149 簀巻きラバー 7

ジェットコースターが出発する。
もちろん、俺のブラウスの間にはナノカの手が滑り込んで、もうお腹に手を回すってレベルじゃない。乳首に手を回してる。おっぱいをモミモミしてる。
「アッ!!ちょっと、あんッ!」
悲鳴をあげる俺。
ふと気になって前の座席も見てみる。
ジェットコースターがコースを転がるように進む中でユウカ妹は顔を真っ赤にして、かつ、全部を委ねるように、彼くんの身体に背中をだらんと押し付けている。彼くんはそれを後ろから抱きしめるという形だ。もう妹の頭が彼くんの首の横にあって甘えてるようにも映る。
これ、ユウカが知ったら…。幸いにもジェットコースターはかなり高いところを走ってるからまだバレはしない…。
風の中、情熱煮えたぎる中学生の叫びが聞こえた。
「好きだァ!!」
風にかき消されてるその叫び。
ユウカ妹には聞こえたんだろうか…後ろから抱きしめられて性感帯全部刺激されてる状態では頭に何も入ってこない可能性はある。
彼くんはユウカ妹を抱きしめて妹に言われたとおりおっぱいをきゅっともんで、あの白い首筋に顔を埋めてる。
ジェットコースターは岩山の上からトンネルへと突入。
その暗闇がさらにカップル達を刺激するように設計されてるのだろう、案の定、発情した俺の後ろのナノカっていう痴女がおっぱいを揉むだけでは飽きたらず俺の首を強制的に後ろに向かせて、吸い付くように唇にしゃぶりついてくる。
「んんん!!んはぁ…」
キスが終わったところでトンネルを出る。
ここからジェットコースターは一気に下降する。つまり、ユウカ妹と彼くんの醜態…失礼、ラブラブな雰囲気が下でベンチで待機してるうっさいおばさん…ユウカの奴に見られる可能性がある。
コースターが斜めになってカーブを曲がっている時だった。
突然、キキキキキーッ!という樹木希林もびっくりな警戒音が鳴り響いた。笛の音ではない。コースターが緊急停止したのだからブレーキが掛かったのだ。
何事かと俺とナノカは乱れた服のまま、周囲を確認する。
あ。
うしろのDQN野郎どもが乗車中にシートベルト?っていうかアームを上にあげて身を乗り出してるじゃないか…。それを機械が検知して停止したのだ。
「うえぇぇぇぇーーーい!!」
と大はしゃぎのDQNども。
「うわッ…最ッ低ッ!」
などと、俺の肌蹴た服の間からおっぱいを揉みながらナノカが言う…どっちが最低やねん。っていうか、これ、コースターのカーブの位置で停止したせいで、身体が投げ出されそうな感じなんだけど。
前の2人は大丈夫か?
彼くんはユウカ妹をしっかりと抱きしめている。それから、
「大丈夫だから、僕がいるから」
と励ましてる。
ユウカ妹のほうは小さく「うん」と言ってる。
なかなかいい雰囲気じゃないか。
下の方では遥か30メートルぐらい先にユウカが発狂しそうな顔でウロウロとしてるのが見える。下から見たらコースターから人が落ちそうにも見えるんじゃないのか。ま、あのDQNのように固定アーム取り除く事しない限り落ちる事はない。
「君達!自分が何をしたか分かってるの?!」
何をしたのかって、さっきからイチャイチャしてたからビクッと身体を痙攣させる俺とナノカ。公共良俗に反する行為であることには違いはない…が、どうやらその怒鳴り声が向けられたのは俺達の後ろの方にいるDQN集団に対してのようだ。
コースターは動力を取り戻して後ろへとバックしていく。
このまま下がると岩山のほうへ戻る事になるのか。
「うえぇぇぇぇーーーい!!」
DQN怒られてるのにまだ大騒ぎだ。
俺達は岩山のほうで管理用通路へと降ろされた。
降りる際に彼くんはぐったりとしているユウカ妹の身体を肩を持って起こそうとすると、肌蹴たブラウスの隙間からセクシーな下着がチラっと見えてしまう。一瞬、彼くんの身体は肩を強ばらせて目を見開き、鼻の穴を大きくするのがわかった。なんて羨ましい奴なんだ。
俺達は山の頂上付近より管理用通路を渡って遊園地裏側の路地を通り、そして再び遊園地へと入場。コースターについては点検の為に今日は以降の運営は中断されてしまった。
ブーイングの嵐が巻き起こる側で、ベンチに座っている彼くんとユウカ妹。
しかし、見れば彼くんの鼻からは鼻血が吹き出ているではないか。
「刺激が強すぎたっぽいね」
ナノカとそれを見ながら言う。
「うん」
そこでユウカと合流した。
「良い感じの雰囲気になってるっぽいわね」
ユウカは言う。
スピーカーからは二人の話し声が聞こえる。
『大丈夫?横になったほうがいいんじゃないの?膝枕しようか?』
というユウカ妹の声だ。
『い、いいの?!あ、ありがとう…ございます』
ベンチではユウカ妹に膝枕をしてもらっている羨ましいすぎる彼くんの姿がある。鼻血を止めるためにティッシュを次から次へと鼻へと詰め込む妹。その膝の上には幸せそうな寝顔をしている彼くんの姿。
「悔しいぐらいにお似合いカップルね」
とユウカ。
「二人共普通に話せてるじゃん。心配することは何もなかったね」
と俺。
時間もそろそろ昼ごはん時だ。
俺達は二人の行動を監視するのはとりあえず一旦中断して、ご飯を食べに行くことにしたのだった。