77 ファッキン・クリスマス 2

お昼の食事の時間。
いつものメンバーで俺達は学食にいた。
今日はクリスマスが近づいているからか、こんなローカルな学食でもクリスマスバージョンと定義しては特殊メニューを出していた。
肉だよ、肉!
肉があるじゃないか!
普段なら学食は肉と言っても野菜とセットでうまくバイキング用のスプーンで肉の部分を取らないと野菜ばっかり取ってしまって悲惨な事になってしまうような超ヘルシーメニューだったのに。
あの鳥の足?に銀紙がついてて、照り焼きのタレで炙ってある山賊焼きを思わせるものが詰んであるのだ。パーティとかでも食べるアレだよ、アレ。スーパーの惣菜コーナーに並んでるアレ。
「Ohhh!Meat!!」
コーネリアは喜んでその肉を皿の上に持っていく。
「Nice to meat you」
4つぐらい更に詰んだコーネリア。
俺も4つは行かないにしても3つ詰んだ。
「なんだ、今日はメニューが違う」
メイリンも鼻息を荒くして顔を赤らめながらそれらの肉を更に盛り上げていくのだ。そうとう嬉しいらしい。ちなみに残念な脳味噌をしているメイリンは10個の鳥の足を更に盛った。
いつものメンバーが座るテーブルに腰掛けるとさっそくユウカが俺達の行動を見てすっごい残念な人でも見るような顔をした。
「あんた達…お昼からほんと、よく食べるわねぇ」
相変わらずの豆料理か。ユウカは。
そんなに豆ばっかり食べて何が楽しいのやら。
「あたしたちは食べても食べても全然太らないからユウカみたいに豆ばっかり食べなくてもいいんだよーッダッ!」
と反論してみる。
「う、うっさいわね!べ、別に痩せようと思って豆料理ばっかり選んでるわけじゃないわよ!ばーか!」
痩せようと思って豆料理をチョイスしているらしい。
「あんまり豆ばっかり食べてると屁ばっかり出るよ」
「うるさい!」
などと普段と同じペースで談笑していると、
「ねぇ、キミカっち」
ナノカが話し掛けてくる。
「ん?」
「クリスマスって暇?」
「暇だよ〜」
「あー、そっか、それはちょうどよかった。クリスマス会をやろうって事になったんだけどねぇー」
「クリスマス会!」
「ユウカの家でやるんだけど、どうする?」
「いくよ!」
これぞリア充の過ごし方ですよ。ククク…。
「ったく、しょうがないわね…粗相をしないでね。うちの家、新築じゃなくて年数経ってるから結構壊れやすい」
と、ユウカが恥ずかしそうに言う。
「ちょっ…人をデストロイヤーみたいに言わないでよ」
「あんたとコーネリアとメイリンのバカ3人組はいっつも触れるものみんな傷つけるじゃないのよ!」
なんだよそれは、ナイフかよ…。
「Oh、ソレナラ心配イリマセーン!」
「え?」
「残念ナガラ私ハクリスマス休暇で本国ニ帰リマース」
「あぁ、そうなんだ…」
と言いつつもユウカはちょっと安心しているようだ。
「アメーリカデハ、クリスマスハ家族ト一緒ニ過ゴシマーッス」
ほほぅ…セックスデーの日本とは全然違いますね。
そういえばユウカはメイリンのほうを見て何かを言いたそうだ。どうやらメイリンにも出来れば来て欲しくないっぽい。しかし彼女は最初っからこの会話に混ざりもせずに黙々と肉を食ってる。
「あ、あのさ、メイリンもクリスマス休暇とかあるの?」
と恐る恐る聞くユウカ。
「ん?私、正月前からずっと中国に帰ってる」
そうなのか…。
「あぁ、クリスマスも?」
「クリスマス…」
「12月24日から25日にかけて」
「あぁ、中国に帰ってる」
ほっと溜息を吐くユウカ。なんて失礼な奴なんだ。
「えと、それじゃあ…ナツコはどうする?」
ナツコは鳥の足の肉を一つとポテトとサラダとスープでレストランのセットメニューのような昼食をバイキングで再現している。と、いうところでユウカに話し掛けられて少し戸惑う。
「ユウカの家にクリスマス会に行かないかってさ」
と俺がフォローする。
「あ、あぁ、はい、行きますわ。よろしくお願いしますわ」
なんか喜んでるのか戸惑ってるのかわからない微妙な表情でユウカに答えるナツコ。ナツコは普段から外とか出歩かないし人見知りも激しいからあんまり皆と過ごすのはアレっぽいな。
「それじゃあ、後はメイっちをよぼうかな」
ナノカが言う。
「まぁ、キミカが来るなら絶対に来ると思うわ」とユウカ。
すると、突然何か思い出したようにはっとして、
「あ!」
と声を上げる。
「ん?」
「キミカ…お願いがあるんだけど…」
「はぁ?」
珍しいな。強制じゃなくてお願いなんだ…。
「じつはね、妹がさ…」
「うん」
「サンタとか信じちゃってるのよ」
「はぁ…」
「そんで、えっと、サンタの格好して来て欲しいの」
「はぁぁぁぁ?」
「い、嫌ならいいのよ?」
「まぁ、別にいいけど…って、サンタの格好って…あったかな?そんなの…コスチューム屋さんに行って来ないとないかも」
「あー、うん…そうねぇ」
と言ってる時、間にナツコが入ってきた。
「それならありますわ、家に」
ナツコの意外な回答にナノカもユウカも一斉にナツコを見る。そりゃそうだ、ナツコのサンタクロースコスチュームのイメージしか湧いてこないんだからさ。他に誰が着るっていうn…あ。
「えっと、お兄さん(ケイスケ)が今日着てたの?」
と俺が聞くと、
「い、いえ違いますわ。女性用の…その、ちょっと肩とか胸のところがぱーんと開いてるやつですわ…」
と恥ずかしそうにいうもんだから俺も興奮してきた。なんでナツコがそんなものを持ってるの?何に使ってるの?
俺の頭の中を悶々とエロいイメージが駆け巡る。
『あの…お兄さまがキミカさんに着せようと企んでいるコスプレ衣装の中の一つにありますわ…』
突然の電脳通信。ナツコからだ。
っていうか…やっぱりそういう事かよ!