7 石見圭佑先生の兵器説明会(リメイク) 5

お尻の穴にエアガンでBB弾をブチ込むだとゥ?!
俺は転げ落ちた地点から上を見上げて、それでもまだキザにも窓から外を見ているケイスケを睨んだ。軽蔑の眼差しで睨んだ。
「まぁ、若気の至り…とでもいいましょうか」
「至りすぎでしょ!!ケツの穴にBB弾とか小学生じゃないんだから!」
どうやってそこまで精密射撃できるんだよ!!ってかどんだけ慣れてるんだよ!相当撃ちなれないとケツの穴にスポスポ入れるとかありえないだろ!
「普通に撃っても尻尾とか脚に命中して失敗するにぃ」
動物愛護団体が聞いたら発狂しそうだよ」
「だから、今はもう置いてないけれども、昔は庭先に置いてあった石やら盆栽に跳弾させてケツの穴にスポスポ入れるんですにゃん」
「跳弾かよォォ!!ゴルゴ13かよ!!!」
「慣れればそこまで精密射撃できるようになれますにぃ」
「慣れたくないよォォォ!!!…ふぅふぅ…。でぇ?犬は痛くて悲鳴上げてたんじゃないの?それで気づかれて…」
「あまりの痛さに犬ッコロはチンコビンビンにしてましたにゃん」
感じとる…思いっきり感じとるよ!!
その犬ゥゥ!!
俺はぐったりと絨毯の上にうつ伏せで寝転がりながら、言う。
「それでェ…どうやってバレたのォ…」
「ある日、隣の家の主人がボクチンの家までやってきて、突然、犬のウンチを見せて『おたくの家のオタクが犬にBB弾を食わせとる!』とか言い出すんですぉ。ウンチはボクチンが犬の直腸へ送り込んだBB弾が大量にありましたぉ。食わせとるんじゃなくて、ケツから入れたんですがにぃ…ティヒヒヒ…」
「うわぁ…」
「でも証拠もないのに、ボクチンの家にまず最初に来て、まずボクチンを疑うし、しかもオタクって既にオタク呼ばわりしてるし!!まったくけしからんと思いませんですかぉぉぉ?!」
「近所でエアガン持ってる人がケイスケだけだったらそうなるじゃん」
「それからというものの、犬のケツからBB弾が見つかるたびに警察を呼んだり…クッソムカツク奴ですォォォォァァァァ!!!」
バレてもまだ撃ってたのかよ!!
どんだけケツの穴に執着心あるんだよ!!
その時だった。
(ぴぃんぽーん)
とダサいチャイムが鳴り響いた。
ケイスケは鋭い視線で何かしらのテレビのリモコンっぽいスイッチを押したのだ。それから、ウイィーンという機動音が聞こえた後、天井からホログラム装置が降りてくるではないか、マジキチ。
「な、なにが起きてるの?」
俺が目を白黒させてると、ホログラムにはカラーでこの家の玄関の前にいると思われる警察官2名を映し出していたのだ。
「ちぃ…また隣の家の奴が警察呼んだですニィィィィァァァァァォァ!!」
キレるケイスケ。
そしてドスンドスンと玄関まで歩いて行くのを俺はついていく。さすがにこの格好(パンツ一丁にノーブラ、タオルのみ)ではヤバイと思って顔を廊下へ覗かせる程度にした。
玄関では警察官2名がケイスケに何やら話をしてる。
「またですか、石見さぁ〜ん…」
「はい、はい、すいませんにゃん、隣の家の人が通報したんですかぉ?」
満面の作り笑顔だ。
顔の筋肉が今にも崩壊しそうなぐらいに作り笑顔だよ、ケイスケ。
「今度は何をやったんですか?」
ともう一人の警官が言う。
「通報の内容では、何やら銃を所持していたとか…」
「高校の時のエアガンを銃だと勘違いしたんですかにぃぃ?フヒヒッ」
「一応念のためですから、そのエアガンを確認させてください」
「ほ、埃被ってますにゃん…」
と、そこに近所の人、登場だ。
警察官の間から顔を覗かせて、言ってる。
「高校の時のエアガンじゃなかったですよ、もっとごっつい、大人の男が持ってても重くて持てないような大きさの」
BFGの事かぁ?
