6 気になる転校生(リメイク) 2

ケイスケが拘っていたのは学校の名前だとかどういう学科があるかとかじゃなかった。
少しは制服だとかにも目を向けて自分好みがないかとかこれはあのエロゲに登場した奴だとかなんてブツブツと怪しげなつぶやきをしたりもしたけど、本当に重要なのは共学か女子高か。
ちなみに、今の日本では女子高っていうのが殆ど無い。
お嬢様高校は女子高になるけどそれは本当に一部の金持ちだけが行く都内の高校になる。しかも学費はバカ高い。というわけでケイスケは女子高を諦めざるえなかった。
そして次に奴が注目したのは共学だけど元々は女子高だった学校だった。それも共学になってからそれほど時間も経っていない。どおりで聖なんとかばっかり見てると思った。
「整いますた!」
突然大声を上げるケイスケ。
「うわぁぁぁぁぁぁ!びっくりした」
「聖アンダルシア学園に決めたにゃん」
ケイスケはしたり顔になってアゴの無精髭をしゃりしゃりとやりながら言った。何か一つの大きなプロジェクトを終わらせた感じになってる。
「結局聖なんとかかぁ。でも入学の手続きとか、入学の試験とか面接とか、色々あるんじゃないの?学費だって結構高いと思ったけど…」
「ふっふっふっ…チミはそういうところは気にしなくていいのだよ」と相変わらず顎の無精髭をしゃりしゃりとさせながら言ってる。
なんかムカつくなぁ。
でもまぁ、高校にも行けるようになったし、それはそれでよかったかな。
よくよく考えてみると俺はこのケイスケの…いや、この人の家に居候させてもらっていて、しかも学校まで通わせてもらえてるんだよ。
これだけお世話になってて後々怖いくらいだ。
例えば「今までお世話してたんだからセックスさせろおらーっ」とか言ってきたりしたら、俺はちょっと考えて「仕方ないなぁ」と言ってエッチさせてしまうかもしれない。惚れてるとかそういうんじゃなくて。
俺は恩だとかはちゃんと返さないといけないなんて考えちゃう人なのだ。
しかしケイスケはケイスケで「ああ、後はボクチンがやるからチミは部屋に行っておきなさい」とか言ってる。なんか怪しい。怪しいな。
「何?怪しいな?」
俺はちらちらとケイスケの作業しているネット端末のディスプレイをのぞき見しようとしてみる…特に怪しいものは映って…?
「が、学生服を注文しようとしてるだけだぉ…あっち行ってて!シッシッ!」
な、なんでそれだけなのにあっち行ってなきゃいけないんだよ。
…ったく。まぁいいか。
と、その日はそのままご就寝。
そして翌朝。
「朝だぉ朝だぉ!朝ですぉぉ!」
ああ、朝なのか。
朝だから朝なんですよって言わないくてもいいよ。
時計みたら分かるよ。…っていうかなんで起こしにくるんだよ。
「えぇ?何?なんだよ…」
俺は目を擦りながら布団から上半身だけ覗かせた。
ちなみに俺は寝るときは素っ裸で寝てたんだけどそれはダメと言われて今は上はTシャツ、下はパンツを履いてる。それは俺が男だった時から変わっていない。とどのつまるところ、俺はブラって奴をするのが嫌なんだよ。
「今日から学校なんですぉ」
え、マジで?早くない?っていうか入学手続きとか試験とか面接は?とかいう俺の質問は俺の眠気には勝てなくて俺はもうなすがままに…って、ケイスケ何やってんだよ。ケイスケは俺のパンツに手を掛けて脱がそうとしてきやがる。
「何…なんだよもう。やめて」
「き、着替えるんですぉ。学生服に」
「学生服に着替えるのにどうしてパンツ脱がなきゃいけないんだよ」と俺は渋々身体をケイスケに任せた。ケイスケは俺のパンツをするすると脱がすと何やら黒っぽいベルトみたいなのを。これはなんだろう?
