8 動く大殺戮兵器 1

その日、学校からはデブの車に乗って帰った。
教師と生徒が一緒の車で帰ったりするのが下校途中の色々な人にバレてしまってなんだか嫌な気分だった。これは俺とデブが付き合っているという風に受け止める奴がまさかいるとは思わないけど、少なくともただの教師と生徒という関係ではないって事がバレてしまった事になるのだ。
「ねぇ」
「なんだぉ?」
「明日も一緒に学校に行くの?」
「ん?そうですぉ?」
なんか空気はありますか?ありますよ。的な、当たり前に返された。デブは周囲の人間からどう思われてるのかあまり気にしないタイプみたいだ。
「生徒と先生が一緒に登下校するっていうのは…。色々と噂されたりしてヤバイんじゃないのかな?ほら、下校時間だって今日みたいに同じにならない事があるし」
「でも登下校途中、一人で居たらレイプされたりするから危険だぉ」
「いや、されないし。今日、部活の見学した時に色々やってみたんだけど、なんか普通の人間よりも明らかに強い、っていうか、変身後の力が使えたりするよね?」
「ふひひひッ!気づいたのかにゃん」
「気付いたよ。気付いた。この力があったらレイプとかされないし」
「で、でも、悪い友達に『ちょっとお金稼ぎしようよ』とか言われてスケベなおじさんと一緒にラブホテルとかいっt」
「いくわけないでしょ!中身が男なんだから男を相手にするとかマジで無理です、はい。お金貰っても無理」
「じゃ、じゃあ…いいですぉ。一人で登下校…」
とても心配してくれてるのはありがたいのだけれど、多分、デブはかなり間違った知識を頭にこびりつかしているような気がするなぁ。登下校でレイプされるとかなら警察なにやってんだよって話じゃん。ちょっと過保護だなぁ。