13 覚醒と解放 4

「どうした?」
廊下からシャオメイの声がする。
「シャオメイさん、突然ドロイドが暴れだしまして、制御不能です」
「まさか雄輝のバカが何かやらかしたんじゃないだろうな」
少し顔を青ざめさせる雄輝。
(やっべぇ…)
「何もしていませんよー」
とりあえず誤解を解こうとする雄輝。
「一体何をしたらこうなったんだ…」
シャオメイの声は廊下から聞こえてはいるが、そこに向かってドロイドの機関銃が火を吹いているので、彼女がすらすらと姿を現すような事はしなかった。
「テストなんとかってやってただけですよ」
物陰から叫ぶ雄輝。
テストドライブ?」
「ああ、それそれ」
「それはまだ調整中だ…」
「これ、どうすればいいのですか?」
「私が何とかしよう」
「あ、ちょっとまって、試験」
「試験?」
「見ててくださいよ、弾止めるんで」
雄輝は物陰から飛び出してドロイドの視線全てを自分に集中させる。対戦車ライフルだけではない、機関銃もいっせいに雄輝に向かって火を吹く。
(額、頬、喉、右胸、左手、右耳、右足、右下腹部)
雄輝は全ての弾丸の位置を察知して、命中する寸前でテレキネシスの力を加える。銃弾はまるでバリアに当たって力を無くしたかのようにポロポロト雄輝の手前で落ちていく。そして雄輝の跳躍、10メートルは飛び跳ねた後、一気にドロイドとの距離を縮めて、1メートル手前に着地、そして回し蹴りを放つ。
「バカ!やめろ!」
シャオメイが叫ぶ。
蹴りはドロイドの腹に命中し、分厚い装甲がメキメキと音を立てて凹む。その瞬間が雄輝にはスローモーションのようにも見えた。表面は音を立てて凹んだが、なぜかその力は表面を崩さずにドロイドの背中に大きな穴を開けて貫通、そのまま建物の壁を突き抜けた。
「やべ…」
ドロイドは動きを止めた。
ドロイドの背後の建物は音を立てて崩れた。