6 気になる転校生(リメイク) 10

「いッ…たぁぁぁぁぁ〜い!!」
処女が男と始めてセックスをする時のような声をあげてしまった俺。
そんな俺をユウカは、呂大后がライバルの戚に残虐な行為をして満足している時のようなしたり顔で見ながら、
「私、50メートル先のりんごを弾き飛ばすぐらいに、テニスボールの『射撃』がうまいの」と言いやがった。
野郎…ッざけやがって…。
「こらこらこら!ダメじゃないか!」
さっきのリア充先輩が割り込んでくる。
「ほら、ふたりとも、仲良くやろうよ。あくまでスポーツなんだから!スポーツマン・ヒップにモッコリで後悔ないように正々堂々とね!!ユウカちゃんも新人さん相手に本気になっちゃダメだよ!」
などと言ってる…何がスポーツマン・ヒップにモッコリだよ、後悔しろよ、そのクソ面白くない発言をさぁ!!
それにしても、やっぱりコレが本気って奴だったのか!
クソが!!
なんていうテニスプレイだよ!
身体に当てるゲームだと思ってんのはユウカのほうだろ絶対!
「先輩は黙っていてください。テニスの厳しさを教えてるんですから」
テニスの厳しさ(笑)ねぇ…。
「それじゃ、そろそろ慣れてきたことだし、本気だしちゃおっかな?」
とドヤ顔で微笑む俺。しかしその後、敵意ムキ出しの目でユウカ野郎を睨みつける。立ち上がって気合を入れた。
気合を入れると同時に周囲の埃がぶわっと俺を中心に巻き上がる。
「ふ、ふーん」
と言ってるユウカの頬に一筋の汗。
きっとあれは冷や汗。
「ま、まぁ、スポーツなんだから仲良く楽しくやろうよ!ね!」
リア充先輩が間に入る。
「先輩。邪魔。殺しますよ」
とユウカ。
「ひぃぃッ!」
情けなくリア充先輩はコート脇に逃げていった。
サーブはユウカだ。
また上から強烈なサーブが俺のコートに叩きつけられた。俺は辛うじてそれを返す。もっときちんとした体勢じゃなきゃ俺が狙ったコースでボールを放てないんだよ。難しいなおい…。
俺が力を緩めて辛うじて弾き返したボールでユウカは完全に主導権を握ったのだ。立て続けに思いっきりビッチ・パワーを叩きつけることが出来る体勢だ。
奴は狙ってくる!
絶対に!
ユウカはボールを叩きつける。
カーブを描いてボールが俺のところへ飛んでくる。俺を狙っていると思ったが、ボールは地面に1バウンドしやがった。しかも回転が掛かってるみたいで、気がついたら思いっきり俺は太ももを狙撃されていたのだった…。
「痛ったーい!!」
俺のふとももにテニスボールの痕が残っている。
クソがぁぁ!
回転を掛けてきただとゥ!?つまり、弾道計算だけではダメで、着弾時の弾の流れも計算しなければならないってことか!これはスーパーコンピュータの出番になりそうだなおい…。
「うぅぅ…痛いよぅ…」
と、俺はその痕が痣にならないように手でこすっていた。
擦ったら痣にならないってばあちゃんが言ってたような気がする。
「だ、だ、大丈夫かい?」
リア充先輩が駆け寄ってくる。そして俺の太ももに優しく手を触れて擦る。「ここが痛いのかい?」とか言いながらその手は太ももからスコートの中へ…そして段々と俺の股間に近くなって、
「ベシッ」
俺はその手を叩いた。
そんなやり取りを見ていたユウカは一言、
「先輩どいて、『そ い つ 殺 せ な い』」
マジで逝った目で言い放った。
ほほぅ。やる気だな。
いや、『殺る気』だな。
いいね!じつに!
俺は嫌いじゃないよ、そういう『愚 か な 奴』
と、俺はジョジョ立ちしながら心の中で思った。
そしてにっこり微笑みながら、
「先輩、どいててください。先輩も死にますよ」
そう言い放った。
リア充先輩は顔を引きつらせてまた再びコート脇へと逃げた。
「ビッチさん」
俺はあえて奴の愛称で呼んであげた。
「ビッチじゃないって言ってるじゃないの!このビッチ野郎!」
いや、俺ビッチじゃないけど。
童貞だけど…いや、処女だけど。
「『後悔』って言葉知ってますか?知ってますよね…自分がやった行動に『ああすればよかったな』『こうっすればよかったな』と後で思うことです。でもそれは本当の『後悔』じゃないんですよ。後悔って言葉の意味は辞書に載っている『陳腐』な意味じゃないんですよ。…後悔って言葉の本当の意味は…」
「何よ」
「『死 ん で か ら』…理解するんです…」
(ゴゴゴゴゴゴゴゴ)
俺の周囲には常人であっても視認できるような『闘気』の渦が出来上がっていたのだ…みんな、オラにパワーをわけてくんろォ!