10 予測と憶測 1

ゼノグラシアの神殿から出た広場に風雅がいた。
隣には豊吉がいる。
風雅の手に入れた財宝は外部、つまり現実の世界との通信を行うプログラムだった。それらは財宝とは名ばかりで目に見えるものではない。手に入れた風雅だけが使用することができるものだ。
話したいことはいくらでもある。財宝を手に入れてからは幾度となく通信は行ってきたが、とりあえずは少し休めと青井に言われて一時的に通信を遮断していたのだった。
『青井さん、いますか?』
『お。如月か。どうだ?よく寝れたか?』
『最初はあまり眠れませんでした。そちらの世界の寝ると、こちらの世界の寝ると、ちょっと違っていて違和感があったので。でも最近はそんな違和感も感じなくなりました』
『まぁ、そっちはこっちよりも時間の進むスピードが速いからな。それで、どうなってる?そっちの世界は。今隣に千葉さんも居るんだ。千葉教授。覚えてるか?ニューラルリンケージや電脳物理学専門の。ほら、そこに潜る前に会った事があるだろう?』
『あ、はい』
『俺を経由して如月の言葉が伝わるから、好きに話してもらっていい』
『はい』