13 バベルの遺産 1

その日のうちに風雅達は塔を降り始めた。
何度か現実の世界と通信はしたが、彼らがこれからどうするべきか、青井も千葉も答えを出せなかったのだ。
登ったときと同じく、装置を使う事で簡単に降りる事はできた。
「これからどうするんですの?」
キサラが風雅に問う。
「まずはレッカ女王に会って、」
と言い掛けて、扉が開いた瞬間、目の前にレッカ女王と親衛隊それから研究員が待っていた。風雅が降りるのを待ち構えていたというよりも、偶然居合わせたという感じだ。
「風雅か。用事は済ませたのか?」
「ああ」
風雅は女王に報告するべきことがあると、話を持ちかけたがそれを遮られた。「その前に貴様等が上へ上がってから、塔の装置に変化が起きた。その事について話しておきたいんだ」と。
レッカ女王が案内したのは、ゼノグラシアへと登るフロアと同じ場所にある、別の部屋だった。だが、風雅達の知る限りはそのフロアには上へ上がるエレベーター以外は存在しなかったはずだった。
「上に上がる扉と仕掛けが連動していたようだ。中には今までのこの建造物とは少し異なる文化のものが存在していた」
その場所は前まではただの壁だった場所だ。
「この奥に何がある?」と風雅が問うと、
「それを知りたい」とレッカ女王は返した。