2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

22 自由から不自由へ 2

(桐ケ崎尊(きりがさき、みこと)これが俺の名前だ。そう…夢の中の俺の名前…) ごく普通の家に生まれて、ごく普通に成長して、ごく普通の会社に努めていた 年齢は25歳。 仕事もそろそろうまく回り始めて、学生と社会人と二つの人間関係が築き上がる頃、休み…

22 自由から不自由へ 1

砂漠の夜は昼間とは真逆だ。まるで振り子の右と左のように、昼の温度が高ければ高いほどに夜は寒くなる。それはほんの僅かな間に部屋の扉を開けただけでも、扉が開けられたことが分かる程にだ。 肌寒さを感じて起き上がるマハ。 もうここ最近は毎晩のように…

5 キミカお葬式会場 5

俺がビッチ…いや早見のほうを見てると目が合ってしまった。女のカンっていう奴なのか、自分のほうを見てる奴と目が合うのだろうかな。 「し、知り合いなのかい?」 とデブが俺に聞く。 「まぁ、幼なじみかな」 「お…お…お…」 「お?」 「幼なじみ!!り、リ…

5 キミカお葬式会場 4

献花の時間となった。 俺達は3つの花を渡された。 棺桶の蓋が開けられていた。両親の棺桶の蓋は足の部分しか開けられていない。遠目でそこを見てみると白い装束を着させられてる両親の真っ白な足が見えた。死体に化粧をする職業があるみたいだけど、さぞ大変…

5 キミカお葬式会場 3

葬式が始まった。 前には棺が置いてある。3つ置いてあった。普通は棺って顔を見る部分があるんだけど、その棺のうち2つは顔を見る為の蓋が無かった。 「あの棺、蓋がない…」 「う、うん…。損傷が酷くて顔を再現することが出来ない時は、棺に蓋はつかないんだ…

5 キミカお葬式会場 2

「調べてみたら君と君の家族の葬式は今日みたいだよ。司法解剖の関係でちょっと遅れたっぽい…」 「そっか」 「本当に行くのかい?」 「いくよ。親の葬式に出ないとか子供としてありえないじゃん」 「そ、そうだけど…」 このデブ、俺の事を心配してくれてるの…

5 キミカお葬式会場 1

朝起きて、俺は今まで起きたことが夢じゃないかって思うことがある。全身大火傷を負ったことも、その後に肉体をロボットに改造され命が助かったことも、それが全部夢で、家族と一緒に暮らしていた時の事を思い出して、いつになったら夢が覚めるのだろうと思…

21 2国間対談 2

風雅達は女王の後を追って歩いた。 「ジニアス、お前の目的はこれだったのか?」 ロイドがさりげなくジニアスの近くによるとそう耳元で言う。 「ええ、そうなんですよ…私は軍務のほうが向いているのに、いい経験をするだろうからと外交官の役を『やらされて…

21 2国間対談 1

風雅達とレッカ女王はバベルの塔から出た。 彼らを待っていたのは風雅達にとってはよく知った顔であった。ジニアスだ。幾人もの部下を従えて、加えて女王の従者達もいる。 「女王…」 従者の一人がレッカの側に近寄り、耳打ちする。その後、女王はそのまま表…

20 ストーリー 2

「私が思うに、」 レッカ女王がスケッチブックのページを一つ一つゆっくりと開きながら言う。 「バベルはこのスケッチブックを完成させたかったのではないかな。それはバベルの手ではなく、この絵に込められた思いを誰かによって達成させるという事での完成…

20 ストーリー 1

風雅達がテレポートした先には見覚えのあるフロアが広がっていた。 「ここは…バベルの塔の中層?」 という風雅の声を聞いて振り返る影。暗闇から姿を表したのは、そこで調査隊の船頭を切って作業していたレッカ女王の姿だった。 「どうやってここへ…?」 「…

4 初戦反省会会場 4

「あぁぁ!そうじゃない!そうじゃないよ!ふぅ〜。ふぅ〜。今、危うく丸め込まれるところだった!僕はそれが一番言いたかった事じゃないんだった」 一瞬俺の意見に同意して、あーよかったよかった、今日は寝るか。って雰囲気になっていたデブがはっとして起…

4 初戦反省会会場 3

「うんこもしっこもしないってどういう事なんだ?おぉ?」 「つまり、体内に取り込んだ栄養を分解して完全に使い切るって事なんだよ。本当はちょっとだけは残るけど、焼却する事で燃料になる」 「別にしてもいいじゃん。人間に合わせてもいいじゃん」 「いや…

4 初戦反省会会場 2

海外で使われている業務用ぐらいの大きさのある鍋が俺の目の前に登場し、そんな巨大な鍋の中で一体どんな食材が調理されているのかと見ていたら何のことはない、普通の肉じゃがが出てきた。それを普通の皿の上に置いて俺の食事だというのが解った。 肉じゃが…

4 初戦反省会会場 1

最初の戦闘が終わってから俺は石見の家に帰っていた。 自宅に帰ろうとも思ったのだが、今、女であるこの姿で元の家に行けばさらに事がややこしくなるだろうし、そこには両親の姿もないのだから戻ったところで嫌な気分になるだけだと思った。それに石見も俺が…

