9 就職 2

翌日。
雄輝は目が覚めると早速軍のあの中国人の女性に連絡しようとした。
と、その時母親が部屋に入ってきた。
「雄輝、あんた服とかどうするの?買ってきてあげようか?」
「服?いいよ自分で買うから」
「買えるの?」
ふと考えてみる雄輝。
(金はあるけど、服を買いに行く服がないか…)
「おねがい」
「じゃあ、母さん今からちょっと買い物言ってくるから。お昼には戻ると思うから」
「うん」
母親が部屋から出て行った後、さっそく携帯で軍のあの中国人の女性へと連絡をする。暫く待ってから繋がる。
『なんだ?』
『あ、白石ですけど。昨日の話の件で』
『ああ。どうだ?やってみる気になったか?』
『ええ』
『では、説明をしようか。迎えを出させよう』
『今からですか?』
『ああ、今からだ』
『…ちょっと、今は服が無くて…』
『服が無い?貧乏なのか?』
『いえ、女になったばっかりで女モノの服がないんですよ』
電話の向こうから笑い声が聞こえる。それほど可笑しい事ではないのに、と雄輝は少し腹を立てる。
『ではいつ迎えをよこせばいい?』
『昼過ぎでいいですか?』
『判った』
『あ、えっと、すいません、昨日名前を聞きそびれてたんですが、なんて呼べばいいですか?ちょっと振り仮名が振ってないから中国語の名前が読めないんですが』
『漢字は日本にもあるだろう?』
『たぶん、読みは違うと思いますよ』
『劉(リュウ)小梅(シャオメイ)だ』
『シャオメイさん?』
『ああ、それでいい』
その後すぐに電話が切れた。