7 会合 3

佐藤は続けて仕切る。
「昨日電話で少し話したけどさ、なんか、変な力みたいなのが使えるようになってねぇ?って話なんだけど。なぁ、青葉」
青葉と言われた女性が佐藤に返す。
「ああ、遠くのものが見えたり、ものが透けて見えたりする奴?」
「そうそう」
雄輝の力と明らかに違う力だ。
だから雄輝も驚いたし、他の人間も同じ様に驚く。
「え、そうなん?俺のと違う。俺はほら、」
と三次という、これもまた雄輝のクラスメートが携帯を「力」を使って宙に持ち上げて見せた。彼女の使う力は雄輝のそれと同じもののようだ。
「あ、俺もそうだ」と雄輝が言う。
「っていうと、人によって使える力が違うのかぁ」
「佐藤は何が使えるの?」
「俺?俺はねぇ…」
佐藤はそのあたりに転がっている新聞紙を一つ手にとってからぐしゃぐしゃと丸めると、まるで手品でもするかのように新聞紙に火を点けた。
「すっげぇ、手品か」
だが後は他の新聞紙を使って火を消した。どうやら火を点ける事が出来るが消すことが出来ないようだ。
「みんなこんな手品っていうかマジックっていうか…超能力っての、使えるようになってるの?」
一同は一人を除いてうなずく。
うなずかなかった一人はただ単に佐藤に呼ばれただけのようだ。彼女は玉野と言って、普段からあまり口数が多くない大人しい系の男子ではあった。今はただちょっと暗い女子である。
「玉野、何か出来るんじゃないの?」
「出来ない…みたい」
「火をつけたり、物を動かしたり、電気を起こしたり、透視したり…後は…なんだろ?予知能力とかじゃねぇーの?」
「予知?昨日は夢は見てないなぁ」
玉野にはなんら身体に変化は起こっていないようだ。つまり、全員が全員で超能力を扱えるようにはなっていないようだった。それには何らかの条件があるのかもしれないが、使えるようになったものの共通点は全員、元男性だという事だった。