6 気になる転校生(リメイク) 4

カフェテラスは…。
カフェテラスって呼ぶのが恥ずかしくなるぐらいに巨大なレストランだった。これが学食っていうなら俺のいた高校の学食はなんだろう。あれか、犬の飯喰い場っていうのが正しい言い方になるのか。
学生証を見せたら後は好きなものをとって食べたらいい、っていうバイキング形式。一階にフードバーがあって中2階、外にもテーブルがある。
なんてセレブなんだ。クソッ!
優雅に談笑しながら女子高生どもが食べてる同じ時間に俺は犬の様にクソみたいな学食をバリボリと貪っていたのか!
格差社会です。これは格差社会ですよ!
「急がないと人気のあるものが無くなっちゃぅよォ」
とナノカが俺の手を引いて進んでいく。ああ、食ってやるさ、俺が今まで食ってきた犬の飯を払拭するぐらいの量を食べてやるさ!!
さてと、まずは前菜にサラダやポテトを取ってと。副菜に魚介類のパスタみたいなのを取ってと、あーもう、いいの食べてやがるなぁ…。メインディッシュはステーキ。
…えっと。肉、肉。肉は…?
「あ、あんた…結構食べるのね…残しても手伝わないわよ」
ユウカがそう言う。
こいつのお皿はこれだけの料理が並んでいるのに中からサラダっぽいのをちょっととパンを並べてるだけだ。…それで午後の授業を乗り越えれるのか?それで生きて行けるのか?
せっかく大きなおっぱいがちっちゃくなっちゃうぞ。
「それよりステーキとかはないのかな?」
「え、肉?肉系の料理って人気がないから無くなったよ」
「え?!」
ダメだ。女はダメだ。男子達、可哀想すぎるだろ。野菜とパスタと魚介類ばっかりのバイキングじゃお腹もたないだろ…。
「よし人気があるものゲットぉ…」と、人だかりのなかから出てきたナノカの持つプレートの上にはケーキが色々と並んでいる。いや、積み上げられている。
ってデザートかよ!
もうデザート食ってんのかよ!!
「ナノカ大丈夫なの?太るよ?」
「うぅ…そういう事はケーキを食べ終わってから言ってよォ…。せめて食べ終わるまで幸せでいさせて…」
…。
仕方ない。俺は魚介類でなるべく脂っこいものを沢山持ってきてパンやらと一緒のガツガツと食べていた。一見すると色々と揃っているように見えても育ち盛りの高校生に必要なタンパク源が揃っているものはないんだな…。
「しっかし、よく食べるわね。まるで男の子みたいじゃないの」
うっさい。俺は男の子だ。
「べ、別にいいじゃん…。あたしが何を食べようと!」
「いいけどさ、清々しいぐらいの食べっぷりね、あの新任の担任もあなたと同じで凄い食べっぷりよ、ほらあっちのテーブル」
しんにんのたんにん?おおう…忘れてた。ケイスケの事か。
と、俺がそちらのほうに眼を向けると…。ケイスケが居た。
担任の奴は卑しくもバイキングに並んでいたもの全種類をテーブルに並べて端から食べている。よく貧乏人がそれをやって最後には食べれなくて、それでも貧乏ぐせは退かなくて袋に入れて持ち帰るというアレだ。しかし奴の胃袋はその袋を兼ねているのだろうか。異次元ポケットよろしく次から次へと平らげていく。
「あ、あれは…見なかった事にしよう」
と、俺はその巨体から目を逸らした。
一通り昼食を食べ終えて、ナノカがケーキが食べきれないとか言うので、俺は甘いモノでも女が喜びそうなインパクトが強い甘いモノはあまり好きってわけじゃないのだけれど、仕方なくナノカが持ってきてケーキを食べてあげた。
「ふぅぅ〜…食った食ったァ。ところでキミカっち」
キミカっちぃ?!
「は、はい、なんですか」
「この学校の男子はどうよォ?」
いきなりかよ!
「どうって言われても…」
どっちかっていうと俺は男よりも女のほうが好きなんだけれど。でも今は女の子の姿をしている身ゆぇ…男子が好きっていう前提にしなきゃいけないんだろうな。
「じゃあ、この学校の女子はどうよォ?」
そっちかよ!