「『大人の男が持ってても重くて持てない』ようなものをどうやってボクチンが持ってるんですかォォォァァァァ!!!嘘をつくのも大概にしたらいいですぉ!角膜内のレンズが年で劣化してて遠くにあるものでも大きく見えるんだから、どうせ蚊みたいなのが視界にはいってそれが銃に見えたんですぉ!!」
興奮して鼻息を荒くしながらケイスケは吠える。
「まぁまぁ、石見さん落ち着いて」
などと言う警官。
しかし近所の主人の証言は止まらない。
「これくらいの小さなな中学生ぐらいの女の子が半裸で庭にいましたよ。その子に聞いたら分かるんじゃないですかね、一緒に銃みたいなのを見てたから」
って、俺じゃんヤベェ!!
俺は慌てて廊下に覗かせてた頭を引っ込めた。
訝しげな目でチラッと俺及びケイスケを警官が睨んだ、ところまでは確認した。後は廊下から聞こえてくる声だけだが、それでも十分過ぎるぐらいにケイスケを疑っている感である…。
「石見さんとその女の子との関係は?」
「え、えっと、親戚の女の子ですにゃん」
「呼んでこれますか?」
って廊下から聞こえるぞコレェェェ!!!
俺は大慌てで周囲に何か着れるものがないか探した。
クソッ!
ブラは廊下を挟んで風呂の脱衣所にあるんだった!ヤバイぞ!シャツもないしパジャマも2階だよォ!!!
「(ウォォァァァッ!!)」
ドタドタと音を立てながらケイスケがリビングに侵入してきて、
「(なんで上半身ハダカなんですかぉ!!)」
と小声で怒鳴ってる。
「(知らないよォ!!警察が来るなんて思わなかったんだから!)」
「(何か着れるものはないんですかぉ!)」
「(脱衣所にブラが…)」
「制服があるにゃん!」
「あ、そうか、そうだった…フヒヒ」
ケイスケは慌てて制服(ブラウス)を取ると俺の肩にそっとかけてからネクタイを適当に締める。
「(よし!オッケーですぉ!)」
廊下にでる俺とケイスケ。
「この子ですか?」
隣の家の主人に聞いている警察官。
「あぁ、そうです、この子ですよ、この子が半裸で」
「半裸じゃないですにぃ!!美少女が半裸で見える病気ですにぃ!早くお巡りさんこの人逮捕して欲しいですぉぉ!!」
などと言い合う二人だが、俺は改めて自らの格好を確認していた。
確かにケイスケは俺にブラウスを着せた。
それは確かだ。
しかしネクタイは適当でユルユルだし、ボタンはだらし無く外れてるし、ノーブラでおっぱいの谷間どころか乳首までひょっこりブラウスに浮き出てくる勢いで、下のほうのボタンは全開で、もうヘソが激しくコンニチワしてる状態。
だが、確かにケイスケは俺にブラウスを着せたのだ。
これはいいとして…。
スカートは…?
「「「…」」」
警察官2名と隣の家の主人、そしてケイスケの視線が俺に集中した。
鏡は無いからわからないが、おそらく、彼らの目に飛び込んできたのは年端もいかぬ美少女が、だらしなく脱ぎ掛けのブラウス、ネクタイをつけ、そしてスカートを履かずにパンツ一丁で白いスベスベとした太ももを露出し、ハァハァと息切れ切れで廊下に立って引き攣った笑いをしている、という、まるで『情事』を終えた後のような淫らな状況だった。
「はい、容疑者確保ォ〜」
「石見圭佑さん、署までご同行お願いします」
警官2名は清々粛々、淡々と、ケイスケを署まで連行し、俺には毛布を被せ状況説明を伺う為に『身分を証明できるもの』を持たせた上で署まで連行した…。