149 簀巻きラバー 2

放課後。
ユウカは部活には行かず、代わりに帰りは中等部のほうに寄ってくからとナノカに話している。
何かするのだろうか、と思って話してみると、
「ほら、いつもあんな感じに簀巻き状態じゃない?オシャレっていうものを姉として教えてあげて、普通に男性とお付き合いさせたいっていう親切心で、」
と言い出すではないか。
「やめてよビッチになってしまうよ」
(シュッ)
ッブねぇ!!
思いっきり鳩尾に入るところだった。
ギリギリでユウカの腹パンを回避する俺。
「簀巻きのままでいいっていうの?!」
「ユウカがオシャレがどうのこうの言い出すとビッチになるっt」
(シュッ)
ふぅ。
回避。
ナノカも言う。
「オシャレのセンスを姉に合わせるのもどうかなぁ。ちゃんと妹さんに選ばせてあげればいいじゃん?よし!みんなで妹さんと買い物に行こう!」
というわけで、とりあえず中等部まで向かうことになった。
その道すがら、
「妹さんは部活とか何してるん?」
ナノカがユウカに問う。
「何も」
「そっか、キミカっちと同じかー」
「はぁぁぃぃい?!あたしは帰宅部のエースなんだけどォ?!」
間髪入れずに俺がツッコむ。
「はいはい、そのネタもう飽きた。2点」
ユウカが俺に返す。
チッ…帰宅部を舐めるなよ…。
「家に帰ってからは趣味とか何かしてるん?」
再びナノカが質問。
「ん〜…途中で寄り道してから帰ってるっぽい」
そこで俺もナノカもユウカに深刻な表情で言うのだ。同時に。
「「それはやばい」」
「え?」
「「悪いおじさんにお金払っていやらしいことしてる」」
そこまで同時だった。ハモった。
「ちょっ、二人共何を言い出すのよ…う、うちの妹に限ってそれはないわ。それにあいつ、そういうイヤラシイ事とかに全然興味がないみたいだもん」
「ちょっ、ちょっとまってよ!」
間髪入れず俺はユウカに言う。
「なによ?」
「それはユウカは興味があるってことォ?!(ゲス顔」
と俺はゲス顔で質問した。
「な、何よ。そういうのって雑誌とかで散々載ってるからなんとなーく気になって見ちゃうとかあるじゃん?私の妹はそういう雑誌とかも見ないから興味ないだろうし、そういう事を知らないんじゃないのかなーって思ってたわけ」
「ふふぅ〜ん…ユウカはオナニーをしてる…っと(メモメモ」
「こらァ!お、(小声で)おなにぃーなんてするわけないでしょ…」
「どーだか」
「アンタと一緒にしないでよね!」
そんな間にナノカが割って入る。
「キミカっちは学校でもオナニーしてるもんねー」などと、俺が以前オフザケでコーネリアやメイリンの前でパールローターを自らのクリちゃんに押し当てた件について今更ながら話し始めるのだ。ったく、もうみんな飽きたネタだよ。
でもまぁ、俺が中学生の頃はオナニーのやり方を誰かに教えてもらってからオナニーしたわけじゃないからなー。布団でエッチな本を読んでいたところいつものようにアレがアレな状態になって擦ってたらアレがアレを出したような、そういう感じのアレなので、何も知らなかったらそれが性であることも知らずにただ気持ちがいいと思ってユウカ妹もイヤラシイ事をする可能性はある。
と、悶々とした気持ちであの美少女ユウカ妹が一人エッチをするのを妄想しながら歩いていた。その隣でユウカは俺をクソムシでも見るかのような目で見ていたわけだ。案の定暫くすると、
(ペシッ)
「いたッ」
「人の妹で妄想しないでよ!」
も、妄想は人の勝手だろうが!!
