6 気になる転校生(リメイク) 6

「キミカっちぃ!待ってってば!!」
俺はグラウンドから離れていった。
後を付いてくるのはユウカとナノカ。
「どうやったの?人間業じゃなかったよ!凄いじゃん!」
などとナノカが言うが、どうやったのって自分でもわかんないよ。
変身前からあの力が出せるとは思いもしなかった。
いや、アレでもセーブされていたほうなのか。
変身したら空を飛べるようにまでなれるんだが。ただ、さっきのはグラビティコントロールを使った風な感じじゃなかった。そういえば、葬式の時にユウカとやりあった時も、あのユウカの動きをスローで見ることが出来たし、これ(俺の身体)ってそもそも人間離れした身体能力が備わっているのかもしれない。
「確かにアンタ、只者じゃないわ…あの時私の攻撃を右、左、足と全部ガードしてみせたし」とか言いやがるユウカ。てめぇ…攻撃しますって言ってから攻撃しろよォラァァ!!俺だからガードしていたものの、普通の女の子だったら泣いてるぞ。
「あぁ…はぁ〜。カメラ持ってきておけばよかったぁ…」
とかナノカが言うからドキっとした。
あの凄まじい俺の背面跳びをカメラに収めて、万が一にもネットに流したらマスコミが押し寄せて俺の安穏とした日々がぶち壊されてケイスケにも迷惑掛けて…。
とにかく色々と大変な事になるって…!!
「あんなエッチなパンティー履いてるなんて思いもよらなかった。ガーターストッキングの隙間から見える太ももと黒のパンティー…こんな可愛らしい顔してるくせにッ。あぁ!その太ももを私の腰の上で動かして!!神様!」
ってそっちかよ!!
…ナノカは相変わらず安定しているな。
「あ!」とナノカ。今度はなんだ?
「太ももで思い出した」
そこで思い出すんだ…。
「キミカっち!」
「はい…」
「キミカっちが前に居た学校にはなくてこの学校にあるものがみたくない?」
「ん〜…カフェテラスもすごかったけど、他にも何かあるのかな?礼拝堂とか…グラウンドはさっき行ったでしょ…。他には〜えっと」
「ふふっ…太ももで思い出した、って言ったでしょ?プールだよォ!温水プールスクール水着、競泳水着!!!水着セックス!!」
「!!!」
水着セッ…マジでかァ!!女子高生の口からセックスという言葉が出てきただけで俺の股間クリトリスがフルボッキなのですが!!
頭の中に温水プールのイメージがモヤモヤと浮かんでくる。
塩素の臭い、スクール水着、ハイレグ水着の水泳部部員、水に濡れる肌、泳いでるときにポロリと見えちゃうハプニングとか、よれた水着のお尻のところを指で治す仕草…はぁはぁ。
「そうですよ!塩素の臭い、スクール水着、ハイレグ水着の水泳部部員、水に濡れる肌、泳いでるときにポロリと見えちゃうハプニングとか、よれた水着のお尻のところを指で治す仕草…はぁはぁ」とか言いながらナノカは俺を背後から抱きしめて耳たぶをハムっと咥える。
って、おい!
俺の考えてることとイコールになってんぞ!!!
ナノカがどうして俺と同じ思考回路になってんだよォォ!!
「ふぁぁぁ…」
突然の攻撃に身体が敏感に反応してしまう俺。
「やめなさいよ」とユウカ。それから、
「ナノカはすぐにそういうイヤラシイ事を考えるんだから!!」と言いながらナノカの身体を俺から引き剥がすユウカ。
「転校生を変な世界に招待しないで。あなたは特殊なの。変態さんなの!」
と続けた…すまん、俺も変態さんかも。
「っていうか、ナノカ、あんた出禁になったんじゃないの?」
「え?出禁?出入禁止?」
ユウカに聞いてみると、
「ナノカ、もともと水泳部だったんだけど、更衣室で部員のスクール水着股間のところを舐めてて出入禁止になったのよ。今は幽霊部員だっけ?」
おいいいいい!!!なんてことしてるんだよーッ!
さすがナノカさんだ!!俺に出来ない事を平気でやってのける!!そこにシビれる!憧れるぅ!!…てか、よく出入禁止だけですんだな…普通停学とか退学ですよ…。
ナノカは顔真っ赤にしててをぶんぶんと振りながら、
「ちょっとユウカ。さっきからキミカっちに色々と私のこと暴露するのやめてよ!」
「いや、もう十分分かったから大丈夫…」と俺。
「う〜…」
「出禁になってるのに大丈夫なの?」
「らぁ〜いじょうぶ〜らぁ〜いじょうぶ〜」
ほんとかよ〜。
俺の想像する更衣室はいわばコンクリートの小さな小屋で辛うじて前は隠せる程度の木の板で仕切られた個室が絶対に人数分ないだろって感じで並んでて、結局クーラーもない部屋だからクソ暑いので外で着替えちゃったりする男子水泳部更衣室というものだったのだけれど、このなんとかなんとか学園の更衣室はなんだ?!これはァ!!!
