13 覚醒と解放 5

「ったく、怪我人が出なくてよかったものの」
「すいません…」
崩れた建物の傍で説教を受ける雄輝。
シャオメイは破壊された建物の破片を見ながら考えていた。
(この短期間でこれほど成長するとは…もうちょっと時間が掛かると思っていたが。ひょっとしたら私が思っているよりも逸材かもしれない)
「お前は私のように物体を燃やす力は備わっていないようだな」
破片の一つを浮かび上がらせて表面を雄輝に見せる。シャオメイが破壊した時とは違って衝撃波により粉砕された断面だけがそこにあった。
「そうですね…」
「そして、テレキネシスの力はこれが限界のようだが、十分だ。合格だな」
「お、マジですか!ありがとうございます」
「どうやらテレキネシスの力がお前のメインの能力じゃないらしい」
「なんですか?建物を破壊するのがメインとかいう嫌味ですか?」
「そうではない。まだ覚醒していない力があるという事だ」
「そういうのって、どういうタイミングでみにつくんです?」
「人によるのだろうな。私の場合はテレキネシスの能力は最初から使えたが、次第に物体を熱する事も出来るようになった。逆にテレキネシスが使えなくて炎を作り出すだけの人もいる」
「そういうもんなんですか〜…」
雄輝は小さな破片を沢山テレキネシスで持ち上げて手のひらの中でクルクルとまわす。掌が破片の残像で灰色になるぐらいに。
「雄輝…お前、それはいつからできるようになった?」
「え?いつって。テレキネシスの事ですか?それは最初から」
「いや、違う。複数の物体を同時に動かす事だ」
「ああ、これはテレキネシスが使えるようになった後で少し練習したら出来ましたよ。っていうかシャオメイさんも使えるでしょ?」
「一度に動かせるものには限度がある。それだけ沢山のものを同時に動かせるのは見たことがないぞ」
「…マジで?」