1 脱皮 2

数人の兵士と医療ドロイド、そして川上村の人間が路地を周回していた。
「この辺りは最近になって廃屋になった場所だよ。さっきの山本さんのところだけだったかな。住んでるのは」
地図と住民一覧を照らし合わせながら兵士は確認した。
一覧には「住んでいる」と識別されているが廃屋になっているのを見て、「この住民一覧は古くないですか?」と問う。
それに面倒臭そうに答える川上村の(おそらく自治会長と思われる)人間。
「あ〜。すいません。更新してないんですよ。最近ドタバタとね、新しいアパートやらマンションやらに引越しなさったから」
それを聞きながら兵士は住民一覧のチェック欄に赤ペンでチェックをつけていった。そして、
「次の地区を周りましょう」
と言った。
不運な事は二つあって、一つは自治会長と思われる川上村の案内役が疲れ果てていて適当に仕事をしていたという事、もう一つは医療ドロイドが生体エネルギー探知タイプでは無かった事。住民一覧があるならと地域の管理団体を軍は信用していたのだ。その肝心の住民一覧が信用できなかった。