7 霧雨の炎 6

「ッ!」
みのりはドラム缶から離れると後ろに倒れこんだ。
身体が熱い。手や足が赤く腫れ上がった。激痛が身体に走る。
(違う…これは記憶。私の身体が勘違いしただけ)
ゆっくりと身体の痛みと腫れが退いていく。
みのりは泣いていた。
高校時代、自分自身さえ守れず苛められ続けた。そしてその挙句に大切なものまで奪われた。
けして経済的に裕福ではない木村家、それでも笑顔が絶えない家庭だった。その笑顔に何度も救われた。表面には表れない大切な何かを教えられた。その礼も出来ないまま、深い悲しみの底に突き落としてしまった。すべての責任が自分に覆い被さるようだった。
悲しみが怒りに変わる。
(柳川太一…殺してやる!)