13 覚醒と解放 3

その日のうちにシャオメイに新技を見せ付けてやりたかった雄輝は、早速軍の関係者に電話を入れて家に迎えに来させた。軍病院に到着してから向かうのは射撃場だ。
いつもの射撃場だが、その日は普通と違う。普通と違う自分がそこにいる。
対戦車ライフルを装備したドロイドを前にして雄輝は「かかってこいや!」と独り言を呟いた。そして的に向かって走る。ドロイドの電源をテレキネシスで入れて、射撃メニューを選択する。
「えっと…確かこれだっけか…?」
射撃メニューからテストドライブを選択する。『テスト』と書かれていたのでなんとなくテスト(雄輝にとってシャオメイに見せる事がテストという認識だから)を選択する。
ドロイドが動き出す。
まずセンサーである8個の目が雄輝を追って、それから8本の足を起用に動かしながらその巨体を動かしていく。
(あれ?)
雄輝はすぐに異変に気付いた。
なぜならドロイドの目は的ではなく『雄輝』を見つめていたからだ。そして次の瞬間、ドロイドの対戦車ライフルも目と同じターゲットに標準を合わせた。
「え、ちょっ」
バンッ!
銃声。
雄輝の手のひら、手前5センチのところに回転する銃弾。雄輝はあわてながらも銃弾の動きを察知してテレキネシスの能力で止めていたのだ。だがそれだけで終わらなかった。
バンッ、バンッ、バンッバンッバンッ。
機械は容赦という言葉がインプットされていないようだ。
連続して35ミリの対戦車ライフル弾が雄輝の頭部、腹部、足などを狙って発射される。どれもテレキネシスで受け止める雄輝。
「てめぇ、こら、殺す気かよ!」
おそらくその通りなのだろう。
物陰わ先日、シャオメイが『力』で吹き飛ばしていたのだが、僅かに残っていた。ドロイドのライフル弾を防御しながらそこへ逃げ込む。狙いは雄輝だ。だが、射撃場の扉を別の兵士が開けてからは狙いは雄輝だけではなくなった。扉に向かって機銃を連射するドロイド。
「退避!退避!」
兵士は叫びながら扉の影に隠れる。ライフル弾であれば壁ごと吹き飛ばすだろうが、幸いな事に、その銃口は雄輝のほうを向いたままだった。だから、ライフルの銃口は雄輝を向いたまま、機銃が兵士達を狙うという周囲は全て敵と認識してい動いているのだ。
「シャオメイさんを呼んで来い!」
兵士が叫ぶ。
(お、ちょうどいいじゃん、俺の勇姿を見せてやるよ!)
などと考えちょっと二ヤける雄輝。が、そのにやけ顔が気に入らないのか、ドロイドは顔を狙って2発もライフルを発射してくる。
「てめぇ、ぶっ壊されたいみたいだな…」