12 ショックウェーブ 6

35ミリの幅に力を調整する事は出来た雄輝だが、まだ課題は残っていた。
3トンの衝撃波を自ら作り出す事が出来ないのだ。
「3トンのものを持ち上げれないとダメなんだろうな」
単純な計算だった。
手ごろな岩が近くになかったので軍病院の周辺を散策する。
「3トン…3トン。そんな巨大な岩転がってないよね」
射撃場にあった岩はそれぐらいの大きさはあったが、シャオメイの蹴りで木っ端微塵に粉砕されてしまっていた。よって、雄輝にはまだ整地が終わっていない軍病院の周辺を岩を求めて探すしかなかった。
ふと、何も「見て周らなくても」と思った。雄輝には透視の能力もあるのだ。目を瞑って敷地内の物体をサーチする。3トンはありそうな物体は敷地内の駐車場ですぐに発見できた。ドロイドである。
駐車場にやってきてドロイドの前で胡坐をかいて座る雄輝。
目の前には都市迷彩柄の蠍タイプのドロイドが鎮座している。武器は取り外されてはいるが、映像の中だけでしか見た事のなかった雄輝にとっては迫力はあった。
静かに目を瞑り、座禅でもするように手で印を結ぶ。
ドロイドの重心にテレキネシスを働かせる。
動かない。
「クッソ…ピクリともしねーじゃん」
情けない気持ちになるがこらえて再び挑戦する。
動かない。
「1ミリぐらいは動いてくれないかな」
動かなかった。というより、1ミリでも動かせる事が出来るのなら3トンの重量を持ち上げる事が可能という事だ。
結局、その日はドロイドの前で座禅を組んで終わった。