96 アンダルシア・コンフィデンシャル 2

クラスで麻薬を持っている人いるか?
その検証をするため、持ち物検査をする事になった。
まずは人数が少ない男子から。
「それじゃ、始めるわよ」
とユウカ。
「待てよ!待ってくれよ!」
すかさず止める…コイツはキミカファンクラブの団員じゃないか。名前は知らないけどファンクラブに所属している事だけはわかるよ。
「な、何よ…もう持ち物検査をすることはクラスで多数決決定事項よ。今更なんの文句があるの?アンタまさか…」
「そうじゃないよ!なんで女子の持ち物検査をする時に男子は教室の外にでなくちゃいけないのに、男子の持ち物検査は女子が教室にいる状態でされなきゃいけないんだよ!不公平だ!差別だ!女尊男卑だ!」
確かに。
「別にいいじゃないの、男の子なんだし」
おいおいおいおい!今の言葉聞こえなかったのか?このバカには聞こえないのか?不公平とか差別とか女尊男卑っていう言葉は!!
「このキミカファンクラブ団員の言うとおりだよ」
俺はフォローする。
「斎藤です!」
「あぁ、斉藤くん」
「わかったわ斉藤くん。それじゃ女子は廊下に出ていって」
クラスの7割の人達(女子)がユウカの指示で廊下へと出ていく。ガランとした教室に残っているのはユウカと男子達と、それからコーネリアとメイリンとマコトと俺。ユウカ以外は全員男子だ。
斉藤くんが叫ぶ。
「ちょっとオカシイじゃないかァ!!なんで外国人さん達は残ってるの?!女の子は出ていってって言ってるじゃないかー!」
「そ、そうよ、なんでアンタ達は残ってるのよ、さっさと出ていく!はい!シッシッ!」…まるで犬でも退かせるように手を振ってメイリンとコーネリアとマコトを教室の外へと出す。
「それじゃ、そろそろ持ち物検査を始めるよ」と俺。
「キミカさぁぁぁん!!!」叫ぶ斎藤くん。
「アンタ、単純に持ち物検査を楽しみたいだけでしょ?」
ユウカが聞いてくるので俺はテヘペロと笑って返した。
「しょうがないわねぇ…」
「いや!しょうがなくないよ!キミカさんこそ外で待っていてください!お願いします!」大慌てで叫ぶ斎藤くん。
「なんでェ?何があるの?」
「いやいやいや、わかってるでしょう?わかってる顔でしょう?」
どうせ俺の抱きまくらとかフィギュアとかピンナップとかだろ。そんなもの処分だ。汚物は焼却だ!!俺はユウカに追い出される前にそのクソキミカコレクションを燃やしてやろうと斎藤くんのバッグをひっぱりあげて、中を見ていたらユウカに首根っこ掴んで追い出された。
しばらくしてから男子の持ち物検査は終わった。
いや、終わってない。
男子の持ち物検査は終わったけど、男の持ち物検査は終わってないのだ。何故かユウカは先生も持ち物検査すると言い出してる。確かに麻薬を持ってきてるのが生徒だけとは限らない。
メイリンとコーネリアはケイスケの持ち物検査が始まるとどこで聞いたのかヒョコっと教室の中へ顔を出して、そのまま入ってきた。
「先生は何も怪しげなものは持ってきてないですにゃん!」
というケイスケに対して男子は、
「先生から怪しさを取ったら肉しか残らないじゃないですか」
と言っている。これは思いっきり失礼な言葉だけどケイスケは「フヒヒ…」と笑っている。どうやらほぼ怪しさだけで構成されている自分はマッド・サイエンティスト的には美しいらしい。
さっそくケイスケのバッグを漁っていたユウカは見つけたらしい。
「先生!何なのよこれは!誰のパンティーなの?!」
黒のセクシーなパンティーだ。
「おい!私のパンツだ!貴様…」
メイリンのかよ!
