7 会合 4

「それで…これからどうする?」
青葉が言う。
「どうって…やっぱりサーカス団でも結成する?」
「やっぱりってなんだよ、そんな話でてねーし」
青葉と佐藤がそんなやり取りをしている。
そんな中、三次がちょっと躊躇いながら言う。
「っていうか…。この事って誰かに言った?」
「いや」と全員が答える。
「ん〜。これが超能力なのかどうかはよく判んないけど、この事は誰にも話さないようにしない?」
「なんで?」
「ほら、マスコミとか沢山この村にきたら嫌だし、それにさ、例の病気騒ぎがあってさ、軍の病院みたいなところに連れて行かれたじゃん。なんかさ、怪しげな実験に使われたりしないかなって」
「え、何それ?人体実験?」
「そうそうそう。そういうのに巻き込まれそうじゃん?」
「あー。ヤバイかもな」
雄輝達はまだ病気の事についても「力」についてもなんら知らなかった。軍がこの村に来たことにもまだ納得の行く理由が得られていないのだ。そういう状況で下手に動くのがまずいというのはその場に集まった全員の共通認識だった。だが、彼らはそれに気付いたから問題は無いとしても、一つだけ引っ掛かるところがある。
「他にも俺達みたいに女になった後に力が使えるようになった奴で、マスコミの前にしゃしゃり出て注目を浴びるような奴が出てくるかも知れないな。そうなったら俺達も巻き込まれて実験台にされるかも知れない…」
「そりゃ…そういうバカが出ないことを祈るだけだし。それに別に実験台になるってわけでもないでしょ。あの軍病院から帰ってこなかった人っているんだっけ?え、いないよね?」
「そういえば、君津ってきてなくねぇ?連絡取れなかったの?」
ふと青葉が佐藤に言う。
「おいおい、マジかよ」「君津って病院行ったきりなの?」「死んだか?」一同は慌てる。そして、ふと思い出したように佐藤が言う。
「あ、君津に連絡するの忘れてた」