14 忘却の神殿 1

風雅達がタロットの置いてあったフロアからそれらのカードを持ち出した瞬間、タロットは全てが輝いた。そして暫くしてからその輝きは収まったのだ。
「何があった?」
レッカが真っ先に問うた。
「判らない、光ったみたいだが」
何か変化があったのかと、風雅はタロットを1枚1枚捲って、変わったところがないかどうか調べていた。そして、7番目のカードの絵のあるはずの部分に文字が浮かび上がっていたのを見つけたのだ。
「これは貴様等の言う『バーコード』という文字ではないようだな」
そのカードには文字が浮かび上がっていた。
『周囲を包む不穏な空気は全ての記憶を忘却の彼方へと放り去った。だが、強い思いに結ばれた二人の、繋いだ手と手を解こうとするものは居なかった。誰にも、二人の記憶は変えることができない』
「このカードを解除する為の条件が書かれているのか」
風雅がカードをまじまじと見つめながら言った。
「忘却…忘却…。そういえばキムナイの村の近くに『忘却の神殿』と呼ばれる場所がある。そこの事を指しているように思えるな。どうだ?いってみる気はないか?」
レッカが言う。
「今はそれしか出来る事はなさそうだ」
風雅がそれに答えた。