118 自由研究『戦車について』 4

4人はユウカの家まで戻ってきた。
「さてと、どうするかなー」
と俺が汗を拭いながら言う。
「トリアエズ、涼シイ場所デ冷タイDrinkデモ飲ミタイデス」
コーネリアも暑そうだ。
ユウカ妹はさっきからシクシクと泣いている。
そして彼女は黙って家のドアのカギを開け中へと入る。
別に招待されているわけでもないが俺達もそのまま家の中へと入っていった。カギが掛かってるってことはユウカは家に居ないっぽいな。…そういえば用事があるので妹をよろしく的な事も言っていたような気がする。ったく、結局自分が戦車を完成させられないとかいう以前に用事があったからじゃないのかぁ?俺達に任せたのはー?
「暑ィ!!暑イデスゥ!!!」
「そりゃ今からクーラーつけるから暑いに決まってるじゃん」
アメリカデハ外出スルトキ冷房モ暖房モツケッパナシニスルノガ一般的デス!家ニ帰ッテキタトキコンナ状態ニナッテイナイヨウニ!」
「なんて勿体ない事をしてるんだよ…」
「ソレヨリ冷タイモノガ欲シイデーッス!」
コーネリアは勝手に冷蔵庫などを探しているがユウカの家は結構ケチなのですぐに飲めるものは存在しないだろうと俺は思っていた、と、案の定コーネリアは苦虫を噛み潰し様な顔で、
「Nothing!!」
と叫んだ。
一方でユウカ妹はというと、あのぐるぐる巻の布団のままソファに倒れ込んだ。
「そんな格好してるからだよ、危険だよ?」
とマコトが心配しているも、どうやら倒れこんだ理由はそうではないらしい。何故ならそのまま肩をピクピクとさせながら泣いているような感じなのだ。
俺とマコトは顔を見合わせた。
「ねぇ、キミカちゃん、あの戦車を夏休みの研究課題として提出できないかな?」
「でも大破しちゃってるよ?」
「なんていうか、その、あれだよ。戦争の悲惨さを伝えるような…」
「あぁ!その手があったね!」
むくりと布団ぐるぐる巻女ことユウカ妹は起き上がり、
「どうするの?」
と尋ねる。
「芸術作品として提出するんだよ、戦争によって大破した戦車として。動かなくても形が滅茶苦茶になってても戦車は戦車だよね」
「マコトハ中々頭ノ使イ方ガウマイデスネ」
何故か上から目線のコーネリア。マコトの頭をなでなでする。
「あれだけの大きさだからさ、学校に置いておいたほうがよくないかな?この家の庭にはあの戦車は置けないよ」
そう俺がいうと、
「デハ、学校ニイマカライキマショウ。設置シニ」
「い、今から…?」
さっき公園から帰ってくるまでにかなり消費したんだ…貴重な体力を…今からドロイドバスターに変身して飛んでいくのならまだしも、ユウカ妹がいるからそんな事はできるはずもなく…。
「もうちょっと涼しくなってからにしようよ…」
「そうだね、ボクも賛成だよ。今は部活とかもやってるだろうから、ボク達がこの芸術作品を今展示しに行ったらきっと騒ぎになる」
「OK。ジャアソレマデ、コノ家デクツロギマス…トリアエズシャワーヲ浴ビテキマース」
さすがはアメリカ人、とりあえずシャワー…ってよく人の家で勝手にシャワー浴びる気になるなぁ。
「んじゃ、あたしはちょっと、」
と俺はそのまま2階へと足を運ぼうとする。
「え?キミカちゃんどこいくの?」
「2階のユウカの部屋に行くんだよォ」
「行って何するの?ユウカさん居ないんでしょ?」
「ティヒヒヒヒヒ…」
「キミカちゃんがその笑い声を出す時は良からぬ事が起きる前触れ…キミカちゃん!駄目だよ!何をするのかよくわからないけど、とにかく駄目だよォォォ!!!」
「ティヒヒッ!」
そのままダッシュでユウカの部屋に駆け上がる俺。
扉を開ける。
相変わらずだ。
相変わらずの趣味とか何も感じられない部屋だ。アニメのポスターでもどこかに貼っとけばいいのに、なんにもないなぁ、ここは…。
さて、タンスの中には何があるかなー?パンティーみっけ。
俺はそれを頭からかぶってみる。
「ちょっとあたしのパンツよりは大きいかな」
その時、突然ユウカ部屋の扉が開くので俺は心臓が口から飛び出るんじゃないかというぐらいに驚いた。
「キミカちゃん何やってるんだよォォ!!」
