12 ごまかし 1

湖小山署から歩いて数分の場所にあるハンバーガーショップに堀江と金下がいた。1階はブティック。2階のハンバーガーショップは交差点を見渡せる良い位置である。
ハンバーガーを4つ、ポテトを4つ、ナゲットを4つ、山のようにトレーに乗せた金下が堀江の座る席に向かっている。ジュースはトレーに乗せられないのか、彼の2つのポケットに入っている。
周りの客から自分に注がれる視線を気にも止めずに席に着くと、4種類のハンバーガーをかわるがわる噛り付きながら黙々と食べる金下。
その様子を見ている堀江の目もどこか満足げだ。
あるものが無くなる、何かが食べる事によって。
それはペットにエサを与えた時に、それが綺麗に食べられ、栄養に変わる事を想像する喜びに似ているのだろう。
「いくつか解ってきた」
堀江が言う。金下は無言で頷き、またハンバーガーに噛り付く。
「湖小山市内のゴロツキどもをターゲットに殺している事は明らかだろう。後はゴロツキどもを監視して…犯人を待つか」
金下は無言で頷く。
「ただ気になる点があってな…」
金下は口の動きを一瞬止める。が、また食べ始める。
「補導履歴の内容と事実が一致していない」
ジュースを喉に流し込み、金下は話す準備をした。
「入力忘れっすかね?」
「どうだろな…一応調べてみよう。この事は警察の人間には話すなよ」
「?…なんでっすか?」
「入力ミスか、不正かはっきりしてないだろう?」
「…不正?犯罪を揉み消している?」
「声がデケぇよ」
堀江は金下の肩を軽く叩いた。