11 共通点 5

堀江は新山商店街の派出所に来ていた。金下の印刷した数枚の印刷物を警官や警備会社の人間に見せながら話している。
「こいつらは、結構この辺りじゃ有名なんですかね?」
「有名…とまでは言いませんが、何度か補導したことがありますね。浮浪者や学生に暴行を加えたという件で」
「暴走族か何かですか?」
「いや、そういう決められた枠組みがあるわけじゃなくって。でも、まぁここらの人は彼らをそう呼んでるらしいです。商店街を集団で闊歩したり、コンビニの近くに座り込んでいたり、あと、ゲームセンターに行けば大抵、こいつらの数人はいますよ」
堀江は黙って頷く。
「つまり、こいつらは常に一緒に行動してるわけじゃなくて、この辺りを中心にうろついているわけですかね」
「そうですね」
「補導した際の記録は取ってますよね?」
「ええ、ありますよ」
警官はPCのキーボードを叩く。顔写真と共に、学校、職場、住所等の詳細が画面に表示された。
「関連付けは出来ますかね?」
「関連付け?」
「例えば、こいつと、こいつが一緒に補導されたとかいう感じで。こいつらが仲間であったことを証明したいんですよ」
「あぁ〜出来ますよ。補導した日付と時刻で並び替えれば、同じ日、同じ時刻に名前が上がりますので…同じ日時に補導した人間だけを搾り出すと…」
リストが表示された。
堀江は手持ちの印刷物とリストの氏名を見比べる。警官が表示した画面とそれと印刷物は一致した。だが、印刷物のソレよりも画面のほうは人数が多い。
「ふむ…やはり、この辺りにいる不良どもが殺されていますね。こいつらの顔をざっと見回して、大体いつも一緒にいるメンバーだって判ります?」
「えぇ〜判りますよ」
「つまりこいつらは仲間だと思われますかね?」
「そうですね。全員が一緒にいたのは見たこと無いですが、大体、この中の誰かが誰かと関連してますね」
「ん〜。大小様々ですねぇ。この辺とか」
堀江は画面の一部を指差す。そこは犯罪暦の個所だ。傷害、婦女暴行、窃盗もあれば、一方では器物破損とだけある者もいる。
「んん?…そうですねぇ」
警官は一度画面のその個所を見た後、頷いた。
「なるほど…今日はども、ありがとうございます」
「いえいえ」
派出所を出ると堀江は携帯をかける。
「金下か、俺だ。次に殺される予定の奴等のリストが手に入ったぞ。今から送る」
警官がPCよりコピーしたリストの入ったディスクを携帯に接続すると、幾つかのボタンを押してデータを送信した。
「俺は引き続き捜査を続ける」