149 簀巻きラバー 4

次の日の放課後。
ユウカとナノカと俺の3人で中等部校門前で待ち合わせをする。
残すはユウカ妹のみだ。
「あ、きたきた」
とユウカ。
ん?
どこに…?
ユウカはきたきたと言い出すのだが妹はどこを見ても見つからないぞ。
「き、キミカっち…アレ…」
「へ?」
そう。
俺は今までユウカ妹イコール布団ぐるぐる巻というイメージだったため見つけきれなかったのだ。妹はさっきから既にこちらへ向かって歩いてk…。
「誰なの…あの美少女は…」
こ、これが簀巻きを取り払った妹の真のパワーか。もう姉の存在意義が完全に薄れるほどだ…姉を3次元とすると妹は2次元…それぐらいのレベル。
中等部の男子どもは今まで帰り際にペシッと叩いていた簀巻き(布団)が今は美少女になっているのを見てどこを叩けばいいのかわからずにいる。っていうか布団がどこにあるのかを探してるほどだ。お前等の目の前にいるだろうが、クソ美少女が、布団の『中身』だよ…。
「き、今日はずっとそれで授業受けてたの?」
ってありえない事を俺が聞いてしまうほど。本来ならそれで授業受けるのが当たり前なのに…っていうか、こんな美少女が突然現れて授業に参加してると男子どもはもう目のやり場にこまるんじゃないのか?白板見ろって?まぁそうですけど。
「う、うん」
「視線がきつくなかった?」
「うん…みんなが見てる…助けt」
さすが対人恐怖症だ。
ちゃっちゃと終わらせようか。
俺達は街の中心部にあるショッピングモールへ向かった。
そして婦人服売り場へと足を運んだのだ。
「ゲェ!」
これがユウカの第一声だ。
なぜこんな声を出してしまうのか。
それはここはケイスケと俺が下着を買いに来たことがある、男を挑発するタイプの『勝負』下着売り場だからだ。
「妹になんてものを買わせようとしてんのよ!!」
チョークスリーパーがキマる。
「だ、だからッ!デートでしょォ?!デートだから勝負下g」
「中学生がデートで勝負下着とか何考えてんのよ!イヤラシイ事ヤル気マンマンじゃないのよ!穢らわしい!」
「下着から気合い入れないとダメなんだよ!上辺だけ着飾って中身がクマのパンツだったら男の子に笑われちゃうよ!!」
などと言ってみると…。
「ぬぅぅ…確かにそうだわ…」
「でしょ?」
などと俺とユウカが言っている間にもナノカはユウカ妹を連れてランジェリー売り場のものを試着しているようなのだ。クックック…『お盛ん』ですねぇ。
さっそく姉にご披露するようだ。
「みてみて〜おねぃちゃん、紐だよー」
「紐ォ?」
俺とユウカの目ン玉が飛び出そうな勢いになる。
紐だ。
辛うじて乳首だけを隠した紐のブラ。辛うじてマンスジだけを隠した…けれどもお尻の穴は隠し切れない、紐パンツを装着した妹がいる。
「ダメに決まってんでしょうがァ!!」
グリグリと妹のこめかみにグーパンゴリゴリをしている。
「ぎゃー!」
叫ぶ妹。
数分後。
「真面目に探しなさいよ!」
そう言ってユウカは紐下着を脱いで着替え終わった妹を突き放し、再び下着売り場へと消えていくのを見守る。そんな中、俺は先ほど見つけてきたセクシー下着をユウカへと手渡す。
「な、何よこれは?!」
「それが男を誘える下着です…(白目」
「嫌な予感しかしないわ!」
「じゃあ妹が着る前にユウカが着てみればいいじゃん?」
「そ、そうね。毒見じゃないけど、穢らわしいものはまず年上である私が着てチェックしなきゃ。変な経験積ませてアンタみたいにならないように」
おい、人をなんだと思ってるんだ。
さて。
3分待機。
「なんなのよこれはー!!!」
試着室から叫び声が聞こえる。
「なんなのって、セクシーランジェリーだよ?」
と、かるーく試着室のカーテンをひっぺがして中を確認。
「うぉォゥ!!」
思いっきり驚いた。
ビードールっていう下着だ。セクシーなブラとパンツはさておき、その上にシースルーなワンピースがある。スカートは殆ど無意味なほどに太ももを完全露出している。ま、シースルーなのでスカートは最初から無意味ですけど…。
「風俗嬢じゃないのよこれ!!!」
などとまさに風俗嬢な姿のユウカが吠える。
「下着なんだから、気持ちだよ、キ・モ・チ!」