既に更衣室に入る前からその建物はスポーツセンターよろしくロビー、喫茶店(いくつ喫茶店あるんだよ)、そして更衣室へと続く廊下があるのだ。
こりゃ絶対に外で着替えようって気持ちにならないな。
そして…。
そして、ついに俺は初めてプールの女子更衣室に入ることになったのだ。
ドキドキ。
こういう事があるのだったら女になったのも悪くないかな。
「失礼します…」
と俺はじわじわと更衣室の奥地へと入っていく。もう後戻りは出来ないぞ。もしかして今男に戻るとかいう展開はないよね?あったらもう絶交だかんね!
「キミカっちぃ、はやくこっちこっち」
なんで早くしなきゃいけないんだよ。
と、ナノカの言動を怪しみながらも、俺は変態レズビアン女と共謀して下着泥棒に入っているオヂサンよろしく足音を立てずにそそくさと更衣室の中を進んだ。
「へぇ〜。幽霊部員でもちゃんとロッカー用意してくれてるじゃないの。名札まで作ってもらって」とユウカが言うように、目の前には「菅原」と名札のついたロッカーがある。うろきょろと周囲を警戒してみたが他に着替えている人は居ないみたいだ。
「あたし水着持ってきてないよ…」と言ってみる。
持ってきていないどころか、持ってもいないしな。
「いいのいいの、私の貸してあげるから〜」
「2着持ってるの?」
「うんうん、2着でも3着でも」
いや、そんなにいらないでしょ…。
ナノカはロッカーの中にあるバッグからプラスチックの袋に包まれてる水着らしきものを取り出した。水泳部が着るような競泳水着じゃない。普通のスクール水着なんだけど…。
「え、何それ…濡れてない?濡れてるよね?ビショビショだよね。搾ってないよね。絶対それ、泳いだ後の奴だよね」
ナノカはプルプルと手を震わせながら黙ってその濡れた使用済みのスクール水着を俺に手渡す。着ろというのか?これを?!
「体験入部なんだから大丈夫だって!」とナノカ。
「いや、あんた、さすがに私でもそれはヒクわぁ」とユウカ。
「ほらほら、まだ温かいうちに」いや料理じゃねーんだからさ、と思っていたら、さっさとナノカは俺のブレサーを脱がしてブラウスのボタンに手をかける。
あっという間に俺は全裸にさせられた。
「げ」
なにが「げ」なんだよ…。
「なんですとーっ!!キミカっち滅茶苦茶スタイルいいじゃん…うぅ…。もしかしてユウカよりもスタイルいいかもよぉ?」と言いながらナノカは俺のおっぱいをムニムニと揉んだ。突然揉まれるので身体がびくんとなる…。
「ま、まぁね」
と俺は身体を捩らせて言う。
「やーん!」と言いながら、ナノカは俺を抱きしめてくる。
なんだかぺっちゃんこの胸板が顔に当たって痛いです。
「あの、顔が、痛いです」と言う俺。
「あぁ、ごめん、私も脱ぐね」
いや違うだろ。
まぁ、脱いでもらっても俺は構わないがぺちゃぱいには興味はないぜ。と思うがさきにするするとナノカは脱ぎ捨てて(さすが水泳部員は着替えるのが早い)すっぽんぽんになって、再び俺を抱きしめてくる。うわぁ…ペチャパイだけど、体温が伝わってきてエロい気分になります…。肌がすべすべです。いい香りがします。あぁ、母さん、今、俺、知らない女の人の胸板に抱き締められています。あぁ、ちっちゃなオッパイだけどちゃんと柔らかい…。
「あの…ふたりとも、なに抱き締めあってるの…」
ユウカの声で俺はハッと我に帰った。俺は今すごいスケベな想像をしていた。なんという変態。でもここは紳士に、いや淑女に「ふ、深い意味はないよ」と胸板さんを離した。
「うぅ…羨ましいなぁ。キミカちゃん。そのスタイルなら私が男だったら惚れてる。告白した後、絶対に襲って、思いっきり孕ませてる!!」
いや、あんたは女でも襲ってるでしょ。
すこしムッとした表情をみせるユウカ。
「ふんっ!!スタイルなんて運動で調整できるわ。今私も調整中なの!!」とか言ってる。
贅肉の調整はできるだろうけど骨格は調整しようがないだろうに。俺の身体はそもそもありえないアニメの中の美少女を、変態野郎(ケイスケ)が肥えた目でより直ぐって選び出して現実っぽくカスタマイズしたものだぞ。これに勝てるのならアニメなんてそもそも発達しなかった…。
というのは置いといて、
「これ、本当に着るの…?」
「うんうん!はやく!」
濡れてて着にくい。それに初めて着るスクール水着というのは、なんというか、このぺったりとフィットする感じが凄く嫌だ。身体にぺったりとひっついて、冷たい。気持ち悪い。
「きゃああああああ!!!」
何、なんだよ、なぜナノカは叫ぶ。
「あたしの股間とキミカっちの股間がいま合体してるゥゥ!!!」
あぁ、そうか、そうだね。
これ君の水着だったね…。