「ま、まぁまぁ、ランク高いんじゃないかな、お嬢様学校だって言われてるみたいだし」
「おお!!キミカっちはそっちの気があるとみた!」
慌ててユウカが間に入る。
「ちょっ、あんた、また変な世界に招待するんじゃないでしょうね?」
「人聞き悪いこと言わないでよォ…(白目」
「ナノカは私の後輩も変な世界へ招き入れた前科があるんだからね!」
そうなのか…変な世界って女子校特有のアレかな、同性愛っていうか百合っていうかキマシタワー(塔)っていうかアレだよね。
「ナノカは本当に女の子の事が好きなの?」
と、ついつい俺は聞いてしまった。
「ま、まぁそうかなぁ?気がついたらそっちの世界に居たっていうかァ?」
「げ、やめなさいよ!アンタね!キミカはノーマルなんだから」
などと止めに入るユウカ。
確かに俺はノーマルだけれどそれは男の子としてノーマルなわけであって、男の子なのに女の子の身体であることがアブノーマルなわけであって…俺が女の子の事が好きなのはいたってノーマルなわけであってェ…。
「どういうタイプの子が好きなのォ?」
「おいおいおい!!」
ひたすら止めに入るユウカ。しかし、残念ながら俺はユウカが止めに入るまでもなく女の子が好きなのだ…至って健全な男子高校生なわけだから…。
「おっぱいが大きい人かなぁ…」
「おい!」
俺にもツッコミを入れてくるユウカ。
「え?!じゃあユウカっちが好みなのかぁ、フフフ…ユウカっち狙われてるゥ」
「おい!」
「小さいよりかは大きいほうがいいけど、美乳がいいなぁ…クラスメートの中には美乳っぽい人いたけど、顔がちょっと好みじゃないっていうか」
「おい!」
「んじゃ、ユウカっちの顔はどうなの?どうどう?」
「ま、まぁ好みの部類かなぁ」
「おいいいいい!!!」
「もう、ユウカっちさっきからおいおいうるさいよ。チョーさんじゃないんだから」
「そりゃうるさくなるわよ!私の周囲変態ばっかりじゃないのよ!っていうかアンタね、人と話をする顔を見なさいよ!なんで私のオッパイ話してるのよ?!」
俺、いつのまにかユウカのおっぱいを見ていたようだ。
「あんまり友達とか多くないし会話する時に目を見るのが怖い系の人なので、そういう時は胸元を見ながら話しなさいってお母さんに言われたの」
「胸元じゃなくて口とか首を見ながら話しなさいでしょ!!なんで胸ばっか見て話してるのよ?!男がそれやってきたら訴えられるわよ!」
えぇ〜マジかぁ…。
「キミカっちぃ、ユウカっちはノンケだからオッパイ触ると怒られるよォ?」
「そんなぁ…」
「おい!そこ!残念がるな!」
「そういえばキミカっちぃ、部活は何に入るか決めた?ふふっ、この学校、温水プールがあるからいつでも女子のスクール水着姿が拝めるよ?」
「おいおい!そこはいつでも水泳が出来るよって勧めるところでしょうが!あんたの視点は狂ってるのよ!」と、すかさずツッコミを入れるユウカ。
温水プールか…なんだかオラ、どっきどきしてきたぞォ!!
もんもんと頭の中に美少女達のスクール水着姿が浮かんでは消え、浮かんでは消えていくゥ…その中にユウカの大人びたおっぱいを窮屈に水着に押し込んだ姿も浮かんでェ…。
「だからこっちを見てヘラヘラ笑いながら変な妄想思い浮かべないで!」
「う、浮かべてないよ!なんで分かるんだよ!」
「涎が垂れてたわよ!」
あ、やべ、俺としたことが。
「んじゃ、放課後、水泳部へ案内したげるよー」
「ナノカ水泳部なの?」
「うん。あ、ユウカっちは水泳部じゃないよ?」
「え、そうなんだ?それは残念…」
「ちょっ、本気で残念がらないでよ…っていうか、他にも色々部活はあるんだからこの際、色々見て回る?私はスポーツ系の部活しか知らないからそっちしか案内出来ないけど」
ふむ。それはそれで面白そうだ…(スポートをしている女子の姿が見れて)このまま帰るのはアレだからお言葉に甘えて、
「ぜひ、お願いします」
「よーっし!キミカっちを水泳部に引っ張れば、キミカっちのスク水姿拝めるぞォ!」
喜んでるナノカ…さずが女子校だ。
レズビアンなんて初めてみたぞ。