12 ゲーマー 2

東屋雄二18歳。
ごく普通の家庭に産まれて、特に才能に優れるわけでもなく、かといって成績の悪い部類の人間に成り下がるわけでもなく、ある意味目立たない彼は、学生時代を目立たないままに終わり、そして今は家の外に殆ど出る事がない為、その存在を周囲に知られることがあまりない。
一般的な共働き家庭だが一つだけ他と違う点をあげるとするのなら、彼の祖父が定年する前には刑事であったことだろう。彼の母はその事を誇りに思っているようで「おじいちゃんの仕事は悪い人をやっつける仕事なのよ」などと、彼が子供の頃から言っていた。それに対して雄二がどう思ったかと言えば、いつも聞かされているので特に何か思うわけでもなく、うちの祖父は刑事だという一つの知識として頭に入れているだけである。
彼が通っていた高校では生徒の成績はピンからキリまである。彼は目立たないという特性なのか真ん中のあたり。だが彼の友達には成績が優秀なものはおらずどちらかと言えば馬鹿な部類だった。その影響もあって彼は高校の時からその馬鹿の友達とつるんでは街を徘徊していた。ただ、馬鹿でも力のある馬鹿と力のない馬鹿に分かれるのだが、彼らはどちらかと言えば力のない馬鹿のほうで、街を徘徊すると言ってもゲームセンターやらギャンブルやらを楽しむ連中だった。
高校を卒業すると、その馬鹿の友達もまがりなりにも就職や大学への進学を果たしたが、雄二は特に何かをやるような気力もなく、ただ生活保護などを受けて生きていけばいいのではないかと考えていた。それはあくまでも高校生活の延長線上にあるだけであった。