21 タイガー・ランペイジ 1

俺が学校から帰宅すると家には誰も居なかった。
そういえばケイスケは学校の帰りにエロゲを買ってから帰ります、との事だったな。ケイスケの部屋に入ってまじまじと本棚やらを見たことがないけども、あのペースで買っていたら相当な広い本棚を用意して置かなければいけないだろうな。ほぼ週に1回ぐらいのペースな気がする。
「そっか…。ご飯作らなきゃ」
そう、いつもケイスケがご飯作っていたんだった。
俺もつくろうと思えば作れるけど、インスタントよりもあいつが作ったご飯のほうが美味しい。あいつは単純にデブっていうわけでもなく、美食家のデブみたいだ。そのこだわりの味は色々なお店を巡っていなければ身につけることは出来ないと思う。あの巨体とあの顔でさえなければきっといいお嫁さんが来てくれるだろうに、ってそんな心配はどうでもいいや。
俺が冷蔵庫の中のものを確認しようとキッチンに行くと、そこで「ブーンブーン」という音が鳴っている。どうやらケイスケの携帯が鳴っているみたいだ。
人の携帯に出るわけにもいかないのでしばらく放置してたけど、鳴り止んではまた鳴り始めてやたらと長い。何か急用なのかな?俺は誰から携帯が掛かってきているのか確認しようと思ってそれを取る。
「『マダオ』」
おふぅ。
マダオって、ケイスケもあいつの事をマダオって呼んでたのか。マダオが何の用事かな?まぁ面識がないわけでもないし、俺が出てやるか。
「はい、もしもし」
「ん?その声は、キミカ君か」
「ケイスケなら出かけてるよ。エロゲ買いに行くんだって」
「こんな緊急事態にエロゲなんぞ!!」
「緊急なんだから何しててもしょうがないんじゃないの」
「まぁ、キミカ君に連絡がついたのならそれでいい」
「は?」
「とにかく大変な事になった。車を向かわせたので説明は車の中でミサト君から聞いてくれたまえ」
「はぁぁい?」
大変だ…まだご飯食ってねぇぜ。