145 誕生日プレゼント : 宇宙船 3

ケイスケの車で市内の繁華街へと向かう。
立体駐車場に車を停めてから、その足で繁華街を歩く。
「どう考えてもここは大人の夜を過ごす場所のように思えるのですが…キミカちゃん、これは一体どういう事なんですかぉ?」
「どういうことって、会いたい人がここにいるんだよ」
ケイスケは目ン玉が飛び出そうかという勢いで俺のほうを見る。
ナツコもマコトもジト目で俺を睨む。
「な、なんだよォ…」
「どうしてキミカちゃんが会いたい人が繁華街にいるんだよォ…」
白目を剥きながらマコトは言う。
「ここに住んでるんだからしょうがないじゃん」
と、俺の足はいよいよ目的地のビルの前に到着した。
繁華街にひときわ目立つお城のような造りの巨大なビル。ここいらの建物の中で最も高いビル。夜空に怪しげにライトアップされるビル。そして、特に目立った看板が無いのにやたら人の出入りが激しいビル。
ラブホテルである。
「どういうことなんですかォォォ!!!」
とケイスケは俺の細く小さい両肩を巨大な掌で掴むと、軽々しく持ち上げてガクガクブルブルと揺らし叫んだ。
その横からマコトも俺の細い足を掴んで、
「どういうことなんだよォォォォ!!!」
と叫んだ。
身長2メートル近い巨大なデブが身長140センチ超えがせいぜいの小さな女の子を肩だけ掴んで空中に吊り下げてガタガタと揺らし叫ぶ様は、通行人にはさぞ暴漢のように見えただろうし、横ではボーシッシュな女の子も俺の足を掴んで揺らしているわけだから既にレイプとして警察に通報されていても仕方がない。
そしてラブホテルの前でもあるから警察官はこの辺りを庭のようなものだと思っているわけだ。
「やば、や、やばいって、警察来るから、早くラブホの中へ」
ケイスケはハッとして周囲を見渡す。
複数の通行人がケータイでどこかへ連絡している。
ケイスケはそのまま俺を肩に抱えてラブホテルへと入った。
ったく、勘違いされるじゃないか…。
ラブホテルの正面玄関には様々な空き室がモニタリングされており、客にどの部屋がいいのか、選択を迫る。が、俺は客ではなく既にラブホ内に済んでるキサラに会いに来たわけだから『面会』だ。
「そこの面会の画像、タップして」
俺はケイスケの肩の上に抱きかかえられたままの状態で言う。
「なんでそんなに詳しいんですかォォ!!」
もう涙声でケイスケが叫んでる。
「…キサラに会いにいくの」
「キサラ?なんでここにキサラちゃんがいるんですかぉ?」
こいつキサラの事はあんまり知らないみたいだな。
「ソラと一緒にラブホテルに住んでるんだよ」
「「「えええーッツ!!」」」
ナツコとケイスケ、マコトが同時に叫んだ。
「な、ななな、なな、なな、なんでラブホテルに住んd…」
「住み心地がいいらしいよ。お金持ちだし」
ケイスケは腕を組んで少し考えてから、
「…可能性としては、十分にありうりますにぃ…(白目」
と言う。
一方でナツコはジト目で部屋案内のホログラムを見ながら、
「なんとなく最初っからわかってましたけれど、やっぱりキサラ先生とソラさんは付き合ってたんですね…」
と言う。
「ラブホテルに住んでるなんて卑猥だよォォ!!」
と叫んだのはマコトだ。
俺はケイスケの肩の上から足で面会の画像をタップ。ホログラムは面会対象の部屋をズラーッと並べる。キサラがいる部屋は…確か…この階だったはず。以前俺はラブホでキサラに遭遇したことがあるからバレてるわけです。
再び足でポチっとな。
ものの数秒で「チン」という軽快な音が鳴り、エレベーターの扉が開く。
「ほら、早く。警察が来るよ」
俺は急かす。
4人はそれからエレベータでキサラの部屋へと向かう。
スィートルームだ。
ケイスケの肩から飛び降りると俺は部屋の扉をドラマーかよお前っていうぐらいにドンコドンコと叩きまくって、
「キサラー!!居るんでしょォ!!!開けてよー!!!ほらー!!あたしの誕生日のプレゼントをくれるって言ったじゃんかァァッ!!」
と叫んだ。
そこまで来てナツコもマコトもケイスケも俺がなぜここに来たのかがわかったようだ。キサラに会って誕生日のプレゼントを作ってもらうのだ。
と、スィートの奥の方から「ウィーン!ウィーン!(ドンドン)」というドロイドが歩く時の音が聞こえ、扉が開く。
巨大なゴリラのようなドロイドの足元にはネグリジェ姿の(破廉恥な姿の)キサラの姿があり、顔を高揚させ、ほんのりと汗を浮かべ、よく見れば涎も少し垂れてて、そしてさらによく見れば太ももにも体液が…でている。
俺もマコトもケイスケも、そしてナツコも、もうこれだけで今までキサラが何をしていたのかわかってしまった…。
こいつ…。
セックスしてたな!!
「はぁ…はぁ…な、何?何の用事?なんでみんなで来てるのよ?」
「えっと…」
部屋の奥では大急ぎで服を来ているソラの姿が視界の隅っこのほうに映る。もうそれは母親にオナニー現場を見られた息子のような急ぎっぷりだ。
キサラはドロイドの身体の一部に手をつけて、それをタオルに変換させて、あろうことか俺達の前でそのタオルでゴシゴシと股間を拭きながら言う。
「は、早く言いなさいよ!!もう!こっちは取り込んでんのに!」
『取り込んでる』っていうか、むしろ『入れてる』感じだよな…。
「えっと、誕生日のプレゼントを作ってもらおうと思ってたの…」
「はぁぁぁぁ?!」
そこ、驚くところじゃないだろう!
続けてキサラは、
「もぅ!明日にしてよォ!!なんでわざわざここまでくんのよォ!っていうか、なんでケイスケも妹さんもマコトも来てんのよ!3人も誕生日のプレゼントが欲しいってことなのォ?!」
なんて喚き散らしているキサラのおっぱいを不意にケイスケ揉んだ。
ケイスケの大きな掌ではキサラがいくら巨乳であろうと小さく見える。それが柔らかく、先端だけは尖っていたままで形をふにゃぁと変える。
「ひゃぁッ!」
あまりに不意だったのと今までセックスしてて身体が興奮状態だったのもあって、いやらしい声を上げてからキサラは一転して鬼の形相となる。
「コォんの…デブゥ…」
言うが早くキサラの隣に居た巨大なゴリラ型ドロイドがケイスケの襟首を掴んで、2メートルの体重0.2トンはあるであろう肉の塊をスィートルームの広い天井のあたりへと持ち上げる。
と、そこでソラが『何事もなかったかのように平静を装い』
「ん?みんなしてどうしたんだ?」などとほざく。
いや、もうわかってるから。
お前がどんなに平静を装ってもキサラがこんな格好してんだからセックスしてたとかわかってるからー。
「あーッ!もう!興ざめだわ!何よ!何が作って欲しいの?!早く言ってよ!10秒で言って!10秒で作ってあげるから!!作ってあげた後は10秒で部屋から出て行って!エレベータからホテルの外に出るまでも10秒よ!」
「この部屋には入りきらないぐらいの大きさ…なんだけど…」
キサラはタオルで自らの涎を拭きながら、苦虫を噛み潰したような顔で頭をポリポリ掻いた。