159 反日デモ 6

夕食を食べ終わってからは、客室として用意されたベッドが2つある部屋に通される…。
が、よくよく考えると俺達は俺、エルナ、幼女にタエと4人いる。
案内された部屋にベッドが2つしかないって、どうすりゃいいんだコレぇ?!俺は幼女が寝相悪そうだから一緒に寝たくないし、タエでもいいけれどタエの場合は俺がイヤラシイ事をしちゃいそうだし、そうなってくるとイヤラシイ事をする前提で一番反撃を受けにくいであろうエルナが候補にあがってくるわけだ。
「キミカさん、ゲス顔になってますよ…」
ベレー帽を深く被ってジト目で俺を見るエルナ。
「ごめん、客室、ここしかない」
ファリンが謝ってくる。
「まぁ、豪勢に4つのベッドが置いてある客室がこんなボロ屋敷にあるとは最初から想定はしていなかったからな」
などと幼女が皮肉を言う。
それには渋い顔をしながらも、「おやすみなさい…」と言ってファリンは自室へと戻っていった。
「んじゃ、あたしとエルナが一緒のベッドでセックスするから、ビッチと幼女はそっちのベッドでスカトロプレイしててよ」
「するか!!」
「なんで私とキミカさんがエッチする事になってるんですかァ!」
「おい!ウンチを漏らす前提に話を進めるのはやめるのだ!」
3人から同時に反発が…。
「っていうか、幼女がクマのぬいぐるみ内で寝て、エルナとあたしがベッドで寝て、キミカが床で寝たら解決じゃね?」
「解決してないよ!!!問題増やしてどうすんだよ!!」
「ァァーン?!どこに問題があるんだァァ〜ん?!」
「ン…だとォォォォァァァ?!」
俺とタエは街で遭遇した不良と不良が遺伝子に任せて喧嘩を始めるように、おでことおでこをごっちんこさせて喧嘩をおっぱじめた。
「もー!!二人共やめてくださいよォ…。エルナが下に毛布を敷いて寝ますから…キミカさんとタエさんがベッドで寝てください…」
それは議員はぬいぐるみ内で寝る前提だな…。
「私はここで構わん。というか、そのベッドもなんかダニとか蜘蛛とかムカデとか色々ヤバイ虫居そうで嫌なのだ…」
だ、ダニィ?!蜘蛛ォォ?!ムカデェエェーッ?!
俺とタエは一瞬でベッドがクソみたいなものに見えた。今までベッド争奪戦を繰り広げていたのは何だったのかっていうぐらいに、今の一言は俺達の想定していた未来を崩すだけの破壊力があった…。
「ちょっ、なんてこというんだよ!!」
「私はそろそろ寝るのだ。幼女幼女と馬鹿にされて疲れたのだ」
おいいいいいいいい!!!
爆弾仕掛けて自分だけは寝入りかよ!
俺とエルナとタエの3人は、クマのぬいぐるみ内で寝てる幼女をよそにして、薄暗い部屋に突っ立っていた。呆然と、突っ立っていた。
「お、おい、ちょっと待てよ、待てよォ…マジで、こんなことになるとは思ってなかった…チョー気持ち悪いんだけどォ…」
「あ、あのあの、ダニとか、ムカデとかって、刺されたらヤバイのが中国には居るって、そんなニュースが入ってくるんですけど…あれって、2chのデマですよね?ここにはそんなの、いませんよね?!」
「あ、あたしは身体を浮かせて寝るわ」
「「?!」」
そう、俺、じつはグラビティコントロールで身体を浮かせた状態で寝ることが出来るのだ。これはマコトが周囲の温度を寝心地がいい温度に維持したまま寝る、っていうのと同じ系統のドロイドバスターの力の使い方なんだけどね。
「お、おいおいおいおい!!!ふざけんなよ!なんでオマエだけ宙に浮いて逃げようとしてんの?!ベッドで寝ようよ!」
いきなりなに言ってんだコイツ。
俺は鼻くそほじりながら、
「いいよいいよ、ベッドのほうが寝心地いいと思うよ。人類は長い間ベッドで寝てきたからね〜。ベッドは譲ってあげるよ」
と言った。
「オマエ何言ってんだよ!鼻くそほじるのをやめろよ!」
「キミカさんなら私達も宙に浮かせることできますよね?!」
「無理無理」
「やってもねぇのに無理とかいうなよコラー!!」
「キミカさぁぁぁぁーん!!(涙)」
…。
それから小一時間ぐらい、部屋が密閉されているか、ダニなどの害虫がいないかなどをエルナとタエと田中くんは入念にチェックしていた。ったく、どんだけ虫を恐れてるんだよ。仮にもタエなんてドロイドバスターなんだからちょっとやられても死にはしないっつの。
それから、
「ふぅ…んじゃ、お風呂入ってから寝るか」
最後は自らの身体を綺麗にした後に寝るようだ。
じゃんけんで誰が最初にお風呂に入るかを決めて、エルナが最初、2番目がタエ、最後が俺という順番に決まった。
というか、俺が抱えている一抹の不安は、中国に『お風呂』っていう習慣があるかどうかってことだ。でも、ファリンだって臭くはなかったしファリンの家族だって臭くなかった。
身体を洗うっていう考え方はあるはずだ。
たしか欧米だとシャワーなんだっけかな?
3人はそろって家の外、最初に入ってきた中庭の反対側にあるトイレにしては大きめの建物に向かった。
コンクリート防空壕のような建物はどうやら脱衣場とシャワー室のようなのだ。まぁ、お風呂を期待していたけれど、贅沢は言えない。
それぞれがシャワーを浴びる間は部屋で待機だ。
エルナは20分ぐらいで浴び終えて、タオルで長い髪を拭き拭きしながら、「お湯もちゃんとでますよー!」と現れる。
次はタエ。
待つこと30分。
「遅い!!」
「キミカさん、落ち着いてくださいよ〜」
「30分も?!お風呂に入ってるんじゃないの!?」
「お風呂はなかったですよォ?」
「マンコを入念に洗いすぎなんだよ、どうせ性病で変な臭いがしてるから入念に洗っておかないと大変な事になるんだよ」
「ちょっ、キミカさん、女の子になんて酷い事言うんですかァ!」
「ヤリマン・ビッチの末路ですよね、哀れ」
「酷いですよー!!」
…。
待つこと、もう30分。
「おぉぉぉそぉぉぉぉうぅぅぅぃぃいぃ!!」
俺はスタスタと部屋を出ていこうとする。
「え?キミカさん、どこ行くんですか?」
「シャワー浴びてくる」
「まだタエさんが入ってますよ?」
「早く出ろコノヤロー!って言って追い出してくる」
「…」
なーんてね、
俺はそうは言うものの、中身は男の子なわけだ。
ドロイドバスターでコンセプトモデルではない、所謂本物の女の子のタエがシャワー浴びてるのを凸しないなんて、それはドラマやアニメや映画の主人公の男ならあるまじき行為。そんなのが主人公の物語を見て何が面白いんだ?(疑問)いや、面白いはずがない(確信)