「あぁぁぁ!おねぃちゃんのパンツ被ってる!」
「あ、いや、コレはね、スパイダーマンのコスプレで」
「かなり違うよ!っていうか怒られるよ!」
俺は静かにユウカのパンティーを頭から脱いでタンスにしまう。
それからマコトにユウカのスクール水着を手渡して、
「マコト、これ着てみて!」
と笑顔で言うのだ。
「えぇぇぇぇ?!」
「大丈夫大丈夫、ユウカは帰ってこないよ!!」
その時妹は、
「おねぃちゃんは下着とかの位置覚えてるから気をつけたほうがいいよ」とかなんだか不安になることを言うのだ。
「な、なんでそんなの覚えてるの?」
「前にキミカねぇちゃんが部屋に侵入したことがあったらしくて、その時におねぃちゃんの部屋のタンスの中からパンツとか水着出してキミカねぇちゃんが勝手に装着したことがあって、それで警戒して全部の位置を覚えるようにしてるんだってー」
「なんて無駄な努力を!!」
「キミカちゃん、やっぱやばいよ、戻しておこうよ…」
と言いながらもマコトは既にユウカの水着を着ている。
「うわぁ、マコトその水着、全体的にブカブカだねぇ!」
と俺は笑いがこらえきれず状態で言う。
「た、たしかに…まぁ胸は仕方ないよ、ボク胸ないし…でも、」
と、腰から下の方の水着の生地を摘んで、
「こ、これは…ボクが痩せすぎなのかな?」
「そんなわけないじゃん!ユウカのお腹には赤ちゃんがいるんだよ!」
「え?そうなの?!」
「贅肉と言う名のね…」
「ぁゎゎゎゎ…」
「んじゃ、あたしは…ビキニにしようかな?」
ま、位置をちゃんと覚えておけばいいだろう。
タンスの中から慎重にビキニの水着を取り出す。ピンクの可愛らしい水着である…って、これ着てるの見たこと無いぞ?彼氏と一緒にデートする時に着てるのかァァァ?!ァーン?!
さっそく装着…。
下が若干緩いというかサイズが大きめではあるのだが気にはならない差だ。しかし、これは…このおっぱいのところは…。
「キミカちゃんのおっぱいよりも大きいっていうのが凄いね」
「おねぇーちゃんはおっぱいのサイズいくつなの?」
ユウカ妹に聞いてみると、
「Fとか…E…だったような」
「Fゥゥ?!Eィィィ?!」
「キミカちゃんってDだよね?」
「おっぱいのサイズは負けました…」
「でもキミカちゃんのおっぱいは美乳だからいいと思うよ!身体にちょうどいいサイズの!!」
確かに俺のこの小さい身体でFとかEだった場合は戦闘中常にブルンブルンと乳揺れしまくって邪魔なことこのうえない。
その時、ユウカ妹がボソっと呟いた。
「あたしも、おねぃちゃんみたいにおっぱい大きくなりたいな…」
…。
「そ、それは…まず布団を脱がなきゃ…」
「え?なんで?」
「えっと、その、ブラの定義でいうのなら、おっぱいの成長を阻害するので少し大きめのブラを付けるらしいよ。そういう意味だと布団にくるまるのはおっぱいの成長を阻害するから駄目って事になるゥ…」
「そ、そうなのか…」
そう言うとユウカ妹はモサモサと布団を揺らし始めた。
これは脱いでいるのか?
暫くすると布団がゴロンと床に横たわる。まるでミミズを食べるヒルが餌のミミズを途中で吐き出すみたいに、布団の中から体液まみれの…失礼…汗まみれのユウカ妹が出てきた。
制服姿だが汗で透けててもうスケベオヤジなら飛びかかってしまいそうなエロスを漂わせている。って…。
「ブラしてない…?」
と俺が聞いてみる。
「う、うん…だってまだ、ブラするほどおっぱい大きくないし」
マコトが慌てて布団でユウカ妹のおっぱいを隠しながら、
「だ、駄目だよォ!女の子がノーブラなんて!汗で乳首が透けてるじゃないかァァァァ!!」
「いや、これはこれで意外と…ティヒヒ」
「…妹に手を出したら、絶対にユウカさんに殺されるよ…」
「だ、出さないよ!失礼な!あたしをまるでケダモノみたいに」
「だってキミカちゃん、ボクのおっぱいみてから『ロリロリーン!』って叫びながら抱きしめてきたりするじゃないかぁ…そういう方向にも許容があるのかと思って…」
「ま、まぁ、とにかく、これから日が落ちてから学校にいくんだからさ、お風呂で汗を流しておこうよ。ティヒヒ」
「最後に『ティヒヒ』が気になる!」