小説

175 ビジネスの話をしましょう 1

中国でも南側はわりとマスコミが自由に動けるようで中国や台湾、日本、そしてアメリカ、ロシアやフィリピン、インドネシアにマレーシアと、アジア各国のマスコミが勢揃いしていた。 日本もお馴染みの左翼系マスコミが中心となって中国様のケツの穴でも今から…

174 スーツケースの男 10

なにはともあれ、俺はスティーブが目の前で死んでいるという事実を知りながらもそれを隠蔽し、コーネリアとスカーレットの精神的な揺さぶりにも耐えた。今でも手や足が震えている。 ようやくホテルの部屋に戻って来た俺は冷や汗でベトベトになっていた服を脱…

174 スーツケースの男 9

「どうしたのよ、落ち着きなさいな」 スカーレットが俺の肩を揺さぶって言う。 俺は今、一瞬、衝撃波を食らって頭が麻痺して音や映像が遮断された状態になっていて、しばらくしてから目の前の景色が色を取り戻して、音が戻り、自我という意識が再生されはじ…

174 スーツケースの男 8

俺は頭のCPUをフル稼働させて、おそらくは使用率が100パーセントとなって全ての入出力を受け付けない状態で考えていた。 何を考えていたかと言えば、今日起きた出来事や、あの怪しげな研究施設のことだとか、ドロイドバスターについてだとか…そういうことで…

174 スーツケースの男 7

「ソウルリンクだよ」 ニヤニヤしながらスティーブは装置の前でキーを叩いた。 写真を撮るに飽きたらずデータも抜こうとしているのか? 「ソウルリンク…人や生き物の身体から伸びた管のような…」 「そうだ。来たまえ」 スティーブが見せたのは埃の積もったデ…

174 スーツケースの男 6

いくつかの地下鉄を乗り降りして移動する。 もう俺はそのメリケンを追いかけていくしか選択肢が無かった。どこに向かおうとしているのか、何をしようとしているのかがまるで掴めない。ただ、先頭をつかつかと歩いて行くのを見ると自分が護衛される対象になっ…

174 スーツケースの男 5

ドヤリング!! 人は何故ドヤるのか? 日常は主観的な視点から展開されて、他人からどう見えているのかは殆どの人が過ぎ去る時の中で置き去りにしている。しかし、ある時ふと今の自分を見つめなおす瞬間がある。自分は将来の自分をどう願ったのか、今の自分…

174 スーツケースの男 4

香港…中国のみならずアジアの中でも有数の巨大都市。 人口はWikipediaによれば1700万人。札幌と同じぐらいのサイズのエリアに札幌の4倍の人口がひしめき合っているのは近代建築技術をビル群に取り入れて再編させたかららしい。 天空にすら届きそうな摩天楼の…

174 スーツケースの男 3

「いつもいつもいいように利用して!!」 俺は怒鳴った。 男の時なら「いつもいつも良いように利用しやがって」と言っていたところだが、ケイスケによる言語規制で俺はツンデレ美少女が顔を真っ赤にして主人公に怒鳴る時のように、本人は怒っているけれど周…

174 スーツケースの男 2

座頭市も真っ青の居合抜きで戦闘行為の片鱗を見せつけると、とたんに側にいた側近2名が俺に向かって発砲する…が、それを見きって銃弾を全て弾き飛ばして、片方の銃をズタズタに斬って、もう片方は服を斬って素っ裸にして、最終的にはその真ん中に水戸黄門の…

174 スーツケースの男 1

今日は久しぶりに東京に来ていた。 コミケ以来の東京だったけれども、秋葉原でもなければ幕張でもないし、夢の島でもなかった。 六本木ハイビルディング。 50年ぐらい前から世界で初めて、を謳い文句にした超高層ビル群が並んでいる場所。確かビルの最上階辺…

12 優等生の憂鬱(リメイク) 7

普段どおりの帰りのホームルームの時間がやってきた。 その日も普段どおり、俺と相方の男子が壇上に上がってお知らせなどを読み聞かせていたりした。本来ならこの仕事だって担任であるケイスケがやることになっているんだけれども、ケイスケ曰く昼食を採った…

12 優等生の憂鬱(リメイク) 6

「藤崎紀美香です…よ、よろしくお願いします」 と、俺は俯いて自己紹介をした。 プールサイドへ立たされてゴリラのような…いや、人間で例えるのならアメコミのヒーロー(男)のような体躯の女子達に囲まれての自己紹介で緊張していた。人前で話すのは緊張す…

12 優等生の憂鬱(リメイク) 5

ひたひたとあるく廊下は、いつのまにか濡れたシート生地の感触が足の裏に響き始める。プールに来てるんだな、という感覚。 デジャブというやつか。 子供の頃に家族と行った市民プールに似ている。 それから塩素の臭いやら、むわっとする暖かい空気…。 プール…

12 優等生の憂鬱(リメイク) 4

放課後、ナノカに連れられ…というか、逃げようとしたところを見つかって引っ張られ、強制的に水泳部のメイン陣地である室内温水プールへと連行されることとなった。 俺はあえて再び言わせてもらうが、中身が男の子でありながらも外側は2次元から飛び出してき…

