21 タイガー・ランペイジ 2

今俺はミサトさんと一緒に黒スーツの軍関係者2名が運転する車の後部座席にいる。そして後部座席のホログラムモニタから説明を受けているのだ。
「おなかすいた」
「ちょっと、聞いてるのかしら?」
「いや、聞いてない」
「大変な事になってるんだからちょっとは耳を傾けてくれないかしら」
「腹が減っては戦はできんとも言うし」
ホログラムには街中の様子が映っている。以前俺が戦った事もある多脚戦車とよく似た形状のものがそこにいる。ただ、それよりかはサイズは数倍大きいしイカツイ装備と分厚そうな装甲をしている。前回戦ったのがかわいく見えるほど。
「ドイツ製多脚戦車『タイガー』よ。突然街中に現れたのよ」
「こいつを倒せばいいってこと?」
「そうなんだけどね、警察と軍で協力して攻撃を加えてるんだけど、それを阻止しようとする奴らがいるのよ」
「テロリスト一味?」
「そうよ。たぶん、あなたも一度戦ったことがあると思うわ。スカーレットと呼ばれている女、それから手下のテロリストよ」
カメラ視点が多脚戦車から離れると、戦車の影に隠れてロケットやら機関銃を撃っている数名の男、それから彼らを指揮しているSMっぽい衣装を着た女がいる。
「またあいつら暴れてるの…ほんと懲りない連中だなぁ。今度は銀行強盗でもしてるの?派手にやらかしてるみたいだけど」
「察しのとおりよ」
「行動パターンまでまるわかりじゃん…」
「スカーレット一味が銀行を襲った後にタイガー戦車が地下から現れたの。警察が最初応戦していたんだけど、全然火力が足りなくて軍が出ることになったわ。ただ、市民の退避がまだ終わってなくて大規模な攻撃を加える事が出来ないの。相手もそれを知ってやってきてると思われるわ」
「じゃあ今回も孤独に戦えって事ですか…」
「それはないわ。市民の退避が終われば艦砲射撃と爆撃が出来る。キミカちゃんが位置を指示してもらえれば、ピンポイント砲撃も出来るし」
「それは凄い!!どうやるの?」
「キミカちゃんの頭と駆逐艦のAIとをリンクさせとくわ。ただ注意点が一つ」
「?」
「周囲に建物が沢山ある時は…わかるわよね?」
「ああ、うん。敵本体には命中しないって事でしょ」
「そうよ。それからミサイル誘導での空爆も出来ないわ。タイガーにはミサイルのAIにハッキングする能力も持ってるから」
「了解!」
「じゃあ…ベストを尽くしてね!」