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白黒のドキュメンタリー映像には不恰好な戦車や汚い服をきた兵士が映り、魚市場のマグロのように死体を並べている奇妙な状況も撮られていた。「これが戦争なんだ」とその映像は語っていた。不幸な時代から戦争へ突入し、高度経済成長を経て今の日本が出来たのは歴史の教科書の最後の辺りに書かれている。そして最近になって、その最後のページの後に新たに追加されて教科書が再配布となった。
そう、幸福な時代から戦争へと突入した歴史。
もうジイさんどもに「最近の若いのは戦争を知らない」だとは言わせない。ある意味幸福な時代から戦争へと突入のほうが不幸なのだと思える。
でもその戦争も終結してみると、マスコミが流している画面ごしの映像や戦果の報告も白黒のドキュメンタリー映像となんら変わらないようだ。日本のもっとも新しい戦争は映画の1シーンぐらいの印象しかなかった。