12 ごまかし 5

「こんにちわ」
島根県警を訪れた堀江。
受付のカウンターに寄り掛かりながら話す。カウンターは堀江の体重で少しづつ後にずれる。その様子からは威圧感さえ伝わってくる。受付の女性警官は、その部外者の威圧感に負けないような気迫で言う。
「なんでしょうか?」
国防省の堀江という者です。島根県警の少年課?に対する監査権限が私に付与されていると思うのですが、少年課の方々と少しお話がしたい」
「少々お待ちください。認証を行いますので、ここに手を」
市民IDをチェックする女性警官。
「すいませんねぇ。お仕事の邪魔をしてしまって」
受付の女性警官の携帯を見ながら嫌味を言う堀江。携帯にはチャットサイトのホログラムと思われるものが表示されている。
女性警官は携帯をゆっくりと自分の手前に持っていくと、引出しをゆっくりと開けてそこに落としながら言う。
国防省の堀江さんですね。監査権限を確認しました」
「どうも」
堀江は受付の女性警官を一睨みし、直ぐに目を離すと少年課のあるオフィスに向かい足早に廊下を進んだ。