3 初戦反省会会場(リメイク) 1

最初の俺の戦いは俺の勝利で終わった。
もし俺の負けで終わる戦いがあれば、それはきっと俺が死ぬ事を意味してるのだろう…それもヒーローの宿命なのか…なんちって、嘘だよーん。自分が死ぬ可能性がある戦いになんてわざわざ出向かない!それが素人ヒーローォ…(白目
などと空を飛びながら考えていた。
ケイスケと待ち合わせポイント上空。
地表を見つめてみると戦闘区域となって住民が居なくなった公園の前にケイスケのあの小さな軽自動車が止まっていた。その側に俺はまるで天使でも舞い降りるかのようにゆっくりと着地していく。それはまるで反重力コイルを装着している軍のアサルトシップの如く、周囲に青白い波動を出しながら、そして、地面の小石やら砂やらを少し浮かしながら、俺は公園のグラウンドの上に着地…と同時に周囲への反重力作用は消えて小石も砂も元の位置へと戻る。
その姿をケイスケはカメラにパシャパシャと収めている。
「ひょおおぉぉぉぉぉおぉぉ!!!可愛いですォォォ!!!」
興奮するケイスケ。
まるでアキバでコスプレイヤーが際どい格好をしているのであわよくば毛でもハミでていないかと様々な角度からウイークポイントをカメラに収めようとするカメラ小僧のように。
そういえば変身した後、自分自身の姿を鏡で確認したことはなかったな。
どういう戦闘服なんだ、これ?
「写真見せてよ」
と俺はケイスケが収めている写真の1つを見せてもらった。
髪の色は変身前は栗毛というかクリーム色のセミロングだったけれども、今は漆黒。アジア人が世界に誇る漆黒のセミロングだ。それがふわふわと何かの力で風に煽られるかのように少し浮いている。そして黒というか青という感じにキラキラとした光が時々髪から漏れたり、周囲に円となって波動が伝わっているようだ。
気になっていた戦闘服は俺の中の『エロカワ』という分類に所属するものだ。
背中にはまるで死神をも思わせる漆黒のボロボロなマント、それがマフラーよろしく口まで覆っている。上にはジャケットを羽織っており袖は少し長い。その間にはすべすべとした肌がちらちら見えててて、胸には黒いブラのようなもの。ちゃんと谷間もアピールしている。そしておヘソも見えるようにお腹はちゃんと見えてて、黒のショートパンツを履いている。
その下には網タイツ…いや、黒のストキングか。
そしてブーツを履いている。
それにしても…顔が、なんか違う…のか?
いや、顔は同じだけど目の色が青い。白人のあの青さとは違って、目の奥のほうから自らが青く光っている感じだ。やっぱりケイスケの言うとおり、これはロボットなんだと思わざるえない…。
「もうちょっと拡大写真で顔を撮ってみて」
ケイスケは大喜びで俺の顔の前にカメラを持って、パシャリ。
「可愛いですォォ…」と、ケイスケははぁはぁ息を荒くしながら今にもカメラの液晶にキスしそうな勢いである。
そのケイスケからカメラを取り上げて、じっと液晶に映っている俺の顔を見てみる。…ふむ。やっぱ目が光ってるのか。普通の目は外からの光が目に当って反射することで光っているけれども、この身体の『目』は自らが光っている。目の角膜の奥のほうから青白い光がキラキラと飛び出てきてるのがわかる。
「凄い技術だなぁ…日本もついにここまできたかぁ…」
なんて言いながら俺は自らの身体をまじまじと見つめていた。
それから俺は、
「で、これ、元に戻るのってどうやるの?」
とケイスケに聞く。
「戻ろうと思ったら戻れますにぃ」
「よーし…戻れ戻れもd」
あっというまに俺の身体は漆黒の煙に包まれて、元に戻った。
つまり全裸になった。
「うわぁぁぁぁぁああぁぁぁぁ!!!!」
忘れてた。
「はぁはぁ…キミカちゃん…可愛いですぉぉ…その、今まで男性だったからか恥ずかしいと隠すところは股間だけっていうのもまた可愛いですぉぉ…」
そうだ。女だから俺はおっぱいも隠さなきゃいけなかった。
「って、それはどうでもいいから早く服!はよぅ!はよぅ!!」
「ここにありますにぃ」
ケイスケが手渡すバッグ。
開けてみる。
そこには俺がさきほど喫茶店のトイレで脱いだ時の服が入っている。あの美少女エロゲで制服として使われてそうな服である。
だが…なんか気になる。
俺は服を畳んで締まっておいたはずなのだが、何故か服が一部崩れているのだ。しかも下着は脱いだものをバッグに入れたという順番的に一番上に入っているはずなのに、なぜか底から出てきた…服の順番が入れ替わっている…。
俺は「ん」と言って(まだ俺がブラをつけるのに慣れていないので)ケイスケにホックをつけるのを手伝って貰いながら、
「下着が一番底に入っていた」
とボツリと呟いた。
慣れた手つきでブラを装着させてたケイスケなのに、突然大慌てでホックがうまく止まらなくなっている。
ブラウスを着ながら、ジト目でケイスケを睨む俺。
「な、なんでそんな変態を見るような目で睨むんですかぉ…?」
「バッグには下着を一番上にいれたはずなのに、一番下に入っていた」
ケイスケは口笛を吹いている。
「一番下に…」
「キミカちゃんは男の子の癖に小さな事まで拘り過ぎですぉ!強迫性障害で黄色の救急車を呼んで病院で電気ショック療法したほうがいいにゃん!」
と叫びながら俺がまだ着ていないブラウスのおっぱいのところを大きな掌で寄せて上げてなどをしてくるケイスケ。
「ひゃっ!」
…これは俺の声である。
「可愛いですにぃ…はぁはぁ」
俺はケイスケの手をペシッと叩いておっぱいから払い落とすと、さっさとスカートを履いてから、「で、これからどうするの?」と問う。
「家に帰りますにぃ。戦士の休息だにゃん」
ケイスケはそう言うと車に向かって歩き出す。
「テロリスト野郎どもがどこから来たのか突き止めて連中が寝ている間にケツの穴に腕突っ込んで奥歯ガタガタ揺らさせてやりたいよ」
「『ケツ』とか女の子がそんな下品な事言ったらダメですにぃ!」
「んじゃ『お尻』の穴に腕突っ込んで奥歯ガタガタ揺らさせてやりたいよ」
「そういう意味じゃなくて!そんな下品なセリフを言っちゃだめにゃん!」
「お忙しいなか誠に恐縮ではございますが、お尻の肛門に腕を挿入させていただき、奥歯を振動させて頂きたく存じ上げます」
「…」