77 ファッキン・クリスマス 3

帰宅してからケイスケが用意してる夕食を食べ終わる俺。
ナツコと二人、ケイスケが帰ってくるのを待ったんだけど一向に帰ってこない。どこに行ってるんだ?
俺は電脳通信でケイスケに連絡入れてみようと試みる。
地下にいるのか待ち受けをオフにしてるのかわかんないけど、さっきから一向に繋がらないんだよ。
「もしかしたら…今日って新しいゲームの発売日だからかな…?」
「そういえば今朝ずいぶんと浮かれていましたわね」
それから小一時間帰ってこないので仕方ない、俺とナツコはケイスケが帰ってくるのを待たずにサンタクロースのコスプレを探すことにしたのだった。
「個人的にケイスケの部屋はあんまり入りたくないなぁ…」
「わたくしもですわ…」
部屋に入り明かりを灯す。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は思わず叫んでしまった。
そこに広がっていたのはフィギュア、アニメのポスター、抱きまくら、抱きクッション、オナホール…。しかも俺達が部屋に入ってきたのにセンサーが反応したのかネット端末の電源が入って「おかえりなさいご主人様ッ!」っていう甘ったるい声が響いた。
「さ、寒気がしますわッ」
自らの両肩を抱くように摩るナツコ。
「なんかこの世の男の欲望の全てが集結しているね…」
「ちょ、ちょっとキミカさんッ!」
「んんっ?」
ナツコが顔を真っ赤にしてゴミ箱を指さしている。
何が入ってるんだァ?
俺がゴミ箱を覗き込むと咽るような変な香りがしてきた。
そこには大量のティッシュが丸めて放り込んでったのだ。
「う、う…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
…これは鼻をかんだ後のティッシュ…じゃない!精液だ!オナニー後の青臭い匂いがする精液が大量に放り込んであるゥ!!
俺は思わずその場から飛び上がって後方2メートルの位置にあるケイスケのベッドへと反動で着陸してしまった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ベッドの中にある抱枕の萌え絵と目があった再び叫ぶ俺。
「はッ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
何故か手の親指がオナホールに突き刺さっていて俺は発狂しそうになった。ぶんぶんと振り回すとオナホールは空高くへと飛び上がって「ぶにゅん」と天井にぶつかって跳ね返り「ぽにょん、すぽッ」とナツコの胸と服の間に収まった。
「ん…?…きゃああああああああああああああ!!!」
本能で直感したのかナツコはオナホールをほうり投げる。
「お、恐ろしい…なんて恐ろしい部屋なんだ…」
俺は白目になりながらそう言葉を吐いた。
「き、キミカさん…はやく探しましょう。この部屋に長居をするとトラウマを埋めつけられてしまいそうですわ…」
「う、うん」
まずは机の上。机の中、机の側の引き出し…と、探したけど見つからないな。コスプレの衣装はどこだろ…。
「キミカさん、コスプレの衣装なら服を置いているところに入っているはずですわ。お兄様は普段着は1着しか持っていませんので利用しないクロークの中に…」
と、ナツコはクロークの扉を開く。
そして閉じる。
…。
な、何を見たんだ…?!
「何があったの…?」
「み、みないほうがいいですわ…」
「え、ちょっ…?!」
俺は恐る恐るケイスケ部屋のクロークを開く…。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そこにあったのは女の子のパンティー、女の子のブラ、女の子のアンダルシア学園の制服、女の子のスクール水着に、女の子のブルマ、女の子の体操着…。って全部俺のじゃねーかッ!!
「き、キミカさん…これ、ちょっと変ですわ」
「な、何が変なの…?もう既にさっきから色々と変だからいきなり変だとか言われても微妙な差がわからないよ!」
「例えばこのスクール水着ですわ。例えば家に帰ってお洗濯をした後のものならこんなにしわくちゃにならないですし…その…」
「まさか…」
ナツコがこくりと頷く。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
つまりケイスケは俺のスクール水着を…学校で水泳部の部活で使用したものを、洗濯していない状態のものを、洗わずにここに保管している事になる。
「で、でもさ、あたしのスクール水着はちゃんとあるよ?」
「で、で…ですから、キミカさんのスクール水着は何着もあって、キミカさんが使ってるものはその中の一つなのですわ。お兄様が使用済みスクール水着をここに置いたときに予め洗って乾かしておいた水着をキミカさんのバッグの中に忍ばせて…」
「…それ以上…言わないで…」
「はい…」
取り敢えず俺はクロークの扉を閉じた。
そっと閉じた。
中にはパンティーとかブラもあった。あれは…俺が洗濯機に突っ込んだ後にケイスケが取っていたのか。しかも同じ物をちゃんと用意して、俺の下着入れに…。
いや、ちょっと待てよ?
…今、すごーい嫌な妄想が脳裏に。
「…もし、ケイスケがあたしの使用済みパンティーを盗っていたとして…。いや実際に盗ってたけどさ、それを使って、その、オナニーをしたとするじゃん。いや、実際にオナニーしていたと思うけどさ、それを、その、例えばパンティーで精液を受け止めていたとして…。その、精液がついているパンティーをあたしが、その知らずに履いていたとしたら……」
「…」
「妊娠?」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
「き、キミカさん?!大丈夫ですの?瞳孔が開いていますわ」
ちょっと待って…ちょっと待ってよ?
