に対する態度が冷たくなったような気はする。 既に女子はブルマで体育は行ったし、そろそろ俺を委員長の座から引き摺…

11 藤崎紀美香は静かに暮らしたい(リメイク) 6

その日の終わりの会。 そこでもクラス委員長である俺と相方の男子が壇上にいた。 よくよく考えると本当に面倒くさいなぁ…朝のホームルーム、終わりのホームルーム、臨時のホームルームと全部出てから色々やらなきゃいけないんだよ。前の学校ではキリッつ、き…

11 藤崎紀美香は静かに暮らしたい(リメイク) 5

「こんなの絶対おかしいよ!!」 俺は再び意義を申し立てた。 なぜなら、俺が何もしなければ、このままクラス委員長に決定されてしまい、クソ面倒くさい業務を行わなければならなくなるからだ。声を上げなければならない時に声を上げないで酷い仕打ちを味わ…

11 藤崎紀美香は静かに暮らしたい(リメイク) 4

3時限目の体育の時間は、今までと同じ様に女子の中でバレーをする俺の姿を、体育を受けている男子達(バスケットをしている)が横目でチラチラと見てくる状態が続いた。 視線には気づいてたけれども、いざ俺が男子達のほうを見ると、これよみがしにバスケッ…

11 藤崎紀美香は静かに暮らしたい(リメイク) 3

3時限目、体育。その前の休憩時間。 キャッキャウフフの声達が響く更衣室。 そろそろ女子の裸にも慣れつつあった。 俺のように2次元の世界から飛び出してきたかのようなベストスタイルならともかく、高校生の女子はクラスで4分の1ぐらいしかそれに近づけるよ…

11 藤崎紀美香は静かに暮らしたい(リメイク) 2

下駄箱から溢れでたラブレターの山はパサパサと音を立てて床に落ちる。そんなシーンを見て喜ぶのはドラマや漫画の中だけだ。 この登校時の慌ただしい時間でそんな事が起きたら、抱えていたバッグに穴が開いていて中身が地面にバラけた時ぐらいの焦りを覚える…

11 藤崎紀美香は静かに暮らしたい(リメイク) 1

俺がこうなる前に通っていた高校は偏差値的にも通う生徒の親の収入的にも中の上クラスの学校で、男から女まで可もなく不可もなしの平均顔とルックスだったけれども、学園のアイドルという存在はいた。 そういうアイドル的な存在は人間がいかにバランスを美と…

173 ナニモノにもなれないワタシ 6

「体育会系?私が?」 佐村河内小保子は俺にそう言った。 自覚なんてものはないらしい。 「みんながみんな貧乏な国と、貧富の差はあるけれど貧乏ではない国…どちらの人間が不幸と感じているか、わかる?」 「…」 「人は自分の近くに自分よりも金や、地位や、…

173 ナニモノにもなれないワタシ 5

急いで屋上へとあがる階段。 途中から警察の人間が揃いも揃ってつっかえている状態だ。 ヘリの音が聞こえる。 俺とソンヒとマコトは彼らを掻き分けて屋上へと出た。 異様な光景だった。 ヘリが最低でも2機は空を巡回し、何人もの警察のスナイパーがそこから…

173 ナニモノにもなれないワタシ 4

叫び声。 銃声。 マコトはドロイドバスターの秘術『エントロピー・コントロール』で周囲の水分を一気に凍らせて個体を生成し、防壁を創って自分と周囲の警察官を守った。一方でソンヒは地面も机も鉄の塊にして防壁を創って自分と自分の周囲の警察官を守った…

173 ナニモノにもなれないワタシ 3

「聞こえてるんだろうがーッ!!」 誰かが叫んだ。 叫び要因として用意されてでもいるのだろうか。 岡野が慌ててフォローに回っている。 「佐村河内小保子さんは耳は聞こえていません。ただ、治療を行ってある程度は聞こえるようになっている」 「じゃあ、『…

173 ナニモノにもなれないワタシ 2

記者会見の日だった。 その日は学校があったけれども欠席をした。 ナツコとマコト、そして俺の3名は家でキャットフードを食っていたにぃぁ先生に一言、『あたし達とソンヒは学校休むから。ちょっと今日は用事があって』と言って出ていった。 途中でソンヒと…

173 ナニモノにもなれないワタシ 1

「ウェーハッハッハ!!盗みに入ったバカが殴られて血反吐を吐いて泣いてるニダ!!自業自得フルコースニダァ!!」 画面を指さして笑うソンヒ。 しかし、そんな状況ではない。 笑える状況ではない。 クラスメートの面々に背後から白い目で見られている事に…

172 技術者≒消耗品 3

ざわざわ…ざわざわ。 教室内はホームルームの時間だったが登場したにぃぁ先生にはキャットフードを誰かが食わせて静かにさせて、クラス委員長のユウカですらもナツコが流している映像に見入っていた。 ドラマ仕立てになっていて興味を引くような内容だったし…

