12 ごまかし 6

オフィスのドアを勢い良く開け、側に立っていた刑事と思われる男性に話し掛ける堀江。
「少年課というのはこの事務所であってますか?」
堀江は手帳を見せ国防省の職員であることを証明する。
「ええ…ここの奥ですよ」
刑事は幾つかの机の島の最も奥を指差す。
その指差す先に向かって突き進む堀江。
「少年課…どこが?」
突き進みながら独り言を言う堀江。少年課の掛札などはどこにも無い。指差す先に待っていたのは殺人課の掛札だった。
「そのまま動かないで!」
叫ぶ堀江。国防省の手帳を見せながら、殺人課の机の島へ近付く。
国防省から派遣された監査員の堀江です。少年課はここですよね?」
殺人課の机の島にいる刑事達に緊迫した雰囲気が漂う。その様子を他の課の刑事達も見ている。オフィスの人々の視線は殺人課へと向けられている。その殺人課の刑事の一人が堀江の質問に答える。
「え、えぇ、ここが少年課です」
「どこに少年課と?」
「殺人課で少年課の業務も受けているんです」
「そうですか。抜き打ちの監査なので、不信な動きをされないよう協力お願いします」