3 キミカ参上 4

巨大なコンクリートの塊と共に空へと飛び上がる俺の身体。 なるべく奴の攻撃が始まる前に、これを奴のドタマの上に落下させてやる。 戦車は反対車線側から攻撃してくる軍か警察の連中と交戦していた。その上から俺は岩石(コンクリート)を放り投げた。 「食…

結ンデ開イテ羅刹ト骸を私なりに解釈してみました

ちょっと小説は小休止です。 夏と言えばとニコニコ動画で「結ンデ開イテ羅刹ト骸」のPVを見ていました。ふと、私なりの解釈をつけてみたくなったので書き綴ってみます。 解釈は人それぞれですので「それは違う」「そう思うのはあなただけ」とかあると思いま…

3 キミカ参上 3

よく自分が事故を起こした瞬間だとか、分かりやすく言うのなら死ぬ瞬間など、人っていうのはその一瞬がスローモーションのように見えると言う。俺もまさにその状態だった。戦車の砲塔から発射振動が眼に見えるほどに広がったかと思うと砲弾が俺めがけて一直…

3 キミカ参上 2

『クソっ!撃たれた!』 俺の身体は戦車に狙撃されてから宙を舞って、そのまま停めてあったトラックの荷台にぶち当たって突き破り、荷台の中に転げていた。 身体に穴でも空いたかと思ったら無傷だった。 『だ、大丈夫かい?』 『大丈夫なわけねーだろ!』 『…

3 キミカ参上 1

トイレの窓から店の外に脱出すると、街の通りの方で慌てふためく一人のデブが居たのが見えた。石見だ。 駆け寄ってからまるで恋人同士の待ち合わせのごとく俺は、 「おまたっ」 「おまたじゃないよ!」 「ん?人が居ないな」 さっきまで通りにはたくさんの人…

2 キミカ出動 5

俺の指の中に現れたその球体は一瞬で俺をも包みこむ巨大な空間となった。身体全体を冷たいような感覚が襲った。なんかちょっとSMチック?な際どくて露出の高いスーツ、それからマント。球体と同じく光を吸収するかのような黒い素材で出来てる。その後、ぱっ…

2 キミカ出動 4

「えっと、私の…心…アンロック…だったっけ」 『もっと大きな声で言わないと!あとちゃんと胸のあたりで指を四角にして回転させながら』 『わかってるよ!ったく…』 俺は胸のあたりで指で四角を作る。これが一体何の意味があるんだ。まぁヒーローの変身セリフ…

2 キミカ出動 3

喫茶店に入ってからまっすぐにトイレへと向かう。 それから個室へと入って、さっそく俺は服をひとつひとつ脱いでいって…。一体俺は何をしているんだ?なんでトイレで全裸にならなきゃいけないんだ?っていうか、俺間違って男子トイレのほうに入っちゃったし…

2 キミカ出動 2

「よし、この辺りに停めておこう」 車は渋滞していてもう殆ど進めなくなっていた。そりゃそうだ。道路の戦車が歩いてるんだから渋滞もするはずだよ。救急車やら消防車も進めなくなっている。警察がその隙間を走ってかけっていく。 それにしても…。こんなにの…

2 キミカ出動 1

さっきからつけっぱなしになっていたテレビの画面が突然緊急放送に切り替わった。画面は都心のビルの隙間にそこにあるべきではないものが映っている。戦争中に使われていた多脚戦車。それらが車を踏みつぶしながらビルの間を進んでいる。ヘリはそれを中継す…

1 ドロイドバスター・キミカ誕生 8

「へっ…なんだよ、それ」 俺は思わず笑っていた。 強がりっていうよりか、あまりにも突拍子も無い事なんで頭が受け入れてくれないような感じになっていた。でも、それは全部現実だったんだ。俺の身体はどこにもないし、今、全然病院とか関係ない場所にいるし…

1 ドロイドバスター・キミカ誕生 7

流石にずっと素っ裸のままでいるのはおかしい。 俺はデブが用意していた下着及び服を着た。 下着はちょっとピンクっぽいブラとパンツの上下。これもきっと何かのアニメの服なのだろう。学生服のようにも見える服だ。赤のスカートに赤のネクタイ、白のブラウ…

1 ドロイドバスター・キミカ誕生 6

「お、落ち着いて!」 「元に戻してくれたら落ち着いてやるよ!」 俺は白衣のデブの上に乗りあげてマウント姿勢をとったまま首を締めた。でもデブの首は贅肉が分厚すぎて全然効果がない。ライオンのオスが喧嘩をする時に首の周りを保護するためにたてがみが…

1 ドロイドバスター・キミカ誕生 5

え?鏡がなんだって? そうか、俺の身体の火傷が全部治ったのを見せようと、そういう事なんだよね。あれだけの凄い(SFチックな)技術なんだから俺の身体は回復してるに違いない。ほら、手とか、足とか…ん?なんだこの毛の生えてないすべすべの肌。女みたい…

1 ドロイドバスター・キミカ誕生 4

声…? 誰だ? 水槽の中で誰かが話し掛けてきたんじゃないかと最初は思って振り向いたりした。でもこの水槽にはそんなものはない。実際、どこから聞こえた声かって言われると、前からも後ろからも、上からも下からも聞こえたような気もする。そういう聞こえ方…