11 リージョンサーチ 3

まず雄輝は引き出しの奥で埃をかぶっているトランプケースを取り出して、カードを机に並べた。何が裏に書かれてあるのかを当てるのだ。
「これはハートのエースで、次がクローバーの4、そしてこれがジョーカー」
次から次へと当てていく。雄輝の頭の中にはカードの裏側の画像が分る。
「余裕じゃないか…。まぁこれくらいはね」
雄輝はカードの裏側を当てる練習をやめてベッドに寝転がる。飽きたのだ。
「とりあえずファーストステップは出来たけど。次は何をするんだっけ?」
トランプを『力』を使って宙に並べて、それらの中からジョーカーのカード取り出す。そしてそれをクルクルとまわしながら考える雄輝。
「つまり…視覚を使わないって事だよな」
ベッドから起き上がった雄輝は、箪笥の引き出しを『力』使って一つ一つ開けて中にバンダナが入っていないかを見て回る。バンダナではないが少し長さがあるスポーツタオルを見つけ、それで目を覆う。真っ暗で何も見えなくなる。だがその結果、雄輝は無意識のうちに周囲の物体の配置を『クレヤボヤンス』の能力を使って検知していた。
ものの数秒立たないうちに目隠しのままで歩き回れるようになった。部屋も廊下もリビングも玄関も。ウロウロするうちに親に見つかり「何やってんの?」と不審がられる結果となったが、視界が完全に塞がられた状態でも生活する事が出来るようになったのだ。