95 赤と青 2

キサラはさっさと家に入ると地下室への秘密の入り口へと、もう秘密でもなんでもないんじゃないかって思えるぐらいに、まるでトイレでも借りるかのようにスタスタと入っていった。
さすがに研究室を作った人だけはあってケイスケは勝手に侵入されても怒る気配はないな。
イソイソとお茶の準備をしたのはナツコだ。
相手がサングラス・イケメンのソラだからかやっぱり女の子はイケメンに弱いらしい。彼をリビングへと案内して「家庭的な一面」アピールをする。
ケイスケはイケメンのソラに「相変わらずですにぃ…」と言っている。
「あぁ、まったくだ。さっきもスタバでアンタんとこのドロイドバスターと喧嘩してなぁ…」とか言ってる。
「フヒヒ…キミカちゃんは可愛いからよく張り合ってくる女の子に絡まれたりしますにぃ…」
「いや、今回のはそうじゃなくてだな…まぁアイツも顔で勝負がつかないからドヤってたんだろうけどMapBookAirだかMapProだかを持っていってはどっちが優れたMappleファンかどうかを比べて…」
「あーあーあー、もう後は言われなくてもわかりますにゃん」
「そうか」
ヌゥゥ…なんだその低レベルな喧嘩でも見るような呆れた顔は。許さないぞこのクソデブがぁ…どっちが優れたMappleファンかどうかはMapple信者にとっては非常に大切な事なんだよォ…(白目
「どうせまたキミカちゃんとキサラちゃんがドロイドバスターに変身してからキミカちゃんのキックでドロイドが飛んで信号待ちのトラックのフロントにぶつかって大破させたりしてたんですにぃ…」
うっそぉ!!そこまで判るのかよ!見てきたように言いやがる!
そんな談話をしていたところ、2階のほうからドタドタと足音が聞こえてきて、リビングにマコトが飛び込んできたのだ。
「キミカちゃん!大変だよォ!!」
何をそんなに大慌てで…まったくマコトは、ははは。ったく、マコトはいっつも大変だなぁ。もう少し落ち着きなさいって感じだよ。
「どしたの?」
「キサラさんがキミカちゃんの部屋の中を探索してるよォ!!ボクの部屋もォォォォォ!!!」
「たたたた、たた、たたた、大変だァァァァァァァァ!!!」
オシッコチビリそうになった。実際少しチビった。チビリながらも俺はマコトと共に2階へと、光速超えるんじゃねーの?光速超えたら周囲の景色がゆっくり動くんじゃねーの?って思えるぐらいに凄まじい『高速』で駆け上がった。口の中が一気にカラカラになったよ!
俺の部屋の扉を勢い良く開けると、
「どこよぉ?どこにあるのぉ?」
とキサラが俺のベッドの下を何か探してうわぁぁぁぁぁぁぁ!!
「何やってるんだよ!!」
「見てわからないの?コンドーム探してるのよぉ〜…」
「あるわけないじゃん!」
「あれェ…あたしならこのへんに隠すのに」
いやいやいや財布の中にでも入れておけよ…。
ふぅ…ベッドの奥にあるエロ本が見つからなくてよかった。一瞬キサラが油断した時にキミカ部屋の中に格納したのだよ。ククク…もう見つかったら危険なものはキミカ部屋の中に格納しておくかな。
「フヒヒ…」
「あぁ!!アンタ…キミカ部屋に隠したわねぇ?」
「隠さないよ!」
隠したけどォ♪
「そんじゃ次はァ…マコトちゃんのベッドの下を調べまs」
とキサラがマコトのベッドの下を調べようと、俺と同じ部屋にあるマコトのベッドの下を見つめた時、既にそこにまマコトが座っており、絶対にここは動かないぞアピールをしている。
「こらぁ、どきなさい!コンドーム隠してるんでしょ?」
「隠してないよォ!!」
「じゃあどうしてそこに座ってるの?」
「人には見られちゃダメなものがあるんだよ!」
なんて言ってるマコト。
「マコト、あたしがキミカ部屋に入れてあげようか?」
と俺が聞いてみる。
すぐさまキサラは、
「ダメよ!マコトちゃんの秘密を暴くんだから!」
うわぁ…酷いやつだ。凄い酷いやつだ。
「だ、ダメだよキミカちゃん!」
「へ?」
マコトまで俺の誘いを拒否するのか。
「いや、その…なんていうか…ダメなんだよ…キミカちゃん。キミカちゃんにも秘密なんだから…その…」
「エロ本?」
「ち、違うよォ!」
しかし。マコトの苦労虚しく、
「はぁッ!」とキサラが地面を触るとマコトのベッドがどんどん持ち上がった。っていうか、ベッドの足がどんどん長くなってベッドが天井まで持ち上がってしまった。これはキサラの物質変化の能力だろう。周囲の物質をベッドの足に変えてしまったらしい。
下に荷物が置けるなぁ、なんて思っていたらマコトのベッドの下から袋に入った何かが出てくる。
「はっけーん!!」とキサラは目を光らせて言う。そして袋をさっさと奪いとって中身を出す。床に落ちる中身…。
ってこれ、俺の体操服とスクール水着じゃないか!
「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
叫ぶマコト。叫ぶ俺。
「ま、マコト、な、な、何これ…」
「い、いや、その、なんていうか…あはは、そういえば前に借りてた体操服とスクール水着を返すの忘れてたよォ(テヘペロ
「いや、貸した覚え無いよ…」
「」
気まずい雰囲気になったところでキサラは「それじゃ、あたしはこれで…」と部屋を出ていった。