8 魔法少女ミミ 1

「武器が欲しいの」
芝川とみのりはノクターンに居た。
二人はお互いの顔は見ず、俯いたままだ。一見すれば別れ話の最中のカップルにも見える。
「そりゃ…無理だよ」
芝川は頭を掻き毟った後で小声で話す。俯いたまま、言う。
「そいつらが木村みどりを殺したってのは確かなの?」
同じように俯いたままみのりが言う。
「ドラム缶に触ったら、みどりさんの記憶が読めた…」
泣いて赤く腫れ上がった目蓋が芝川からも判る。
「サイコメトリックって奴か。俺はあんまりそういうのは信じないけど…警察には話したの?…まぁ信じてはくれないだろうけど」
「言ったけど、証拠にならないから無理だろうって」
「日本の警察はお役所仕事だからな…ドラム缶っていうのは…どこ?」
二人はカフェを後にした。
向かう先は湖小山の工場跡地だ。