「がーたーべるとぉぉ」
ドラえもんのマネとかうざいし。
その後ケイスケが取り出したるは黒っぽいニーソックスみたいなもの。
「ささ、次はこのストッキングを履いて」
「あーもう…なんだよこれ」
SMか。SMなのか。いや、こういうのが本来のストッキングだって死んだばあちゃんが言ってたような言ってなかったような、まぁどっちでもいいや。そのガーターやらストッキングの上からパンツを履くらしい。ふむ。ようやく俺は目が覚めてきた。
「そして気がつけば制服を既に着ていた」
「うひひひッ」
「何これ。聖なんとかっていうからシスターみたいな格好で学校にいくのだと思ってたけど意外と普通なんだね」
「で、でも可愛いですぉ」
「う、うん、まぁ…」
ガーター必須な制服も凄いと思うけどな。ガーターにストッキング、ミニの赤のスカートにブラウス、赤のタイ。ブレサーは刺繍がしてある結構高そうなものだった。この刺繍には聖なんとか…なんでもいいや、とにかくその高校の紋章みたいなものがしてある。
「ではでは、学校に行きますかにぃ」
「おうおう」
朝食は程々にして俺とケイスケは初登校となる聖なんとか学園に向かった。
小一時間してから到着。
街路樹が並んだその先には市内でもっとも大きな公園がある。その手前に俺が今まで公園の駐車場、と思ってた場所、そこに聖なんたら学園があった。
聖なんたらという名前に負けないぐらいに高尚な作りをした歩道や道路、街路樹、しかもその街路樹などを整理する園芸用のドロイドまで。随分とお金をかけていらっしゃる。
もう授業は始まっているような時間だった。
登校する生徒達の間をこのケイスケが運転するボログルマが通るのではないかとちょっとヒヤヒヤしたけどそえはないみたいだ。
広い学園内にはテニスコート温水プールにグラウンドはもちろんのこと、学食と休憩所が一緒になってるような巨大なカフェテラスなんてのもある。
俺が通っていた高校には学食なんて無かったから弁当を持ってくるか外にあるコンビニに行くしかなかったぞ。しかも夏場なんてコンビニに行って帰ったら汗だくになって御飯食べる気力すらなくなってさ…。ここにはクーラーがあって良さそうだなぁ。
ケイスケは車を職員用の駐車場に駐車しやがって、職員用の入り口から学校へと侵入…いや、入りやがった。おいおい。なんか手順とかあるんじゃねーのかよー。
先生に会ってから「うちのキミカをよろしくお願いします」だとか。
ケイスケはそのまま職員室の前に俺を待たせてから中へとずかずかと入りやがって、出る頃にはなんとか教授とかが来てるような白衣に似合いもしないメガネなんてつけちゃってさ…って。え?そのまま俺を引っ張って教室のある棟まで行った。
2年A組…。そういや俺は高校2年だったっけ。随分と高校には行ってなかったような感じになっちゃったな。ようやく思い出したよ。クラスメートとは葬式であった以来だったっけ。
「っていうかさ、担任の先生に会ったりしないの?いきなり教室にきちゃって大丈夫なの?いちおう保護者でしょ?」
「た、担任の先生は、ぼ、ボクチンだぉ!」
「え…え?…ちょっ」
すっごい険しい顔になってるケイスケはちょっといつもと雰囲気が違っていた。
狂気を感じるというかブチキレ寸前というか。
そのケイスケに手を引っ張られながら俺は教室の中に入る事になった。
ケイスケは思いっきり教室のドアをバンッと開き、教壇まで駆け上がっていく。俺と一緒に。あまりのインパクトにきっと学校に不法侵入した変態野郎が一人の女子生徒を人質にしたまま教室に入ってきたんじゃねーのかっていうぐらいの驚きの顔で生徒たちはケイスケとその隣にいる俺を見てた。
「今日から貴様らの担任になる石見だぉ!!!よく覚えとけこのリア充ども!!逆らったら男だろうが女だろうが幼女だろうが全校生徒の前でレイプするから覚悟しろですぉ!!!」
しーん。
お、おい…。