8 トモダチ 7

夏美こと、はつみはゼノグラシアから彼方を見下ろせる場所に立っていた。
となりにはテトがいる。
「テト…私ね、思い出したんだ。全部」
「?」
「ずっと前から私がテトと会っていたこと。初めてゲームにログインした時からずっと。それから二人で森に食べ物を拾いに行ったりして、それから私はテトに言葉を教えて、それから二人でティリスの花火大会をみたりして」
「はつみ…」
「でも…」
はつみの瞳からは大粒の涙がぽろぽろと零れた。
「でも…これって全部嘘なんだよね。嘘の世界なんだよね」
「じゃ、じゃあさ、ボクと本当の世界で会おうよ!」
「テト?」
「ここが嘘の世界なら、本当の世界に本当のはつみがいるんでしょ?だったら、そこにもボクがいるよ!そこで会おう!だから嘘なんかじゃないよ。ボク、約束するよ」
「ありがとう」
はつみはテトの小さな手を取って、それからその小さな身体を抱き締めた。