「フヒヒ…妄想してないよォ…」
「『フヒヒ』ってキーワードが入ってると大抵は不謹慎な事を考えてるのよ!手に取るようにわかるんだから!」
ヌゥゥ…。
「あ。あれ、ユウカ妹だよね?」
ナノカが指差す。
あぁ。
確かにあれはユウカ妹だ。帰宅途中なのだろう、学校前の坂を降りる最中にクラスメートだかの男子や女子に布団をペシッと叩かれたりしながらもヨロヨロと歩いて帰宅している。もう軽いイジメみたいな状態だな。
ユウカは言う。
「この時間に帰宅してるのに家に帰るのは夕食時よ?おっかしいわねぇ…」
睨んでる睨んでる。ユウカが妹ににらみを効かせてるぞ。
「どうするの?」
と俺が聞くと、
「尾行(つけ)してみる」
マジかよ…。
俺とナノカとユウカは妹に気づかれないように距離を置いて妹の足取りを追う。寄り道をしているというのはどうやら本当のようで、行き先はともかく家とは別方向へ向かってトコトコ歩き出している。
「商店街のほうを寄って帰るのかな?」
ナノカが言う。
「たぶんそうね…ラブホがある方向へ行かなくてよかったわ」
とひと安心しているユウカ。
ふと、そこで尾行しているのが俺達だけでは無いことに気づく…そう、あのユウカ妹の事を好きでいてくれてる男子クラスメートが気付かれないように追いかけてるのだ。もし、ここでユウカ妹がオッサンと援交でホテルへと入ってしまえば…大変な事になってしまう。
それにはユウカもナノカも気付いたようで、
「少しでも怪しい素振りを見せたら『連行』するわよ!」
と意気込むユウカ。
さて、尾行して小一時間。
ユウカ妹は商店街の中のペットショップに消えた。
「ペット…飼いたいんじゃないのかな?」
「え〜…うちの親、犬とか猫とかダメだからなぁ」
「だからじゃないの?」
「ん〜…それはあるかも」
ん?
ペット飼いたいのなら店の中で犬猫などと戯れてるのならわかるが、何やらユウカ妹はペットフードを少しだけ買って出てきたぞ?
「何するのかな?」
「はッ…!」
何かに気付いたような声を出すユウカ。
「ん?」
「もう…どっかで飼ってるのかも?」
「あぁ〜…」
なんとなく俺の脳裏にはユウカ妹が公園かどこかのダンボールに入ってる捨て猫・捨て犬に餌を与えるイメージが広がってくる。妹はその俺のイメージをさらに確定へと導くように牛乳などをコンビニで購入してる。
そして案の定だ、ユウカ妹の足取りは市内の小さな公園へと向かっている。公園の入り口を通り過ぎると茂みの方に向かって歩く。
俺達は気付かれないようにそっとその後を尾行。あのクラスメートの男の子は公園の外の辺りでユウカ妹の行方を探しているようだ。
「やっぱりそうだわ…餌あげてる」
器用にペットフードの袋を足で開け、中から餌を出してダンボールの周辺に居る捨て犬達…総勢5匹ぐらいは居るだろうか…それらに与えてる。
さっきコンビニで購入したであろうミルクなども与えてる。
「ったく、餌あげて懐かせたって家じゃ飼えないのに!」
などと言い、ユウカは茂みから立ち上がって妹に近寄ろうとする。が、その足取りはピタリと止め、しばらく妹のほうを見ているのだ。
「ん?どしたの…?」
小声で俺は言い、そっとユウカの側から顔を覗かせる。
何やらユウカ妹は何故かニーソを脱ぎ捨てて、あろうことかコンビニで購入したであろうバターだかマーガリンだかを自らの足に足で器用にペタペタと塗りだしたのだ。
…嫌な予感がするぞォ…!!
すると、5匹の子犬たちが一斉にユウカ妹の足をペロペロと舐め始めるではないか。もう下の方からペロペロと、上へ上へと舐め上げていき、いよいよ太ももまでペロペロ舐め始めると2匹の子犬はユウカ妹の簀巻き状の布団をひっぺがして今度は股間をペロペロ舐め始め…ってパンツ履いてないぞッおいッ!
「ふぁぁぁあッ!」
などと喘ぎ声をあげるユウカ妹。
公園の中へと既にクラスメートの男の子が入ってきてるではないか。
「確ゥゥ保ォォ!!!」
ユウカが叫ぶと同時に駆け寄って妹にチョークスリーパーをキメる。
「ふぁッ?!」
突然何が起きたのかわからず目を白黒させる妹。
俺達はユウカ妹の事を好いている男子生徒に見つからないうちに、公園から脱出した。妹を確保した上で。