俺の脳裏に何かが引っかかってる。
「ナツコ…。ケイスケのクロークに入ってた下着とかって…本当に…本当に『あたしのだけ』なのかな?」
「」
ナツコの表情が固まる。
「…」
「ひぃぃいぃぃぃぃぃいいぃぃぃ!!!」
ナツコが両手で頬を抑えて叫ぶ。毛を逆立てながら叫ぶ。
「ちょ、ちょっと見てみようよ」
「け、結構ですわッ!」
「やばいってば!今確認しとかないと、ほら、もしケイスケの精液がべっとりついてるパンティーをナツコが気づかずに履いてたとしたらさ絶対にお兄さんの子供身ごもっちゃうよね?!」
「そうなる前に絶対に気づきますわ!!」
「とりあえず事実関係は確認しないと!」
「本当にあったらどうしますのッ?!」
「大丈夫大丈夫。妹の下着とかでオナニーしてる兄貴はこの世には居ないってば。うん、大丈夫」
「うぅぅ…」
再び俺はクロークを開く。そしてまじまじと一着一着、そこにある下着やら体操着やら水着やらを見てみる。
その一つに目が停まり…。
「あれ、これ見覚えがない」
「きゃああああああああああああああ!!!」
凄い早さでナツコがそのパンティーを奪い取った。
「ごめんごめん、それあたしのパンティーだった」
「ちょっと脅かさないでくださいましッ!」
顔を真っ赤にして驚くナツコ。
全部見て回ったけどどれも俺のものばかりのようだ。
それはそれで問題だけれど…。
「結局見つからないねぇ」
「ですわね…」
「でも他の場所には…ないよねぇ?」
「もしかしたらお兄様の事ですから秘密の場所に格納しているのではないかと、ふと思いましたわ」
「秘密の場所?」
ナツコはケイスケのネットワーク端末の前に座るとキーボードをかちゃかちゃと触り始めた。
「あ!ありましたわ」
「ほほぉ…」
「多分パスワードは…」
カチャカチャと打って、
と、背後で「カチャ」と音がした。
押入れの中だ。
押し入れを開けるとそこにはエロゲが積み上げられてたわけだけど、その中の一角に金庫らしきものが入ってるではないか。幅広の衣装を入れるのは十分な大きさがある。
既に電子ロックは外されているようだ。
俺はその金庫の扉を開いた。
「あ、あった…」
コスプレが沢山。
っていうか、どうして金庫に入れる必要があるんだよ?
あ、そうか。男であるケイスケが女物のコスプレを持っているっていうのが俺達にバレたら恥ずかしいからか。なるほどそうか。って、それは俺の使用済みパンツを盗って自慰に使うことよりも恥ずかしい事なのか?絶対に違うだろ!!
「ん…?」
俺は金庫の一角にまたしてもとんでもないものを見つけてしまった。データディスクだ。ラベルは貼ってない。
「これ、中に何のデータが入ってるのかな?」
「…」
「見てみようかな?」
「きっと…お兄様がキミカさんの着替えのシーンなどを録画したものではないかと…申し訳ございませんがわかってしまいましたわ」
「…うん、自分もそう思う」
と、俺はそのデータディスクを胸の谷間にしまう。
「それを捨てますの?」
「いや、まぁ、あたしのコレクションに」
「自分の着替えシーンなどをコレクションにしてどうしますの?」
「まぁ、中身が男の子なので…自分にとってはこれはただの女の子の着替えシーンというか…」
「…」
他の女子も映ってるかもしれないしさ!
それから俺はリビングに戻ってサンタのコスプレに着替えてみた。
なるほどナツコが言っていたとおり、サンタのコスプレは肩の部分がオープンになってて白のふわふわしたアレがその側にある。ブラもセットになってて赤のブラ紐は他のブラと違って首にかけるタイプだ。スカートはミニで白のニーソックスもセットになってる。帽子は相変わらずのサンタのコーン状帽子で先端にふわふわした白い玉がついてて可愛い。すっぽり被るタイプじゃなくて飾りみたいに頭に乗せるだけのものらしい。
鏡の前に立ってみるとなるほど、該当でサンタの格好をしてる女の子が着てそうなタイプのコスプレだな。
「さすがキミカさん。スタイルがいいと何を着ても似合いますわね…本当に羨ましい限りですわ」
「まぁあの変態…じゃなかったケイスケが作った身体だからね」
それから俺はサンタの格好で過ごした。
ちょうどゲームをしていたとき、背後から気配が…。
「お、お兄様?!」
とナツコが言った瞬間、俺は背後から凄い勢いで抱きしめられる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「はあぁぁぁぁぁぁん!!サンタさんだにゃん!!サンタさんがボクチンに素敵なプレゼントをくれたにぃぃぃ!!!」
と俺の首筋から頬にかけてケイスケの頬ずりが。おっぱいは明らかにケイスケの手に鷲掴みにされ、指先がつんつんと乳首に、
「は、な、せッ!」
強烈なサンタ・ザ・肘鉄がケイスケのミゾオチにヒットした。
ズーッン…。
巨大なケイスケの図体が転がった。