12 ゲーマー 3

東屋雄二は人生をあくまで死ぬまでの暇つぶしのように考えていて、普段から何をするにも目立たずただ惰性でやっていた。その彼のもとにある日訪問者が現れた。彼の祖父だった。
誰かが来たと思って泥棒ではないかと、ちょっとステレオの音を下げると祖父が何か言っていた。ちょっと神経を集中したと思ったら、あの昼行灯のような祖父の声が聞こえたわけなので、神経を集中したのが無駄になったと腹を立てたのだろう。雄二は怒鳴ってしまった。
「うるせぇ!クソジジイ!」
その言葉を発する前に祖父は「雄二にしか出来ない事」などと言ったような気はしたが、そんな事はこの世には存在するはずもないと思ったいた。そうやっておだてれば自分も他の『孫』と同じ様に世間様に恥ずかしいと思われるわけでもなく大学へと通ったり仕事をしたりなどをするものだと、いわゆる孫を騙してでも自分の名誉を守ろうとしている状態だと感じた。
「アホくせぇ」
彼はそう言い放った。
そう言葉には出すものの彼の祖父の気持ちはわからないでもない。また、彼自身も今の自分が本当にいいものなのか考えていたりもした。働かず家に居る自分には偉そうに発言する権利はない。それでも発言こそするのだが誰もソレをまともに聞いてはくれないとどこかで思っていた。
だから彼はいつしか家族とも話さなくなった。部屋に引き篭もって時々風呂やらトイレの為に部屋から出る。食事は親が廊下に置いていた。
ふと、彼は高校時代に共に過ごした悪友達が今どうしているのか気になった。
自分と同じ年齢ぐらいの連中がもし仕事をしていたり、大学へ進んでいたり、そうする事で人間的に何か変わったのかと思ったのだ。それは一種の不安だった。