172 技術者≒消耗品 2

翌日。 学校にて、俺はaiPadを広げてソンヒと共にホログラムを覗きこんだり、キーを叩きまくったりしていた。じつを言うと佐村河内小保子批判の2chスレで批判を書きまくっていた。 <研究結果を盗まれた秘密研究所のチームと佐村河内小保子のチームは全然別…

172 技術者≒消耗品 1

その日の夕方までには柏田重工秘密研究所まで到着した。 などとモノローグに語っていて、いったい、その『秘密研究所』という名前の意味にどこまで真意があって、どこまで名が体を表しているのか疑問符だ。 同じ会社の中だから情報が漏れた…いや、盗んだとし…

171 コピー&ペースト野郎 7

颯爽とMappleのキーボードを叩く俺。 遠目に殆ど未使用に見えるものの、じつはShiftキーとCommandキーとCキーとVキーが掠れている。 こんなことってあるのか? どうしてそのキーだけ掠れているのか、パソコンを使う人間なら何となくはわかるものの、それでも…

171 コピー&ペースト野郎 6

電脳通信が入る。 手こずっているようなのでナツコが心配してきたようだ。 『何かトラブルがありまして?』 『ちょっと、大変な事になってる…』 『見つかったのです?』 『見つかりそう…掃除のおばちゃんが部屋に入ってきて掃除を始めちゃってて、あたしとソ…

171 コピー&ペースト野郎 5

本棚のところにはナツコの研究結果を盗んだと思われる形跡は無かった。あったのは中身が空っぽの見た目だけの学術書、それから自己啓発本の山だ。それも、殆どが1度か2度読んだ程度の綺麗なもの。そろそろマコトが担当していた机のほうを俺も探そうと思って…

171 コピー&ペースト野郎 4

研究所内にはIDカードを用いてすんなり入ることが出来た。 本来なら客として招かれた人間は途中までで足止めされるのだけれど、ソンヒ曰く「まるで自分の家かのように振る舞えば、その家は、まるでその人が昔から住んでいたかのような家になる」など、まるで…

171 コピー&ペースト野郎 3

俺とマコト、ソンヒ、ナツコは茨城県のつくば市へ来ていた。 つくば市とは古くから『学園都市』の異名を持ち、日本の技術開発の根幹を支える多くの学術機関、研究機関がある街だ。 山口県は第4の首都に選ばれて、今でこそ珍しくなく街中には整備を行うドロイ…

171 コピー&ペースト野郎 2

翌日。 学校にて…陰鬱な気分で登校したと思われるナツコはそのまま机の上にうつ伏せになり、ぼっちな生徒が周囲に話しかけられるのを避ける時にとる体勢になった。 俺とマコトは事情は知っているからそっとしておいて上げてるわけだけれども、ナノカやユウカ…

171 コピー&ペースト野郎 1

未だに糖尿病の治療のために入院しているケイスケの代わりにマコトが夕食を準備するわけで、その為、ここ最近に至っては和食以外が珍しく感じる事になっていた。例えば学校のビュッフェ形式の昼食では無意識化で俺は洋食をセレクトしていた。 地方ごとに沢山…

170 にぃぁ放送局 11

俺は思わず椅子から転げ落ちた。 椅子から転げ落ちるのは普段からそうしているので例えそれが早朝4時であってもマコトも、それからそろそろ眠りについているナツコも気にもしない。あぁ、またキミカが椅子から転げ落ちる三枝師匠のギャグをやったのね、的に…

170 にぃぁ放送局 10

黒い腕輪の中に収められたMPU(量子演算ユニット)とデータチップ。 その中にはにぃぁの鳴き声から採取したデータをバイナリ変換して得た『人工知能』がインストールされ、そして起動している。 今のところは外部インターフェイスはネットへの接続のみ。そし…

170 にぃぁ放送局 9

ドロイド工学の授業の際に『工作室』という場所を使う場合がある。机上で出来ない事を行うためだ。 大抵の人間は高校になってからドロイド工学を学ぶときに頭のなかには大戦中の記録映像の中にあるような人間と同じかそれ以上の大きさのドロイドを頭の記憶領…

170 にぃぁ放送局 8

俺を『ニワカ』だとか『ドヤリスト』だとか言って罵っていた先輩の男…それは本名を志藤大輝(しどう・だいき)と言った。 俺が男だった時よりも背は高く、身体も俺が男だった時よりもガッシリしている。俺が男だった時なら喧嘩をしたらまず勝てそうにない。…

170 にぃぁ放送局 7

翌日の放課後。 昼休みに行こうとも思ってたけれど他のアホ(コーネリア、メイリン、ソンヒ)などが俺に付きまとってくる可能性もあったからこっそり帰るフリをして図書室へと入った。 よし。誰もついてきてない。 普段から帰宅部として鍛えられているからな…

170 にぃぁ放送局 6

夜。 早々に夕食を済ませた俺はテレビを見るわけでもなくお風呂に入って身体を洗い流し、さっぱりしたところで冷蔵庫にしまっておいたハーゲンダッチのアイスクリームを取り出して使い捨てプラスティックスプーンを突き刺したのち、2階へと上がろうとした。 …