12 優等生の憂鬱(リメイク) 3

俺はイライラしていた。 水泳部への編入が決まってしまったからだ。 どれもこれも、全部、俺がクラス委員長になってしまったところを起点にして始まっている。エロゲで言うところのクラス委員長ルートになってしまっている。まるでクラス委員長の可愛い女の…

12 優等生の憂鬱(リメイク) 2

そんな時だった。 教頭が教室内に意気揚々と入ってきたのは。 普段からムスッとした様な顔で世の中の様々な事に対して冷めた目で見ているというか、学生の頃からの反発が消えないままで大人になったというか、まさに『こんな大人になってはならない』という…

12 優等生の憂鬱(リメイク) 1

「今日は皆さんに…悲しいお知らせがあります」 そう言って俺は教壇の上に立った。 ホームルームの時間だった。 そして用意された机の上に手をついて、肩を落とした。 絶望。 それは深い絶望だった。 俺が(無理やり)クラス委員長をしている(させられている…

11 藤崎紀美香は静かに暮らしたい(リメイク) 7

俺がクラス委員長になってから既に1週間が経過していた。 普段と比べると…(と言っても、普段からユウカ、ナノカとしか話さないけれど)俺に対する態度が冷たくなったような気はする。 既に女子はブルマで体育は行ったし、そろそろ俺を委員長の座から引き摺…

11 藤崎紀美香は静かに暮らしたい(リメイク) 6

その日の終わりの会。 そこでもクラス委員長である俺と相方の男子が壇上にいた。 よくよく考えると本当に面倒くさいなぁ…朝のホームルーム、終わりのホームルーム、臨時のホームルームと全部出てから色々やらなきゃいけないんだよ。前の学校ではキリッつ、き…

11 藤崎紀美香は静かに暮らしたい(リメイク) 5

「こんなの絶対おかしいよ!!」 俺は再び意義を申し立てた。 なぜなら、俺が何もしなければ、このままクラス委員長に決定されてしまい、クソ面倒くさい業務を行わなければならなくなるからだ。声を上げなければならない時に声を上げないで酷い仕打ちを味わ…

11 藤崎紀美香は静かに暮らしたい(リメイク) 4

3時限目の体育の時間は、今までと同じ様に女子の中でバレーをする俺の姿を、体育を受けている男子達(バスケットをしている)が横目でチラチラと見てくる状態が続いた。 視線には気づいてたけれども、いざ俺が男子達のほうを見ると、これよみがしにバスケッ…

11 藤崎紀美香は静かに暮らしたい(リメイク) 3

3時限目、体育。その前の休憩時間。 キャッキャウフフの声達が響く更衣室。 そろそろ女子の裸にも慣れつつあった。 俺のように2次元の世界から飛び出してきたかのようなベストスタイルならともかく、高校生の女子はクラスで4分の1ぐらいしかそれに近づけるよ…

11 藤崎紀美香は静かに暮らしたい(リメイク) 2

下駄箱から溢れでたラブレターの山はパサパサと音を立てて床に落ちる。そんなシーンを見て喜ぶのはドラマや漫画の中だけだ。 この登校時の慌ただしい時間でそんな事が起きたら、抱えていたバッグに穴が開いていて中身が地面にバラけた時ぐらいの焦りを覚える…

11 藤崎紀美香は静かに暮らしたい(リメイク) 1

俺がこうなる前に通っていた高校は偏差値的にも通う生徒の親の収入的にも中の上クラスの学校で、男から女まで可もなく不可もなしの平均顔とルックスだったけれども、学園のアイドルという存在はいた。 そういうアイドル的な存在は人間がいかにバランスを美と…

173 ナニモノにもなれないワタシ 6

「体育会系?私が?」 佐村河内小保子は俺にそう言った。 自覚なんてものはないらしい。 「みんながみんな貧乏な国と、貧富の差はあるけれど貧乏ではない国…どちらの人間が不幸と感じているか、わかる?」 「…」 「人は自分の近くに自分よりも金や、地位や、…

173 ナニモノにもなれないワタシ 5

急いで屋上へとあがる階段。 途中から警察の人間が揃いも揃ってつっかえている状態だ。 ヘリの音が聞こえる。 俺とソンヒとマコトは彼らを掻き分けて屋上へと出た。 異様な光景だった。 ヘリが最低でも2機は空を巡回し、何人もの警察のスナイパーがそこから…

173 ナニモノにもなれないワタシ 4

叫び声。 銃声。 マコトはドロイドバスターの秘術『エントロピー・コントロール』で周囲の水分を一気に凍らせて個体を生成し、防壁を創って自分と周囲の警察官を守った。一方でソンヒは地面も机も鉄の塊にして防壁を創って自分と自分の周囲の警察官を守った…

173 ナニモノにもなれないワタシ 3

「聞こえてるんだろうがーッ!!」 誰かが叫んだ。 叫び要因として用意されてでもいるのだろうか。 岡野が慌ててフォローに回っている。 「佐村河内小保子さんは耳は聞こえていません。ただ、治療を行ってある程度は聞こえるようになっている」 「じゃあ、『…

173 ナニモノにもなれないワタシ 2

記者会見の日だった。 その日は学校があったけれども欠席をした。 ナツコとマコト、そして俺の3名は家でキャットフードを食っていたにぃぁ先生に一言、『あたし達とソンヒは学校休むから。ちょっと今日は用事があって』と言って出ていった。 途中でソンヒと…