「こ、これはメイリンちゃんが家にやってきた時に忘れて帰ったのを取っておいていつか返そう返そうと…いつでも返せるようにバッグに忍ばせておいたのですぉぉぉぉぉっ!決して怪しいものでは、怪しいものではありませんにゃん!」
って十分怪しいだろ!小学生の合宿で友達のパンツ間違えて持って帰って返そうとしてタイミング逃していつまでもカバンの隅にパンツが入っているぐらいに怪しいだろ!!
っていうかメイリンはパンツ履いてない事気づけよ!ノーパンで家まで帰ったのに気付いてないのかよ!!
「返せ!パンツは一枚しかないのに!」
メイリンはケイスケからパンツを奪い取るとそれを履いた。
って…えええええぇぇぇぇぇぇっ?!
「ノ、ノーパン…」
「ふんッ!(ドヤ顔」
いや、そこドヤ顔するところじゃないから!
「さてさて、次はぁ〜」っていつのまにかナノカが入ってきててケイスケのバッグから漁っている。そして、「何がでるかなぁ?何がでるかなぁ?」と小堺さんの真似をしながらポイポイと人様のバッグから物を机の上に放り出しているのだ。
「うわッ!これは…スクール水g」
(ドスン)
ナノカが言い終わる前に俺はケイスケのミゾオチにボディブローを食らわせた。こンの野郎ゥ…人のスクール水着で遊ぶんじゃねぇ…。
「げぇほぉぉぅァ…」
「何か言い残したい事は…?」
「それはキミカちゃんのスクール水着じゃないにゃん!」
「って、誰のスクール水着でも女モノスクール水着がバッグに入ってる時点でおかしいわぁぁ!!!」…俺はチョークスリーパーをケイスケにキメながら言った。
「ところで…誰のスクール水着なの?」
「ふ…フヒヒ…そ、それは秘密…」
(さらに首をシメ上げる)
ケイスケ、俺の手をパンパンパンと叩いてギブアップ。
その時俺は見逃さなかった。ケイスケ、一瞬だけコーネリアのほうを見たぞ。このスクール水着ってまさか…。
「コーネリアのスクール水着じゃないの…?」
「ファァァァッーーーック!!」
後ろには俺のチョークスリーパー、前にはコーネリアの四の字固めがキマり華麗な美少女2名のプロレス技でケイスケは「ぎゃあああああああああああああああ」と叫び声を上げることとなった。
さて。
これから女子の持ち物検査になるのだが、教壇の上にはさきほどまで何も無かったのにどっさりとキミカグッズが置かれていた。抱きまくらにフィギュアにピンナップにポスターにオナホール…。
相変わらずの光景。
女子の冷めた非難の声がこだまする。
「さいてー!」「キモいんだよ…」「女の子をなんだと思ってるの?」「キミカでよかった。アタシだったらマジでサブイボ消えそうにないわ(ってブスなお前が言うなよ…)」「藤崎さんはあんまり好きじゃないけどさすがにこれは可哀想だわ…」
ヌゥゥ…。
俺をフォローしているようで思いっきり俺を攻撃してるように聞こえるのは気のせいか…クソメスブタどもがぁ!
「ねぇ、それってコーネリアの写真じゃない?」
と女子が指摘。
「ファァァァァッーーーーック!!!」
コーネリアが教壇まで駆け寄ってきて写真を取り上げて、
「誰デスカァ!!コノパンツ丸ダシ写真ヲ撮ッタ人ハァ?!」
とキレてる。
その写真にはスカートがめくれてパンツ丸出し状態のコーネリアの太ももを枕として寝てる俺の写真だ。っていうかさっきのじゃん。
「誰ガスカートヲ捲ッタノデスカァ…許セマセンンン…」
やべやべ。俺じゃん。
まぁそんなこんなの話は置いといて、ユウカはさっさと次の『女子の持ち物検査』へと話を進めている。
「はいはーい!!男子は今すぐ教室から出るッ!」
そう言って、キミカグッズを没収されて魂の抜け殻のようになった男子達をユウカは牛でも追い出すかのようにパンパンと手を叩きながら教室の外へと追いだした。