19 ベリィド・ドキュメント 7

「なるほど!そうだったのか…」
東屋は何かを閃いたかのように言う。
「どした?」
「いやね、ゼノグラシアの軍隊って突然、相手国の首都のすぐ側に出現したりするんだよ。今までどうやってそれをやってんのかが謎だった。出現させたい位置に大陸の一部を落としていたのか…」
「ああ、そうだなきっと。つまり、逆も出来るって事だ。如月達に伝えよう」
青井、続いて東屋は資料室を飛び出た。
廊下を進むなか、遅れ気味の東屋が青井に話し掛ける。
「逆って、それはゼノグラシアに戻るって事じゃねーの?」
「そりゃそうだが、オークに囲まれてるんじゃ仕方ないだろ」
サーバルームに到着する二人。突然扉が開かれて二人が入ってきたので、千葉が驚いた。
「二人してどこへ?」
「ちょいと資料室へ」
「さっき如月君から連絡があったよ。どうやら仕掛けなのか分からないがバベルの塔という所に転送されたらしい」
それを聞いて青井と東屋は顔を見合わせた。
「どういう事だ?」
「…えと、ゼノグラシアじゃなくてバベル?」
青井は端末に備え付けの椅子に乱暴に腰掛けるつすぐさま如月こと風雅との通信を開始する。そして風雅に対して今までの経緯を説明した。
「部屋の隅にあった風変わりな扉をくぐるとまったく雰囲気の違う建物に出て、そこからしばらくして周囲が光に包まれて気づいたらバベルの塔に居た…という感じですよ。思うに、一旦はゼノグラシアに行ったんじゃないですかね…?」
それを受けて青井はしばらく考えていたが、結局答えは見いだせなかった。そういう時には彼はさっさと諦めてしまうのだ。「まぁ、なんとかなるだろう」というのが口癖だった。だが、それで結局彼の部下であった如月は気持ちだけは助けられていた。