「い、いやだからってこれは…」
なんだか恥らっているのが逆に興奮する…。
「ユウカがそんなに堅物だったら妹は男にヒカれちゃうよ?」
とツンとユウカのおっぱいをベビードールの上からポチッ。
「触るな!」
キレるユウカ。
そして「シャーッ!」とカーテンを締めると、試着室の中でゴソゴソとその下着を脱いだ後「まぁ、いいわ。これぐらいのセクシー度だから、間違いは起きないでしょう」と言って俺に下着を手渡す。
「え、これ、そのまま妹さんに?」
「なによ?」
「サイズが違わなくない?」
「コロス…」
冗談はさておいて妹はユウカよりも実際サイズは色々と小さいのであったものを購入。さっそく試着室で着替えていた。
華奢な身体と白い肌を際立たせるような薄いピンクのベビードール。Bカップぐらいの小さな膨らみがちょこんとブラを浮き立たせて自己主張をしている。そしてシースルーのレースの下におへそが覗いている。ヒラヒラ・フワフワのスカートは実はそのまま上にスカートを羽織る事を想定しているのだ。これがまさにケイスケ・プロデュースのエロゲスタイル。
「それで、次はどんなセクシー系にするわけ?」
買い物袋を抱きかかえて俺を変質者でも見るような目で見ているユウカ。
「ふっふっふ…次は清楚系です」
「え?!」
意味がわからないという顔をするユウカ、ナノカ、そしてユウカ妹。
「なんで外側が清楚系になるの?」
「外見は清楚…まずそれで男の心をキャッチ…。男は安心するけれど、側にいるうちに欲望がスイッチを押そうとする。控える男。彼女は清楚なんだから…と自分に言い聞かせる。が、その時、男は見つけてしまう。溢れんばかりのエロスが清楚な服の中から漂ってくることを。そして男はノックアウトされる」
「「「お、奥が深い…」」」
というわけで、赤のチェックのスカートと黒のニーソ、白のブラウス・赤のネクタイを購入。そう…これはケイスケが最初に俺に用意していたエロゲから採用されたというヒロイン普段着なのだ。
ユウカ妹は試着室でさっそくこの服に着替えて俺達の前に登場する…と、俺が着てる時とはまた違ったエロスが漂ってくる。特にニーソとミニスカの境界線が男の欲望を刺激する。
「ここはちょっと緩くするんだよ」
と、ユウカ妹のネクタイを緩くしてブラウスのボタンを上から1つ2つ外し、スカートの中に収められていたブラウスの裾を全部だす。
隣でユウカがブツブツと姑のように文句を言ってくる。
「そんなにチラ見せして何か間違いがあったら…」
「間違いなんてないよ!普通だよ普通!」
ったくうるさいババアだな、もう。
「それにしても…こうも変わるなんて、マジすげぇ…」
なんて言って驚いてるナノカ。
今まで布団を身体にぐるぐる巻にして足だけ出していた不気味な様相から一転、ごく普通の中学生…いや、2次元の世界から飛び出したような『美少女』となったのだ。もちろん俺のケイスケ譲りの服を選ぶセンスもあるが、ため息が出るほどのルックスである。ほら、試着室から出て会計を済ませ、歩いているうちにも漂うエロスが幾人もの男の視線を強制的に向かせてるではないか。
「恥ずかしい…」
などと言い始めるユウカ妹。
「いやいや、布団ぐるぐる巻で歩いてるほうが恥ずかしいから!」
ツッコむ俺。
ユウカが間に割り込む。
「でもちょっと男の視線を引き寄せすぎじゃない?なんだか余計に心配になってくるわ…。妹にラブレター出した男の子ともそうだけど、他の男からも言い寄られる可能性があるんじゃないかしら?トラブルに巻き込まれなきゃいいけど…」
「ま、まぁ、あたしの場合はナンパとかされたら断れるだけの攻撃力も持ち合わせてるからねぇ…」
ユウカ妹は俺とは違って中身も女の子だからな。
「よし決めたわ」
突然ユウカが言う。
「何をキメたの?」
「妹の初デートは心配だからついていくわ」
おいおいおいおい、そっとしといてやれよ!
「私も行くよォ…なんか楽しそうだし!」
ナノカが言う。
「キミカ、アンタも来なさいよ」
「はぁぁぃぃい?!」
「戦闘要員よ」
「…」
なんだ血祭りにあげればいいのか?
彼氏もついでに血祭りにあげておこうかまじで。
クッソがぁ…今週末の貴重な俺の時間が…潰れた。