11 共通点 4

堀江は新山商店街にいた。
コンビニエンスストアの出口に屯している男女数人に話し掛けている。
「こいつら知ってる?」
惨殺された不良達の写真数枚を見せながら尋ねる堀江。男は暫く考えてから閃いたように話し始める。
「あぁ、そいつらって暴走族?じゃないっけ?」
男は他の仲間に確認を取るように聞く。
「そいつらレイパーって噂がありますよ」
話を振られた仲間の男はタバコを一度吸い、煙を吐きながら言う。
「レイパー?」
「女、ワゴンで連れ去って、レイプして…」
「それは警察には届けた?」
「あ、いや、噂っすから。ねぇ、金取ったりとかしてんだよね?」
男は他の仲間に同意を求めるように言う。男の吐くタバコの煙が他の仲間を包む。
「レイプして、男を客に呼んで来て、ヤらせて金取ったりしてるって」
堀江は手に持つ写真数枚を順に見ながら話を聞いている。
「この写真の奴等で全員?」
「いや、もっと居るっすよ。顔はよくわかんないけど」
「ゲーセンの前とかに居たよね。前」
男達と一緒にいる女が間に入って言う。
「ゲーセンっていうと、新山の?」
「最近は居ないけど、前まではあそこが溜まり場だったみたい。何かあったんですか?」
「あぁ、うん。こいつら全員死んだんだよね」
「…そうなんですかぁ」
「ん?その反応は、『やっぱり死んだか』って事?」
「だってその人達、いっつも悪い事してたって言うし。ってか俺、カツアゲされたし。実は」
男女の間に笑いが起きる。
「そういうの警察にきちんと言わないとダメだよ」
堀江が言う。
「言ったらそいつらに何されるかわかんないっしょ?」
男が堀江に返す。
堀江は黙ったまま、数枚の写真を順に眺めている。
「まぁ、また何かあったら署に電話して。今そいつ等殺した犯人を追っているから。聞けば他にも『悪い奴ら』が居るみたいだし。ついでに逮捕しておくよ」